第八十四話 天才ならぬ天災が訪れた
誤字・脱字ありましたらご指摘お願いします。
聖哉が大海竜の頭を吹き飛ばした所でビーチからはやんやの喝さいが上っていたが、オレのディスプレイにはクロード社長からの通話が入っていた。通話許可をタップするとディスプレイには焦った顔のクロード社長が映し出されている。
「おぉ! 繋がった! 柊君、大変だ! たった今、もの凄い魔素濃度を持った害獣が君達のいるワズリン近郊の観測地点によって探知された! 至急、イベントを中止して住民を避難誘導させてくれ。これは社長命令だからね。機構からも緊急避難命令を出してもらっている」
クロード社長は明らかに動揺しているようで、今までにないほど要領を得ない話をしていた。緊急避難って、今、聖哉がSランク害獣の処理を終えて脅威は去ったことを知らないのかな。
オレはクロード社長がSランク害獣を討伐し終えたことを知らずにイベント中止を訴えていると思い、害獣処理を終えたことを伝えた。
「クロード社長、大海竜と巨大イカは討伐を終えましたよ。聖哉が単独で仕留めているんでご安心を??」
「馬鹿者っ! そんなランクの害獣ではないわっ! 数百年に一度出るか出ないかの害獣である『SSランク』の害獣が近寄ってきておるのだっ! 我が社始まって以来の『SSランク害獣』なのだよっ! 幾多の勇者を葬ってきた害獣が初めて現れたのだ。海パン一丁で気楽に倒せる害獣ではないぞ。目下、静流のチームと天木君のチームを向かわせている。到着までは柊君のチームは住民の避難誘導だ。けして、一人で戦ってはダメだぞ」
ディスプレイを一緒に見ていたエスカイアさんが、寒くもないのにカタカタと震え始めていた。
「どうしたのさ? 『SSランク』ってそんなにヤバイ奴なの?」
「翔魔様。は、早く住人を非難させましょう。『SSランク』はもはや天災レベルです。今までは、発生したら最後、その害獣が活動エネルギーを使い果たすまで、ひたすら逃げるしかないと歴史書には記されています。エルクラストの勇者では倒せない存在なのですよ」
「だったら、オレが倒してくるよ。それくらい強いと、オレの力も役に立つだろ? エスカイアさん、涼香さん、聖哉は避難誘導に回ってくれるかい」
オレの言葉を聞いてエスカイアさんが頭を抱えていた。どうやら、オレが戦うという意味が理解できないようだ。
「翔魔様!? 本気ですか? わたくし、今、『SSランク』は天災クラスだと申しましたよね? それで、なんで戦うという発想がでてくるのですか!」
本気でオレの事を心配して怒ってくれているエスカイアさんには悪いけど、避難の誘導が遅れるほど住民達が危険に曝されるので、ここで議論している暇はない。
「エスカイアさん、すまないが派遣勇者七係の主任としての業務命令を伝えるよ。『聖哉、涼香さん、エスカイアさんはトルーデさん達と合流して住民の避難誘導に当たれ』ってね。お叱りは後で受けるから直ぐに行動するように!」
「はっ! くぅ、仕方ありませんわ! 翔魔様! 絶対に無理はしてはいけませんよ。危ないと思ったらすぐに逃げてください。お願いしますから」
「ああ、分かっているよ。オレも死なないとはいえ、大聖堂にリスポーンされるのはご勘弁願いたいからね」
「ご武運を」
エスカイアさんはオレを止めることを諦めたようで、直ぐに避難誘導に頭を切り替えると、聖哉と涼香さんを呼び戻すために通話を始めていた。ビーチの方ではすでにトルーデさんが事態を把握したようでシュラーとともに住民の避難誘導が始まっている。その様子を確認したオレはSSランク害獣が観測された外海近くの海域まで飛行魔術で一気に飛んでいった。
しばらく飛ぶと、SSランククラスの魔素濃度が観測されたポイントに近づいていく。眼下には紺碧の海と2キロ四方の島が一つ浮かんでいるだけであった。どこにいるのか分からないまま飛んでいると、海面から熱線がこちらに向けて撃ち出されてきた。思わず障壁を張って受け止めるが、熱線からは今まで感じたことないほどの圧力を感じていた。さすがに天災と言われるだけのことはあるのかも知れない。
熱線の一撃で楽勝ムードは吹き飛び、海パン一丁で来たことをかなり悔やんだが、ここに至っては防具を取りに帰るわけにいかないので、自らの身体に能力向上系のバフ魔術を過剰にかけてステータスの向上をはかった。その間も海中から熱線は幾度もオレに向って撃ち続けられている。海中に隠れているであろう害獣の場所を特定するために魔物探知を発動させた。
自動で展開されたディスプレイ上の地図には自分の真下にいる害獣がいるはずだが、どう見てもいないので、熱線を避けるために眼下の小島に降りて再度、魔物探知を使って正確な位置を割り出すことにした。
「なんだこれ? 俺と位置が被っているじゃないか? 壊れたのか?」
ディスプレイには害獣の位置とオレの位置が被って表示されている。だが、周りに害獣の姿は全くといっていいほど見えなかった。周りを見渡していると、ふと気が付いたことがあった。なんか、この島って動いていないか? さっきから少しずつ景色が変化しているような気が……。
そう思った瞬間、地面から鋭く長い棘が一面に生えてオレの障壁をゴッソリと削り落としていった。慌てて空に浮かび上がると、眼下に見えていた島が変貌を遂げていた。
「マジか!? こんなにデカイ害獣なのかよっ!」
SSランクの害獣は巨大な亀であり、眼下に見えていた島は甲羅の部分であった。そして、熱線を放っているのは顔で海面から首を出し始めて、こちらを狙い始めている。こんなにデカイ害獣だとすると退治は不可能なのかもしれない。エスカイアさんの言った通り、これは『天災』クラスなのかもしれないぁ。
オレは眼下に姿を現した『SSランク』害獣を見て、自分が少し早まったことをしたのかもと思っていた。
こ、これが親父の言っていた〇メラという怪獣か! 甲羅から火を出して飛ばないだろうな (柊翔魔)







