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10+一年程の勘違い。


 こんちは! 俺だぜ! ……いや、詐欺じゃないから、俺俺詐欺とは違うから!!

 あいつ曰く赤の他人ですよ、いや、違うけどね? アサキの無二の親友だ!


「アサキ、前から言いたかった事があるんだけどさ」


「何……?」


 親友だから、お互いの事はもう沢山知ってる訳だが。

 だけど、たったひとつだけ、未だに解けていないすれ違いがひとつ。いや、もしかして知っててやってる事なんだと思うんだけどさ! 何せユウヤも間違えてる事だしな。


「俺達って友達だよな?」


「それは……何て勘違い」


 ちょぉおおおお!!!! 其処からの否定は俺様泣いちゃう!!!!


「ま、まぁ良い。でもひとつだけ、ひとつだけお前に言いたい」


「勿体振らずに言ったら良いじゃん、早く、時間が勿体ない」


「そう言う割には漫画から目を外そうとしないよなお前」


 中学校に何を持って来てるんだ君は、サックラ先生に言い付けたろか。……後が怖いから止めよ。


「早く」


「いやね、多分気付いてるとは思うんだけどー……俺の名前――カイトじゃないから」


 ………………間。


「……」


「……」


「……」


「……」


「……間?」


「いや、人の心を読まなくていいから」


 漫画を床に落としてポカーンと。何よ、どしたの此の子。


「――……カイトじゃないの?」


「やっぱ気付いてなかったか貴様ァ!!!!」


 其処まで間を引っ張ったからそんなこったろうと思ったぜ! 首まで傾げやがって、普段見せない感じになっているぞコイツ!


「え、えぇ? カイトはカイトじゃないのか……? じゃあ何だ、お前はカイトじゃなかったら何だってんだ、某アニメで改造されたんじゃなかったら何だってんだ」


「一部の漫画ファンにしか分からないネタ使うの止めろや」


 すまない分からない人。というか分かっても意味は理解出来ない気がするから意味ないぜ此れ。


「俺の名前さ、海吏なのは知ってるよな」


「うん、漢字は知ってる」


 よく気付いたな畜生。


「海吏でカイリって読むんだけど」


「お前は何処のゲームキャラだ」


「だからゲームも止そうぜ」


 此のヲタク止まんねぇ。


「何を勘違いしたのかは知らないんだけど、俺の名前は最初からカイリだ」


「じゃあ……じゃあ何故最初に訂正しないんだよ、雰囲気とか先入観とかでずっとカイトって呼んじゃってたじゃないか」


「ですよね、一年くらい名前違ったってのも面白いから良いかななんて」


「馬鹿カイト、略してバカイト」


「だからカイリなんだけど」


「バカイリ。……や、もうカイトで良いじゃん」


「……だな」


 という訳で、俺は未だ未だカイトです。




 ――追記、アサキ家にて。


「ユウヤ」


「何さ?」


「カイトの名前ってカイリだったの知ってた?」


「勿論」


「……」


「勿論知らないよ、何其れ」


「だよね」


「……カイト君で良いじゃん」


「だよね」


 理不尽な奴等。



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