第五十五話 戦う前から祝勝会の準備をしてみる
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街全体に過剰なほどの防護魔術を掛け終えると、ちょうど救援隊であるチーム『クァットゥオル』の天木料理長達が到着した。
「翔魔……また、お前の所が厄介事を持ち込んだらしいな。けど、どうせ俺達の出番はないんだろ? 無駄にした食材費の請求は、お前のチームに回しておくからな」
昼食の仕込みの途中だったようで、天木料理長達は戦闘用の服ではなく、調理服に二本の刀を差して不機嫌そうにしている。めちゃくちゃ、ご機嫌斜めのようだ。食材を無駄にすることを嫌う天木料理長は、ビュッフェ形式の食堂においても廃棄する食材を可能な限り減らすことに心を砕く人であった。そんな人が緊急呼び出しで呼び出されて昼食用の仕込みをパーにされたら怒り心頭になるのは理解できる。
このままだと、食堂におけるオレの食事の質が意図的に下げられる可能性もあるため、応援要請前に考えていた案を天木料理長に伝えた。
「そうなると思いましてね。今日の仕込み分は、害獣討伐祝勝会のために作ってもらおうとクロード社長と機構のブラス老翁に掛け合ってもらっています」
「……そうか……残さずに喰えよ。会場はお前の孤児院か?」
「ええ、領民代表者も呼ぶと思うんで最低一〇〇人前程度の用意をしてもらえますか? 害獣の方はオレがキッチリと退治してきますんで」
「一〇〇人前か……いいだろう。その仕事は請け負った。なら、援護態勢は作っておくが、孤児院の厨房は借りるぞ」
「どうぞ、自由に使ってください」
援軍の天木料理長は、サポート態勢を取りつつ、孤児院で祝勝会の料理の仕込みを始めてくれるようだ。天木料理長が孤児院の厨房に向かうのと入れ替わりで、うちのチームの戦闘系メンバーが戦闘用装備に着替えてやってきた。グエイグも今回の討伐には参加してくれるようなので、パーティー申請を行っていく。
パーティーを組み終えると、可能な限り、能力向上系と防護魔術をかけまくり、メンバー達をバフ系魔術の放つ色とりどりの光によって七色に染め上げていった。初めて、過剰なバフ系魔術を掛けられたグエイグは自らの身体を見て驚いている。
「翔魔は相変わらず、無駄に多い魔力をドブに捨てるような使い方をするのぅ」
「みんなが死んだら困るから、万が一に備えているだけですよ。安心を魔力で買っているだけですって。一応、前衛はオレが務めますからサポートよろしくお願いしますよ」
トルーデさんは不満げだが、LV的にSランク害獣との戦闘において不安が残るメンバー達なので、オレの心の平穏を保つための消費であった。これだけ、魔力を膨大に使ってもMPは半分程度しか減っておらず、ジリジリと回復していっているのだ。
「翔魔さん、僕も一緒に前衛を務めさせてくださいよ。絶対に足手まといにはなりませんからっ! 派遣勇者として僕はもっと強くなりたいと思っているんで、一緒に戦わせて下さい」
生真面目な聖哉がともに前衛でSランク害獣と相対したいと申し出てきた。実力的には過剰に掛けたバフ系魔術でSランクと戦えるくらいの能力に引き上げられているので、この際、聖哉にはチームの攻撃の柱として経験を積んでもらうのも人材育成の観点でみれば必要と思われる。
危なかったら、オレがフォローすればいいか。トルーデさんやエスカイアさん、涼香さんも援護に回ってくれるし、何とかなるかな。
「いいよ。聖哉とオレが前衛を務めます。トルーデさん、涼香さん、エスカイアさん、グエイグさんは援護を頼みますよ」
「やったぁーーー! ありがとうございますっ! ガンバリマス!」
聖哉が喜びを爆発させたように槍を天に向かって突き上げていた。こういった面ではまだ子供な感じもするが、戦闘センスや状況判断なんかは、能力に頼り切ったオレよりも断然に素質があるので、チームの主任としてしっかりと能力を伸ばしてやりたいと思っている。
「翔魔様、そろそろ目的地に参りましょう」
「そうだね。では、これより領内のSランク害獣討伐に出発するよ。全員気を引き締めて取りかかるように」
こうして、オレ達は街から歩いて三十分くらいの場所にある魔境地区へ向かい歩き出していった。
食材を無駄にしたら天木料理長に日本で殺されそうな気がするから、祝勝会ではみんなに張り切って喰ってもらうとするか。ただ、子供達がいいものを喰い過ぎて美食家にならないか非常に心配だが。(柊翔魔)







