101+オチ? そんなものはないさ。
「暑い!」
「だね、暑い暑い」
「暑い暑い暑い暑い暑い!!」
「はいはい、暑いね」
「暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑――」
「――五月蝿ぇ!! 暑いのは分かったから黙りやがれ糞野郎!!!!」
アサキの方が五月蝿い――とは言えなかったねユキです。
今日は土曜日だけども授業参観にて学校なのさ。クーラーも無いというのにこんな暑い日に学校……まぁうちは親が来ないからいいのだけれどね! カイリは相変わらずぐだぐだと机に平伏していて、アサキは相変わらずイライラしているみたいだ。頑張ろう二人共、次で終われるんだから。
数人の保護者方が教室に入ってくれば、クラスの生徒はチラチラと後ろを向く訳で。やはり気になるのだね、己の親や友達の親、誰が来ているのかというのが。
――まぁ、かくゆう私も気になるがね。
「なぁ二人共、君達の親は来ないのかい?」
「んー? 俺親は来ないけど、下手したらねーちゃんが来る」
「来ない」
ふむ、親は来ないのか、少し残念。
「おかーさーん」
という時に近くからそんな声。見ればモモが手を振っていた。――要するに母親に向かって手を振っているのだろう、と分かった。
ふむ、ほわほわとした母君だね。随分似ているよ。
「お、あれがモモのお母さんかー」
「似てるな」
「大分ね」
私の親はとりあえず暑い、が理由で来ないのさ。来て欲しいとは思っていなかったから構わないのだけどね。
「親が来るのって嬉しいんかな」
「何だカイト、ウミさんが来てくれるのは嬉しくないのか」
「微妙だなぁ……ねーちゃん騒ぐからなぁ……」
「は、まぁ確――――」
……うん? あれ……? アサキが固まった、どうかしたのかい……?
「さて、授業授業」
「どうかしたのかいアサキ?」
「アーサキー?」
「授業」
くるり、と机の方に向いてしまった。何か後ろにあったのかもしれない、と思い見るも……特に無いが……?
「あ」
が、カイリは違った様だ。
「おいアサキ、あれ――」
「見えん、僕には何も見えん」
「だってお前あれ――」
「見えないったら見えな――」
「あ、居た居た、アーサちゃーん!」
呼び声が聞こえた。確実に、一人を呼ぶ。ははっ、普通こういう場で叫ばれたら生徒側が辱めを受ける、というパターンが多いのだがね。
さて、辱めを受けるのは――
「来たのはいいが手を振るな母さん……」
という訳で、アサキの母君な様だね。
初めて見るが――扱く綺麗な方だと思う。世辞を抜いても若くて由々しい方だ。まあ当のアサキは頭を抱えている訳だが。
「アサキ、綺麗な母君だね」
「五月蝿い違うわ」
「あからさまな嘘だな」
授業が始まっても、アサキは一向に動かなかった。そりゃもう普段の授業と同じくらい爆睡さ。普通親が来たらしゃんとするものだと思うのだが……。
ふふっ、アサキも母君には弱いのかな。
「何で来た訳」
「無理矢理空けて来ちゃった☆」
「母さーん! 俺の勇姿見てたー!?」
「うん、見てたぞ~! ユウ君格好良かったね!!」
授業後にそんな会話をするヒコク一家を発見。カイリ、アスカと共に暖かい目で見守っていたことは内緒さ。