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第九十二話 妹の激走を応援するのも兄の務め

誤字・脱字ありましたらご指摘お願いします。


「なんだよ。せっかく応援来たのに」


 その後、俺達は玲那の決勝レースを待ちながら、エスカイアさんが朝から奮闘して作ってくれたお弁当に舌鼓を打ちつつ、色々な陸上競技に励む選手達の様子を観戦していった。そして、いよいよ玲那の走る決勝レースの開催される時間となった。各組から上位三名が選出され九名で争われる決勝レースであるが、予選で日本新記録を更新したことで注目度がいやがうえにも高まっている。


「玲那さんへの注目はかなり高まっているみたいですわね。予選で日本新記録出したのはインパクト大でしたから」


 報道陣も同時にトラック内で行われている競技から記録更新の期待がかかる玲那の方へカメラを向けており、会場の視線も集まり始めていた。


 予選とは違い心持ち緊張した顔でスタートを待つ玲那であるが、予選の時の走りができれば、他のメンバーのタイムを見ても優勝は間違いと思われる。注目が集まる中で各選手がスタートラインに整列していく。


「玲那さんはまた外側に並びましたね。さっきと同じく独走をねらっているでしょうか?」

「どうだろう? 予選であれだけの会心の走りをしたから、今度は独走させてもらえないんじゃないかな。先頭を誰かが押さえる展開になると思うけど」


 しばらくするとスタジアムの注目を集めたレースの号砲が打ち鳴らされた。スタートして先行しようとした玲那だったが、やはり予選レースの出来を見たライバル達が先に行かせないように取り囲み、固まった集団でレースが推移していく。


「みんなで寄ってたかって玲那ちゃんを潰しに来てるわ。酷いわね」

「まぁ、レースだからね。速い奴をマークすることも戦術だと思うよ。これで玲那は集団に呑まれてラストの勝負に賭けざるを得ないか」

「翔魔様は意外とレースの解説に長けていらっしゃいますね。もっと適当に見ているものと思ってましたわ」

「しっかりと見ておかないと命の危険があるからね。あとで玲那に感想を求められた時に適当なことを言うと……。口では言えない地獄に叩き落されるのだよ。なんで、大会に来る時はいつも目を皿にして玲那のレースは見ているんだ。見るだけなら玄人なみだぞ」


 エスカイアさんが多少呆れた顔をしているが、本当に身の危険を感じる体罰を与えられるため、適当に観戦することはできないのだ。


 そんな玲那が集団に呑まれたまま、走りにくそうに一周を終える。レース展開はかなり遅い時間で進行しており、自分のペースで走れない玲那は苛立ちが顔に現れ始めていた。


「あわてるなぁ! 玲那なら、最後の直線で勝負できるから焦るな!」


 ラストのコーナーを集団が過ぎると、各選手が残していた体力を振り絞り、最後の直線でのスパート合戦になると、集団から抜け出すのが遅れた玲那の前が開けた時にはトップとはかなりの差になっていた。


「ああ、こんなに差があったら!」

「大丈夫。あいつは100m結構早いんだぜ」


 ラストの直線100mでかなりの差をつけられた玲那だったが、集団から抜け出すと、700m走ってきた疲れを見せないほどのスパートでグングンと先頭の選手を捕まえに行く。スタジアムは玲那の走りにどよめきが起こり始めていた。


「ああ! もうすこし! 玲那ちゃん! 頑張れ!」

「いけぇ!! 玲那!」


 トップスピードに乗った玲那がトップを走る選手に並びかける。トップの選手も負けじと加速するが、ストライドを大きくとった玲那の方がわずかに前に出る。そして、あと数メートルという所でその変化は起こった。玲那の顔が苦痛に歪んたかと思うと、膝が折れて前のめりに倒れ込んでいった。その瞬間、スタジアムが騒然としていく。トップの選手や他の選手がゴールしていく中をトラック上に倒れ込んだ玲那が膝を押さえて痛みを訴えていた。


「翔魔様! もしかして怪我をされたのでは!」

「わ、分からないけど。足が攣ったとかじゃなさそうだ」


 レースが終了しても、トラック上でうずくまったままの玲那の横に担架が寄せられていき、係員によって担架に乗せられて救護室へ運ばれていった。


「柊君、様子を見に行かないと。重症ならそのまま病院まで付き添わないといけないし、お母さまに連絡だけでも一報入れておくべきね」


 涼香さんが玲那の怪我が軽傷では無さそうだと見て、お袋に連絡を取るように勧めてきた。


「あ、はい。すぐに連絡入れる」

「翔魔様、とりあえず救護室に向かいましょう」


 俺達は玲那の連れていかれた救護室に向って走り出した。


玲那があんなに痛がってたことなんて初めて見たぞ。重症なんだろうか (柊翔魔)

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