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第八十五話 亀が硬いのは分かっていたけど硬すぎた。

誤字・脱字ありましたらご指摘お願いします。

 眼下に姿を現した巨大な亀の姿を視認すると神の眼のスキルが発動して魔物鑑定をしていく。


――――


 棘島亀ソーンアイランド・タートル


 魔物LV80


 害獣系統:動物系


 HP:84450

 

 MP:44340


 攻撃:11390


 防御:16360


 素早さ:3020


 魔力:12800


 魔防:10400


 スキル:熱線 攻撃阻害 棘矢 硬質化 巨大化 


 弱点:氷属性


 無効化:火属性


――――


 うはっ! これはやばいかも知れない……。ステータスに関してもちょっとぶっ壊れ系の害獣だな。数値的には静流さんよりも強い値を叩き出してきているから、ひょっとすると討伐できないかもしれないかなぁ。それに【巨大化】のスキルが不安しか感じさせねえ。


 ディスプレイに表示された数字の羅列を見て『SSランク』害獣が今までの害獣よりも際立った強さを持つ害獣であることを再認識していた。


 ディスプレイを眺めていると、眼下の棘島亀ソーンアイランド・タートルが甲羅の島に生やした鋭い棘をオレのいる場所へ目がけて一斉に撃ち出してくる。数千の棘が上空に撃ち出されると、意思を持っているようですべての棘がオレに向って飛んできていた。直ぐに欺瞞光弾デセプション・ライトブレットを発動させて数百発分を投下する。オレの生体反応を示す光を発する光弾に向けて、急遽進路を変えた棘が次々に着弾していくと、大きな爆発が連続して起こり、付近の棘も誘爆していった。


「ゲホ、ゲホ、あの棘は爆発するのかよ。まじで危険生物だな。これなら、国一つくらい簡単に潰せる力を持っているんじゃねえのか」


 初めて出会った『SSランク』級の害獣の攻撃力に思わず怯みそうになるが、ここでオレが怯んでしまったらビーチへの侵攻を許してしまい、結果としてドワーフ地底王国の主要港であるワズリンは壊滅的な打撃を受けて、復興することが困難な廃墟の街と化してしまうかもしれない。そんなことだけは避けなければならない。オレはビーチへ近づこうとしている棘島亀ソーンアイランド・タートルを沖へ誘導するべく、陸地とは反対側に向けて飛び出していった。


 オレに興味を持った棘島亀ソーンアイランド・タートルは再び海面から首をもたげると、こちらに向けて口から熱線を迸らせて叩き落そうとしていた。熱線の触れた障壁が大きくひび割れを起こして削られていく。その度に熱線の発する熱量が障壁の隙間から入り込み、さほど熱くないはずだが、オレは額から滴った汗が顎の先まで伝わって、足元に流れ落ちていった。


 蒸し焼きにされちまうかもしれないぞ。何とか手を考えないと……。


 棘島亀ソーンアイランド・タートルは、動きこそ鈍重でゆったりとしているが、攻撃の手数の多さと、甲羅の硬さから物理にも魔術にも耐性を見せつけてくれそうな気もしていた。試しに氷槍(アイシクルランス)を発動させてみるが、生半可な威力では弱点属性であってもダメージを負わせることもできていなそうであった。


「強い……。仕方ない。被害が出にくい海上だからちょっとだけ本気を出させてもらうか。今なら誰も巻き込まずに行けそうだしね」


 オレは瞬間転移インスタンテーニアス・トランジションを使ってグエイグの制作した【絶対に折れない剣】の試作品であるチタンブレードを呼び寄せると、武骨な実用性重視の青い刀身を持った剣を手に取り、一気に甲羅の島に目がけて急降下していく。


 接近するオレの姿を見た棘島亀ソーンアイランド・タートルは新しく先程の鋭く尖った棘を生やし、再度オレに向けて多数の棘を撃ち放ってくる。今回は棘が追撃に入る前に降下スピードを上げて潜り抜けると、背後から迫る棘ミサイルを多数引き連れて棘島亀ソーンアイランド・タートルの甲羅にぶつかりそうな勢いで頂上を掠るように通過していった。通過後、背後から追尾していた棘が棘島亀ソーンアイランド・タートルの甲羅に激突して盛大な爆発炎を浮かび上がらせて、後続の棘も次々に誘爆していく。


 やったぜ! 自分の棘でダメージ受けてたら世話がねえなぁ。へへ。


 自らの棘を甲羅に受けた棘島亀ソーンアイランド・タートルは怒り狂ったように飛び回るオレに向けて熱線を次々に放射していくが、熱線は的外れの場所を攻撃していた。


 痛みでのたうっている棘島亀ソーンアイランド・タートルへ更なるダメージを追加するべく、青色の剣を担いで上空に昇り、急降下をして棘島亀ソーンアイランド・タートルの直上から侵入していく。


 グエイグさんの作ってくれたコイツなら折れることはないはずだ。全力であの甲羅を断ち斬る。握った手にじっとりと汗が浮かぶが少なくない時間を修練につぎ込んできた成果をこの害獣で試させてもらうことにした。オレは東雲さんに教えられた通りに無駄な力みを抜いて刃筋を立てることだけを意識していく。


 そして、急降下の勢いを使いつつ、刃筋を立てることを意識した剣が棘島亀ソーンアイランド・タートルの甲羅にヒットする。コォオオンと甲高い音ともに甲羅にひびが入ったが断ち切ることまではできずに刀身ごと弾き返されてしまった。


「くそ、まだオレの腕じゃ、コイツの硬い甲羅は断ち切れねえか……」


 しかし、大質量の剣で叩かれた棘島亀ソーンアイランド・タートルの甲羅には大きなヒビが入り、ダメージは与えられているようだ。失敗こそしたものの、ダメージは与えられることが判明したので、今一度、上空に浮かび上がって攻撃のチャンスを窺うことにした。


「相変わらずの下手糞な腕前だな。剣に関してはお前には才能はなさそうだから、練習を怠るなよ」

「にしても、あたしは海が嫌だって言ったはずなのになんで……。まぁ、数百年に一度の『SSランク』を狩るためか……。柊翔魔、そこをどけ! その獲物はあたしの物だ。手を出すな」


 背後から男女の声が聞こえたため、振り返るとそこにはクロード社長が救援依頼を出していた天木料理長と静流さんが浮かんでいた。すでに転移ゲートを使って救援隊が到着をした模様だ。


「二人がいるとなるとビーチの方は避難が済んだのですね?」

「ああ、お前のチームがある程度避難させてくれていたからな。今は俺のチームも静流のチームも応援してほぼ避難を終えた。今回はクロード社長より三チーム合同で害獣に対処しろと命令がでているので、主任三人の共同戦線といこうか」

「あたしは一人で狩れるから邪魔するな」


 静流さんが天木料理長の提案を突っぱねようとしていた。


「この指示に従わないと、静流には日本での三か月間の謹慎処分が下るのだが、それでも一人で戦うか?」


 天木料理長の言葉を聞いた静流さんがギョッとした顔をしていた。


「そ、それは困る。し、仕方ない。お前等はあたしのサポートに回れ」


 それだけ、言い残すと静流さんは一直線に棘島亀ソーンアイランド・タートルの方へ飛んでいった。オレも天木料理長も苦笑いで静流さんを見送ったがサポートしろと言われたので、彼女のあとを追って再び棘島亀ソーンアイランド・タートルへ近づいていく。


あーめんどくさい人達が来たなぁ……特に静流さんが面倒だな。コッソリとバフ魔術かけて退治してもらおうかな。 (柊翔魔)

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