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弱者の一撃天を穿つ  作者: 社畜おじさん
ー1章ーー
8/8

初めての街

遠くから見えた時は高い塀に囲まれた街だったが、近付く程に凶悪になり、まるで城塞と言わんばかりのでかさだった。

街から一歩出れば魔物がいるこの世界では、寧ろこれ位凶悪な方が普通なのかもしれない。


「ヒビオ!あの列に並ぶよ。」


俺はオリッサさんに言われるがままに門の前に出来た列へと並んだ。


門の前にはそれなりの人数が並んでいた。ざっとだが30人位だろうか。

俺達の様に身一つの者達もいれば、馬車を馬に引かせた行商人だろう人達もいた。

その周りを囲むように歩く屈強な人達は、護衛に雇われた冒険者だろうか?

あれだけ強そうな人達に守られていればさぞ安心だろう。


列に並び30分程経った頃、門の前に着いた。


「よお!オリッサじゃねーか。もう依頼は完了か?」


門の前に立っていた兵士風の男が笑いながら問い掛けてきた。

どうやらオリッサさんとこの人は知らぬ仲では無さそうだ。


「あぁ、万事問題無しだよ!そんな事よりガゼフ、こっちの子の事で話しがあるんだよ。」


軽く俺に目配せをし、オリッサさんはガゼフと呼ばれた男と内緒話をし始めた。

多分俺が「迷い人」であると言う事を説明してくれているんだろうけど、こう言うのは目に付かない所でやってもらわないと気になって仕方が無い。


オリッサさんの話しを聞いたガゼフさんは、少しだけ困った顔をした後に大きく頷いた。

その後何故かオリッサさんと握手をし、俺の方へと歩いて来た。


「よお!オリッサから話しは聞いたぞ。なんだ……まぁ、あれだ。大変だったな…取り敢えず街へ入るのは問題無しだ。まだ色々と不安だろーが無理せずにやんな!」


ガゼフさんは、ポリポリと頭を掻きながら渋い顔からは想像も出来ないような優しい笑みを浮かべていた。


何だろうか、この人はきっと優しい人なんだろーな。突拍子も無いが、俺はそんな風に感じていた。



門を通り、街の中へと入る。

本当に自分は別の世界に来たんだと納得させられる街並み。レンガ造りの建物に、武器や防具を身に付けた人達。さらには、獣耳を生やした人間に、筋骨隆々の小さな背丈をしたおじさん?

道の端には沢山の屋台、その道を埋め尽くさんばかりの人。活気が溢れていると言うのは、きっとこう言う事を言うんだろうな。


オリッサさんに連れられて街を歩く、道行く沢山の人の群れにぶつからない様にするだけでゴリゴリと体力を削られてしまった。


そうして歩く事数分、どうやら目的地に着いた様だ。


「この建物が冒険者組合だよ。私らの様な冒険者が仕事を受けたり報酬を貰う場所さ。さてとっ!さっさと入るとするか。」


え?入るの?心の準備が出来ていないんですが?

めっちゃ怖い人とかいるんじゃないですか?

絡まれたりしませんか?

脳内のミニヒビオ達の会話が止まらない。いやだって凄く怖いし、知らない人が沢山いるってだけでも遠慮したいのに……


「何をおどおどしてんだい!男は度胸!さっさと行くよ!ほらほらほら!」


圧が凄い!

狼狽え続ける俺。関係無いねとばかりに、オリッサさんは俺を冒険者組合へと引っ張って行った。


「あぁ、……理不尽だ……」


「何か言ったかい?」


「いえ!何も!」


絶対に断れない雰囲気の中、冒険者組合へと入る。

扉を抜けた先には、予想通りの強面お兄さん達。斧やらハンマーやら様々な武器を身につけている。更には、ローブの様な軽装に、杖を身に付けた魔道士?だろう人達もいる。

そんな人達が一斉にこちらを見るんだ、キョドっても仕方ないよね?

そんな俺を、オリッサさんはチラッと見てから顔を伏せて溜息を吐いた。


「ヒビオ……ビビり過ぎだよ全く。」


そんな哀れな者を見る目で俺を見ないで下さいお願いします。心に来るものがあります。


そんなやり取りをしていると、周りの冒険者達の話し声が聞こえてきた。


オリッサは怖いだの、何でガキ連れてんだだの。ただ一番気ななったワードを、俺の耳は聞き逃さなかった。


「『絶望』のオリッサが帰ってきたぞ。」


何その怖いワード。

聞いた俺が絶望だわ。


「ガッハッハッハッハッ!帰ってきやがったかオリッサ。依頼は上々か?」


周りが少し騒がしくなって来た時、それをかき消す程の大きな笑い声と共にゴツイおじさんが現れた。

短く切りそろえられた白髪混じりの髪に、鋭い目付きと2メートルはありそうな身長。

盛り上がった胸筋に、はち切れんばかりの二の腕。人間かコレ?怪物じゃないのか?


「オルビスさん、ご無沙汰してます。依頼の方は問題無いんだけど、ちょっと別の問題が発生してね。」


そう言って俺の方を指差すオリッサさん。


「そっちのガキか?まぁいい、ちょっとこっちに来て説明しろ。」


そうして俺は、オルビスさんに連れられて冒険者組合の奥へと向かった。


誤字脱字がありましたら報告して頂けると嬉しいです。

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