終わりを告げた日常
主人公登場。ヘタレが成長していくのってワクワクするのは自分だけですかね?
何話か投稿した後に文章の修正を行う予定です。読みづらいとは思いますがご了承ください。
頭が痛い。
一体何が起きたんだろう?
授業が終わり、家に帰っていたはずなのに。何故いきなり見知らぬ森の中にいるんだろう?
苦痛な8時間の拘束時間が終わり、晴れやかな気分で下校していた筈だ。いや、正確には筈だったが正しいのか。
丁度学校を出て1キロ程進んだ所で視界が霞んだ。そして途端に身体から力が抜けていくような虚脱感。その後に訪れた激しい頭の痛み。
そして気付けば森の中。
これはあれだろうか?誘拐の様な何かしらの事件にでも巻き込まれたのか?
いやいや、そんな馬鹿な事があってたまるか。裕福とは言いづらい至って普通の一般家庭に産まれた俺を誘拐しても何の旨味も無いはずだ。
他の理由だって見つからない。人様の恨みを買う様な人生は送っていないと胸を張って言える。
こんな何の取り柄も無い自分が何故こんな目に合わなきゃいけないんだ…。
辺り一面木々が生い茂った森の中、人の気配なんてある筈も無い。不安だけが募り、他人よりも圧倒的に弱いメンタルが音を立てて崩れていくのが分かる。
「泣きてぇ…。」
誰に言うでも無く、溢れ出た不安が口から言葉になって零れた。
このままずっとここにいれば誰かが見付けてくれるだろうか?
何て希望的観測は立てない方が良いだろう。誰かに見付けてもらう前に脱水症状、または何かしらの野生動物に襲われて死んでしまう以外の未来が見えない。
だからと言って自分の体力がこの森を出るまで持つかと言われれば否だ。俺は自分の体力が他人よりも劣っているのを自覚している。
体格でこそ日本人の平均を上回る178センチ程であるが、線が細く周りからはモヤシと呼ばれていた位だ。
勿論運動部なんて入った事すら無い。入る気すら無い。出来る事なら一生ベッドの上でゲームをしながら暮らしたい。
「駄目だ駄目だ…思考が現実を逃避しはじめてる…」
とにかくこの場所から少しでも動こう、何か人の気配のする様な物を見付けられれば御の字だ。
そうして俺は森の中を彷徨う様に歩き始めた。
歩き出してどれ位経っただろうか、時間を確認しようにも目を覚ました時には荷物の全てを紛失していたのでスマホすら無い。
全くこの近代社会において手元にスマホが無いと言うのは不便なものだ…
なんて思考をぐるぐる回しながらひたすら足を進めていると、少し離れた所からガサガサと何かの動く音が聞こえた。
「人?…じゃないよねぇ…」
怖い、ただただ怖い。
ガサガサって!ガサガサガサガサって!何?野生動物?人ってそんな林を掻き分ける様な進み方しませんよね?熊ですか?もしかして貴方は熊ですか?アーユーアベアー?最悪猪ならまだ許せる。俺でも頑張れば木に登れる気がするからやり過ごせる。
張り詰めた緊張感の中、遂に林を掻き分けてソイツは現れた。
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