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ドロボウは夢叶える為世界を旅する(過去編)  作者: フロッグ
ドロ過去幕:苔むした町と夢望む白城
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暗い廊下

メリンは走り去ってしまい取り残された俺は城の中をぶらぶら歩くことにした。客室についている洗面室で顔を洗いスッキリしたところで昨日は見ていない方面に向かって歩く。


「そういえばメリン眼鏡かけなくても見えるのかな。見えてる雰囲気はしたけど。」


歩いている場所は窓が一切なくて長い廊下が伸びているだけだ。メリンに案内されたような客室以外の部屋があるのか教えてほしいくらい客室しかない階のように扉が延々とあるわけでもなく、ただただ先の見えない薄暗い廊下が伸びている。


「今までメリンに案内された場所はまあまあ明るかったけどこの廊下は薄暗いな。それに扉もないし。」


誰もいないので1人喋るが誰もいないので勿論反応は返ってこない。別に何を考えるでもなく歩いていたら1つの大きな扉が目の前に現れた。どうやら行き止まりらしい。


「おおやっとか。おじゃましまーす。」


興味本位で扉を両手で開くと驚愕の表情でこちらを振り返るメリンと目が合う。


「あれメリン。ここメリンの部屋か。案外近いんだな。」


「な、な、なんでドロがここに!?どうやって来たの!」


と驚きと困惑の混じった声音でメリンが言う。


「いや真っ直ぐの道だったからそんな驚かれても困る。」


「そんなはずはないわ!ドロの部屋から直通なんて!これじゃあわざわざ遠くの部屋にした意味がないじゃない。」


ものすごい慌てように俺は首を傾げる。ただ異常なくらい何もない薄暗い廊下を歩いていたらメリンの部屋についただけだ。


「また術式を間違えたのかしら。それとも丁度タイミングが良かったとか?」


「メリン。おーいメリン。」


「城内拡張は上手くいったのになんで城内変動は上手くいかないの。」


「メリン。聞こえてるか?」


「また本を漁らないと。必要なのは何かしら。」


ああ、またか。どうやらメリンは自問答が始まると周りのことは一切目に入らないらしい。どうしたものかと頭を掻くが何も浮かばない。いや待てよ。


「そういえば起こす時に頭撫でたらビクッとして起きたな。今近づいても全く気づかないだろうしやってみるか。」


俺は部屋の中をぶつくさ言いながら歩きまわるメリンに近づき頭に手を載せたところでメリンの動きがピタッと止まった。頭を撫でるとメリンはビクッとしてこちらを見る。


「な、何?」


「いやどうやったらこっちに気づくかなあって。起こす時に頭を撫でたらビクッとして起きたから、もしかしたらと思って。」


「だから頭を撫でたって?」


妙な威圧感をメリンが放ちながら言う。若干その圧に押され少し後ずさる。


「あ、ああ。まるで誰もいないかのように1人で部屋の中歩いてるしな。」


それを聞くとはっとした雰囲気でメリンは溜息をつく。


「それだからっていきなり人の頭を撫でる?」


「これで気づかなかったら色々試そうと思ってたんだけどな。」


メリンは顔を引きつらせる。


「一体何しようと思ってたのよ。」


「秘密。」


実際何をしようかなんて全く考えていない。これで駄目だったら諦めようと思っていたところだ。


「ところでいつまで頭に手を置いているのかしら?」


若干怒りが笑みにこもったまま言う。


「いや離すタイミングがなくて。でも面白いな。」


俺はそう言ってメリンの頭を撫でる。すると反射的になるのかメリンはまたビクッと肩を跳ね上がらせる。


「な、何するのよ!変態。」


「ひどいな。探索してて開けた扉がたまたまメリンの部屋だっただけなのに。」


「その言い方はずるいわ。」


メリンはコホンと咳払いをすると


「今回は何ともなかったから良かったけど今度からは、私がいいって言う時以外私の部屋には入らないで。部屋にも近寄らないで。いい?ドロ。」


有無を言わさない口調で、特に今度からを強調してメリンが言う。真剣な表情でそう言われたら頷くしかない。


「分かった。でもメリンの部屋って分かるように扉の前に何か掛けてくれよ。入っても良いとか駄目だとか。目印ないとうっかり開きそうだ。」


「じゃあつけとくわ。後探索する時は言って。この城は広いんだから。」


「自由に探索するから楽しんだろ?」


「よく分からないわ。それは。」


とメリンは苦笑する。


「楽しいからいいんだよ。」


「そう。ならいいわ。私はもう少し部屋にいるけどドロはどうする?」


「俺はもうちょっと城の中探索してる。」


「変なところには入らないでよ。たまに実験室もあるから。後飼育室も。」


「飼育室?何飼ってんだ?」


「秘密よ。」


なんとなく余り聞かないほうが良さそうだ。少しメリンは寂しげな感じだがもう少し部屋にいるということはすぐに会うだろう。朝食にはまだ早いだろうし。


「それじゃあ俺はまた適当にぶらつくよ。」


「あまり深く迷わないでね。探すの大変になるから。」


「分かってるって。」


何となくメリンが少し下を向いた隙をついて頭を撫でる。するとまたメリンはビクッとしてこちらを顔を赤くして睨みつける。


「ドロ!何してるの?」


「面白いからついな。じゃ。」


怒られる前に俺は逃げるように部屋から退散した。

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