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第七十二話 変異種の二律背反がもどかしい

誤字・脱字があればご指摘お願いします。


 エルクラストの大聖堂に着くと、機構の職員達が慌てた様子でオレの方に駆け寄ってきていた。


「柊主任。た、大変ですっ! この前、退治して頂いた銀水晶龍シルバークリスタルドラゴンの変異種ですが、調査の結果、人為的に変異するように作為的な工作がされていた痕跡が残っていたのですよ」


 機構の職員である女性スタッフが髪を振り乱して熱弁を振るっていた。この人は天木料理長が腕を振るう社食の常連さんで、エルクラスト害獣処理機構の害獣解析部門の考察班に所属するハーフエルフのヴィヨネットさんであった。つい最近まで食堂で挨拶を交わす程度のお付き合いだが、この前討伐した変異種の銀水晶龍シルバークリスタルドラゴンを調べにヒイラギ領にまで来たのでチーム総出で歓待をしてメンバー達と意気投合していた。その際にトルーデさんに特に気に入られて、メイド服姿にされてしまい、その事件以来、社食で昼食を共にするメンバー兼トルーデさんの専属メイド候補筆頭という認識をしている女性だった。


 エルフであるエスカイアさんよりも耳は少し短めだが、人間よりは尖っており、茶色いくせ毛と、細いフレームの眼鏡をかけ、目元にそばかすがうっすらと浮かんでいるが、エルフの血を引いているため、顔は整った作りをしている綺麗な女性であった。


「ヴィヨネット! 探しておったぞ。妾が東京で仕入れてきた最新のメイド服を着てもらって撮影会をしようと思うのだが……むぐぅ」

「トルーデ陛下、今はヴィヨネットさんのお話を聞くべき時ですわ」


 話が逸れそうになったのをエスカイアさんがフォローしてくれていた。メイド服を着させられそうだったヴィヨネットさんがほっと安堵の息を漏らしたのを見逃さなかった。やはり、メイド服を着てスマホで写真を撮られるのは恥ずかしいらしい。


「助かりました。本題の変異種が人為的に変異するように作られていたという話ですが、この前頂いた銀水晶龍シルバークリスタルドラゴンの死体から行動解析コードを調べていたら、瀕死になると周囲の害獣を同化させて能力を向上させる『同化』スキルが隠しスキルとして混入されていたんですよ。それこそ、鑑定系の眼を誤魔化すための偽装ステータスまでご丁寧に作ってあって本来のスキルを目隠ししてました。こんな、高度な偽装を害獣がするわけないし、絶対に何者かの手が入っていると思いますよ」


 ヴィヨネットさんが解析結果を書いたと思われる紙束をこちらに突き付けて熱弁を奮っている。人為的に害獣のスキル構成を書き換えることができる人物がこのエルクラストに存在するということになるのだろう。そういったことになると、あの場には人為的に変異能力を持ったSランク害獣が五体も集められていたと見るべきであろうか。


「まさか、あの場にいた五体とも変異する可能性が有ったとか言わないよね?」

「いいえ、柊主任が言ったとおりです。五体全部が変異の能力を持たされていました。この前、討伐したSランク害獣は何者かが意図的にあの場所に集め、より強い個体を作るための実験を行っていた可能性が……」


 ヴィヨネットの言葉によって、湖畔で見かけた黒い外套の人影を思い出していく。あの人影が実験を主導していた人物なのであろうか……。都内でも同じような外套を着た男が爆発時にうろついていた気もするが……。何だか、とってもきな臭い気がするが、かといって現状でオレにできることは何一つとしてなかった。


 とりあえず、機構と会社の方には外套を着た男の件は報告をしてあるが、一向に連絡が無いので男についての情報は得られていないのかもしれない。


「Sランクを同化させて強めた個体が街で暴れたら甚大な被害になっちゃうよね。それって、エルクラストに取ってとても悪いことだよね?」

「それが……一概に悪いとは言えないです。この前、柊主任が退治された変異種の銀水晶龍シルバークリスタルドラゴンが生成した魔結晶はかなりの高純度で滅多に見つからないほどの大きさでした。アレくらい大きいと退治できるという条件付きなら機構でも存在を容認する人が出てくるほどの純度でしたよ。魔結晶は転移ゲートやカード情報の維持管理、各種の便利な施設の維持に必要不可欠な資源なので……」


 ヴィヨネットさんが鼻先から滑り落ちそうになっていた眼鏡をクイっと上に上げると、真剣な表情で変異種の落とす魔結晶についての考察を語っていた。


 魔結晶がエルクラストにとって重要な資源であることは理解できるが、凶悪化した害獣を野放しにしておくことは、エルクラストに住む人達を危険な目に合わせることになるのだ。派遣勇者としては人々を危険な目に合わせることになる問題を放置するわけにもいかないので、この件はクロード社長にも伝え、機構の所長であるブラス老翁にも報告して対応を考えてもらうことにしよう。


「ヴィヨネットさん、とりあえずこの件はブラス老翁様には伝わっているでしょうか?」

「ええ、あたしから所長には連絡が入れてあります。機構側も対応を協議中となっていますよ。クロード社長も呼ばれていました。あたしは二人から柊主任に伝えるようにと仰せつかって、この場でお待ちしていた次第なので」


 すでにクロード社長もブラス老翁とともに変異種の対応協議に入っていたと知らされてホッと安堵する。現状でオレができるのは発生した変異種を退治することができるだけだ。


「そうか、ヴィヨネットさん知らせてくれてありがとう」

「いいえ、そんな大層なことをしてませんから……あたしも今からヒイラギ領の害獣発生現場に行くんで一緒に転移しますよ。協議の結果がどうなるにせよ。変異種の発生メカニズムや痕跡を洗いざらい調べ尽くしておきたいので」

「ああ、分かった。オレも護衛がてらあの湖を調べるのを手伝うよ」


 眼鏡をクイクイと直しているヴィヨネットさんを伴い、オレ達はオフィスのあるヒイラギ領へ転移していった。


トルーデ陛下がメイド服を着て撮られる喜びを感じているのをあたしの心を覗き見て知っていらっしゃる。でも、白衣も好きなんです。ごめんなさい、トルーデ陛下 (ヴィヨネット)

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