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ドロボウは夢叶える為世界を旅する(過去編)  作者: フロッグ
2幕 4つ刃者 後編
57/83

舞踏会とそぐわない来訪者

遅くなりました。ここから自分の中では盛り上がりのスタートです。

どうやら舞踏会は城の中でも一番広いホールでやるようである。

ホールは2階にあり壁や天井にはいくつもの装飾が施されこのホールが美術的価値もあるものだということが分かる。床には円を中心にしアーチが広がりどこを見ても目を楽しませる。参加人数は中々な量だろうがこの広さなら問題ないだろう。ホールの端には楽器が並べられ舞踏会で生演奏をするようだ。相変わらず俺とナナシは端の方に陣取る。踊る気はさらさらない。全参加者が会場に入った所でキャリとカルフェが入って来た。

キャリルは俺が作ったドレスを着てくれていた。カルフェは薄茶の上品な服に着替えている。どちらも種族の色合いの服装で国の代表を服からも感じ取れる。

いつの間にか演奏者が楽器を持ち涼やかな音色を奏でる。それに続き緩やかな跳ねる音色、更に響くリズム音、静かな演奏が始まるとカルフェがキャリルに跪き手にキスをした。そしてカルフェは立ち上がるとそのままキャリルの手をとり踊りだした。しきたりで必ず式の主役が最初に踊りそこから賑やかな舞踏会が始まるらしい。

静かな演奏に合わせて踊る2人はまるで漂うようで思わず吸い込まれるように見入る。演奏が終わると踊りも終わり中心で踊っていた2人に拍手喝采が送られた。

2人は照れていたがホッとしたやりきった顔をしている。そして演奏は打って変わって明るい曲調に。

ここから先は自由な舞踏会だ。夜から朝まで祝いで踊り明かす。

男性がお辞儀をし女性が返すと踊り出す。中には男性同士でキレッキレの踊りをしたり女性同士で華麗な踊りをしている。はたまた男女ペアで競い合って踊っている人もいる。


「この中には入ってけねえな。」


「同感だよ。」


2人して傍観しているとちょこちょことこっちに歩いてくる少女がナナシにお辞儀をする。


「え?どうしよ。」


「行って来い。」


俺はナナシをむりくりお辞儀させると少女はナナシを引っ張ってどこかへ行ってしまった。頑張れナナシ。

俺は見学してる。そう思っていたのだが。


「あれ、ドロ?踊らないの?」


「キャリル、さっきは悪かったな。」


「いいよ、但し踊ってくれたら許してあげる。」


キャリルはいたずらっぽく笑い言った。


「俺は踊れないぞ。」


「しょうがないからリードしてあげる。だから行こ!」


と作法も何も無視して俺をキャリルは引張踊りの中心へ。


「ナナシはいなかったけどどうしたの?」


「ああ、連れてかれたよ。」


ゆっくりとリードされ踊りながら話す。


「ナナシも隅に置けないね。」


「そうだな。それにしても俺は見ているだけにしておこうと思ってたんだけど。」


「なあに?いやだったの?」


「いいや、それよりもカルフェとはもう踊らなくていいのか?」


「この曲になってからもう一度踊ろうと思ったんだけど逃げるように別の人と踊りに行っちゃって。」


「そうか、じゃあ後で理由は聞いてやるよ。」


「え?ドロ話かけるつもり?」


「ん?だってあいつこっちに来てからまともに気楽に話せる人いないだろ。だから折角だしな。」


「私じゃ気楽に話せないのかな?」


「そんなしょぼくれた顔すんな。ただまだ距離感が掴めないんだきっと。だからゆっくりと縮めていけばいいさ。」


「そうかなあ。」


「そんなもんだ。」


そこまで話し終わると回りで踊っている人達が円を描いて踊り始め次々に踊る人が変わっていっている。

これはペア替えってやつか?


「わ、そうだった。ドロ早くここから抜けないと。あ、ドロ!」


そこまで言うとキャリルは他の人に手をとられそのまま踊りの輪の中に混じってしまった。そうは言っても俺も混じっちゃっている。ペアの人には悪いな、そう思ってペアとなった人物を見ると。


「よう、ドロ。久しぶりだな?」


そう言って紺色の髪の女性が笑う。


「なんでお前がここにいるんだよ。ラビドー。」


「お前とついでだからゲームをしに来たんだ。」


踊りながらラビドーは意地悪く笑う。


「ゲーム?」


「ああ、ゲームだ。ってかお前踊れねえのかよ。俺がリードしてるから良いけどよ。」


「うるせえ。」


男口調でガサツそうなのに踊りは出来るらしい。結局俺はリードされたまま踊っている。最初に会った時とは服装は変わり正装だ。黒のパンツに黒いジャケットを羽織り紺色の髪を結んでいる。男装と言ってもいい出で立ちだ。


「おい、マッシャーはどこにいる?」


「おいおい目の前にいい女がいるのに他の女かよ、つれねえな。マッシャーはお前の相方に会いに行ってるぜ。」


意地の悪い笑みを深めマッシャーは言う。


「目的はなんだ。」


「ゲームをしに来たって言っただろう?」


そう言った途端ラビドーから殺気が漏れ出す。他の人達は気づいていないが間近にいる俺は冷や汗が背中をつたう。俺の無言を了承と取ったのか殺気を消しラビドーが話す。


「じゃあゲームといこうか。この舞踏会が終わる夜明けに俺はこの場所を静謐に変えてやる。その前にお前が俺を見つけて殺せば一件落着だ。面白そうだろ?ちなみにマッシャーが何やらかすかも分からないからリミットは短く見積もっといた方が良いぜ。」


「分かった。ようするにお前をすぐに見つければ良いんだな?」


「そうだ。シンプルだろ?」


「目的は他にありそうだが一先ず乗ってやる。さっさと見つけてやるからな。」


「はっは、いい意気込みだ。それじゃあ……」


スタートだ。最後にそう言い残すと丁度ペア替えで人が替わる。次にラビドーが組むはずだった人の目の前には誰もいなかった。

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