第二十話 猛獣使いだなんて称号はいりません
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静流のスキルのコピーがすべて終了するとステータス表示が切り替わる。
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柊 翔魔 年齢22歳 人間 男性 国籍:日本
社員ランク:F
勇者素質:SSS
LV21
HP:120120
MP:120120
攻撃:12120
防御:12120
素早さ:12120
魔力:12120
魔防:12120
スキル:スキル創造 スキル模倣 神の眼 神の奇跡 全系統魔術 全属性 全武器適性 全防具適性 全攻撃耐性 状態異常無効化 HP自動回復 HP増加 MP増加 攻撃力増量 防御力増量 素早さ増量 魔力増量 魔防増量 限界突破 交渉 教育 情報収集 索敵 読解 連撃 再生 立体起動
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コピーしたスキルのおかげで一気に能力値が増大しているため、数字的には対抗しえる能力になっている。胸をさわられた静流さんが全身に炎を纏ったかと思うと、薙刀が残像を伴って突き出されてきた。
「お前、絶対にコロス!!」
彼女とコミュニケーションを取れるかと思った。訂正、この野生動物とコミュニケーションを取ろうとしたら、命が幾つあっても足りないと判明しました。
残像を伴った斬撃を紙一重で避けるが、風圧が俺の頬の皮膚を軽く裂いて、血が滴っていく。
あぶ、あぶねえぇ。完全に殺る気だ。
HP自動回復と再生のスキルのおかげで、裂かれた皮膚はすぐに塞がっていくため、痛みは全く感じなかった。だが、このままでは埒が明かないので、魔術一覧から『スリープ』と『パラライズ』を静流さんに向けて同時起動させて発動させた。
面倒な人には麻痺して寝てもらうのが一番。
「なっ、これはっ! 卑怯な! あぅ……く、くそ。麻痺った。しかも睡眠までご丁寧に……くぅ」
敵である静流さんの方が数値的に強かったが、なんとか上手くコンボが決まって麻痺して身体が動かなくなったあと、眠りに落ちて会場の床に眠っていった。その静流さんの姿を見た人達から安堵の声が漏れ出していった。
全くもって危険生物なひとであった。今回は下手に手出しして逆恨みされるのも嫌だったんで眠らせておいたが、先程みせた凶暴さを考えると粘着される危険性があった。
嫌だなぁ。入社してすぐに会社のエース級の人に眼を付けられるだなんて……。仕事がやりにくくなっちゃうよ。
「いやあ、お手柄、お手柄。静流君を一発で麻痺らせて、眠らせるだなんて、猛獣使いの素質もあるのかね。頼もしい限りだ。HAHAHA。彼女の能力は飛び抜けていてね。昔は弟君が上手に操ってたんだけど、亡くなってしまって。それからは彼女のチームの副主任がなんとか制御してるんだけどね。生憎とその副主任が長期休暇中で今回はタイミングが悪かったと思ってくれ。その副主任も明日には戻って来るから、厳重に静流には注意を与えて、懲罰依頼をタンマリと与えるから、しばらくは襲ってこないようにしておくよ。それにしても静流の攻撃を捌いて麻痺睡眠コンボ極めるのは凄かった。さすが最強勇者といったところか?」
「やめてくださいよ。私はそんなんじゃないですって。クロード社長がまたそういうことを言うと、私が静流さんに襲われますから」
クロード社長は俺の肩をパンパンと叩いていく。
「君は自覚が足らんね。『派遣勇者』としての自覚をしっかりと持ちなさい。しっかりとね。その辺はエスカイアにもしっかりと指導するように伝えておく。さぁ、散々な入社式になったが君達は晴れて我が社の社員となった」
静流さんの乱入で散々な入社式になったが、おかげで機構側の人達からはトラブルメーカーの静流さんを制御できる人という認識を与えてしまったようだ。彼女が何か問題を起こしたら、オレが呼び出されて後始末をさせられそうな気がしてならない。なぜなら、オレが担当するチームは機構直轄チームだからだ。
嫌な予感しかしないな。クレーム処理なんてしたくないよ。オレ。
というわけで散々な入社式を終えると、クロード社長に同行し、エスカイアさんと涼香さんを連れ立って、涼香さんの社員証を登録することにした。
色々な説明を省いてエルクラストに連れてきているため、この社員証授与後はエスカイアさんを講師にまた色々と研修が予定されていた。
「さぁ、青梅君。ここに手を触れてくれ。そうすれば、柊君と同じ社員証が自動で生成されるから」
「あ、はい。ここでいいんですね。えい」
涼香さんはクロード社長の指差す黒い三角錐の石に触れた。その瞬間に涼香さんに☆マークが浮かんだので、人物鑑定してみた。
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青梅涼香 年齢28歳 人間 女性 国籍:日本
社員ランク:F
勇者素質:B
LV1
HP:20
MP:20
攻撃:20
防御:20
素早さ:20
魔力:20
魔防:20
スキル:事務能力 記憶力 人望 資金運用
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涼香さんは素質こそ高いものの戦闘向きなスキルではなさそうだ。どちらかというと、事務方の能力が有能に思える。クロード社長の話では涼香さんはオレのチームに配属されるのが決定されているとのことなので、荒事はオレが片付けて事務仕事の全般をエスカイアさんと一緒に手伝ってもらうことにしようかな。
「これが、社員証?」
「これがないと帰れないし、社員だと証明できないからね。それに紛失可能性もないし、色々と便利機能も付いてるから。スマホみたいなものと思えばいいよ」
「へぇ~、これがね……」
「んんっ! そこ! これから研修始めるので私語を慎むように。さぁ、講義と研修するわよ」
エスカイアさんが機嫌悪そうにしているので、クロード社長と別れて、オレが受けた講義と研修を涼香さんに受けてもらうことになった。そして、エスカイアさんの講義を受けたあと、系統試験、属性試験、武器適性試験、防具適性試験を受けた涼香さんは召喚魔術に適性があり、光属性が得意であった。武器は銃、防具は軽装鎧に適性があると判断された。
というわけで、研修を終えた涼香さん、エスカイアさんとともに定時が来たので退社することにした。
うわー絶対に静流さんの苦情処理係として機構の人に認識されたよ。でも、おっぱいは大きかった。いやいやそうじゃなくって(柊翔魔)
HAHAHA、柊君は実に優秀な勇者だ。これは各国の首脳達に売り込んで嫁候補いっぱい見繕ってやらねばならんな。静流は結婚の話を持ち出すと暴れるが、柊君ならそれとなしに自分の物にしてそうだしな。(クロード社長)







