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第百三話 自己研鑽はとても必要なことだと思う

誤字・脱字ありましたらご指摘お願いします。


 目的地のオリハルコン鉱山の候補地は魔境地区に隣接しており、そこに至るまでは飛空魔術を使用して飛んできたのだが、眼下には鬱蒼とした森林地帯が広がっていた。おかげで鉱山の候補地に至るまでの道は獣道程度のものしか整備がされていないようだ。


 討伐後に風属性の魔術使って道路が作りやすいように伐採しておいてあげよう。これも地味に労力使うからな。


「柊主任、そろそろ目的の場所に着きますよ」


 先頭で飛んでいた聖哉が目的地付近をだと告げる場所には比較的高い山があり、裾野には試掘で掘ったと思われる鉱山の入り口が見られた。


「あそこが試しに掘った場所か」


 アレクセイが指示をして試し掘りをしたオリハルコン鉱山は、希少なオリハルコンの含有率の高い鉱石が比較的浅い階層で掘り出されるようだ。


 オリハルコンはチタン鋼よりも硬く柔軟性も高いのだが、魔術によって形状を記憶させるまでは銅のように軟らかく加工が容易な性質を持ち、さらに形状記憶後は元のくすんだ銅色から光り輝く黄金色に変化するのだ。こういった性質を持つオリハルコンは武具や装身具としてエルクラストで人気が高く、金属の希少性も相まって高価な値段で取引されている。


 日本政府もエルクラストに調査団を送った際にとても興味を持ち、日本に持ち帰ろうとしたらしいのだが、日本に持ち帰ったオリハルコンはなぜか砂と化してしまうため利用を諦めた経緯もあるとエスカイアさんから教えられていた。なので、オリハルコンに関してはエルクラスト内での需要だけなのだが、それだけでも莫大な利益が見込めるほどの希少性の高い鉱物なのだ。


「魔境地区と隣接しすぎですね。徹底的に狩り尽しますか? ミチアス帝国はドラガノ王国と同じく貧乏国家で害獣駆除が進んでいないので、機構からも揉み手されながら研鑽修行を許可されましたからね。狩り尽しても怒られないと僕は思ってますけど」

「一応、エスカイアさんから機構に確認してもらう。オレはその手の交渉が苦手なんでエスカイアさんなら角が立たないように話をつけてくれるだろう」

「エスカイア先輩が交渉するなら機構も首を縦に振るしかないですよね」


 聖哉が機構に狩場とする魔境地区の申請を出した際の機構側の対応の早さをみれば、ミチアス帝国で魔境地区を幾つか潰しても喜ばれこそすれ、怒られることないとの確信を得ているようだ。確かに国家財政的に苦しいミチアス帝国が機構に依頼して害獣処理を行ったことは稀で、いつも機構側の持ち出しで害獣討伐を行っているとクロード社長も言っていたため、機構側も俺達が研鑽修行で害獣処理をしてくれるなら魔境地区を何個か潰しても怒らないはずだ。


 けれど、油断は禁物なのでエスカイアさんを通話で呼び出すことにした。


「これは翔魔様、今はミチアス帝国で修行中のはずでは?」


 通話画面に現れたエスカイアさんはヒイラギ領のオフィスで仕事をしていたようで、会社の制服に身を包んでキチンと化粧をしたイケている女性秘書らしさを漂わせていた。実際、もの凄く有能な秘書であり、やんごとない血筋の御令嬢で家事全般も完璧にこなすスーパーお姉さんな訳だが、色々あって今はオレの婚約者の一人となっている。人間的魅力で言えばオレはエスカイアさんの足元に及ばないのは日々感じているし、彼女がオレ好きでいてくれる理由も薄々と気づいているが、オレ自身が惚れてしまっているので見ないフリをして誤魔化してもいる。


 エスカイアさんはオレがエルクラスト最強の力を持ってなかったら好きにはなってくれなかったんだろうな……。ハッキリ言って人柄や外見じゃあ絶対に振り向かせることもできないレベルの女性だし。


 そう思うと目の前のエルフの美人秘書兼婚約者の顔をマジマジと眺めてしまう。


「えっと……翔魔様? ど、どうかされましたか? そんなにまじまじと見つめられるとわたくし照れてしまいますわ。ああ!? 夕飯の献立をお知りになりたいのですね。本日の夕食は金目鯛の煮つけと小松菜のお浸しにひじきご飯、すまし汁にしようと思っていますが」


 オレに見つめられたエスカイアさんはオロオロとした顔で夕食の献立を報告してくれている。その姿はすでに新妻そのものであった。


 こんな綺麗で可愛い人がオレの婚約者なんだよな。エスカイアさん以外にも涼香さんやクラウディアとも婚約している。オレに彼女達が惚れるほどの魅力があるんだろうか……オレは彼女達の隣に立っていていい男なんだろうか。


 彼女達との関係を考え出すと、消えていたはずの就活戦線時代の自信を打ち砕かれた弱気な自分が鎌首をもたげてくる。会社に入って人の役に立ちたいと一生懸命に仕事に励んで来たが成長こそしているものの、元となった場所があまりに低いので、隣に立つ彼女達を仰ぎ見てしまう癖がついてしまっているようだ。


「翔魔様? 本当にどうされました? 体調が悪いなら聖哉君に任せてお戻りになられてもよろしいんですよ」


 オレは後ろ向きになりかけた気持ちを抑え、彼女達の隣に立つにふさわしい男に邁進するべく、本来の目的である害獣処理のための魔境地区殲滅許可をエスカイアさんから再度確認してもらう。


「いや、大丈夫さ。ちょっと、色々と考えることがあってね。オレはもっと成長しないとダメだなって改めて実感しているところさ。さぁ、仕事の話をしよう。実は研鑽修行として指定した魔境地区の害獣を狩り尽したいと思っているんだけど、機構側に殲滅許可をもらってもらいたいんだ。殲滅地区は……えーっとF-012342とF-012343なんだけど。許可取れそう?」

「え!? あっ、はい。大丈夫ですよ。ミチアス帝国の魔境地区はどれも最重要殲滅可能区域になっていたはずです。許可はわたくしから取っておきますので、心おきなく殲滅していただいて結構ですよ」

「了解。じゃあ、機構への連絡頼む」

「ええ、承知いたしました。翔魔様、お気をつけて」

「ああ、夕飯までには戻るからよろしくね。じゃあ、一狩りしてくる」


 エスカイアさんに手を振ると、はにかんだ笑顔で可愛く手を振り返してくれていた。

新年あけましておめでとうございます。

久しぶりの更新となりましたが、本年中には書籍化されて出版されるはず、(初稿は終わってます)

またキャララフ等の情報も出版社様の許可が取れ次第公開させてもらうつもりですので、(株)総合勇者派遣サービスを今年もよろしくお願いします。

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