交流と安堵
今更ですがかっこつけて文字書くと漢字の上にいくんですね(汗)。初めて知りました。
俺達の目の前には続々と料理が並べられる。国賓はまだ城にすら入って来ていない。明らかにキャリルに要らぬ負担が掛からない様になっている。沢山食べても大丈夫なように国賓入場より先に昼食を食べさせ、交流時間まで落ち着いた時間を過ごせるようにし、そして王子だけに会わせる事で社交的な場面を極力少なくしている。至れり尽くせりだ。まあキャリルが辛い思いをなるべくしなくて済むのは賛成だがここまでやるとは。王様の溺愛っぷりが分かるな。
「ドロどうしたの?」
「なんでもない。」
キャリルはすっかり元気になりいつも通りだ。いつも通りにしているのかもしれないが。でも明らかに緊張は解れている。料理を運ぶ人達もそんなキャリルを見て嬉しそうにしている。キャリルは本当に愛されてるな。
「キャリルは幸せ者だね。」
俺に小声でナナシが言う。
「そうだな。」
料理が並び終わると早速3人で食べる。
「やっぱり1人より美味しい。」
キャリルは嬉しそうに料理を頬張る。朝食をあまり食べなかったせいかキャリルは次々食べていく。
俺とナナシも食べ、合間にこれ美味しい等料理の感想を言い合ったり楽しい時間を過ごした。
「ふう、美味しかった。」
料理の無くなった皿が次々に片付きテーブルの上はティーカップが3つだけになった。
料理を食べ終わった後ゆっくり談笑しているとどうやら国賓が城に着いたようだ。と言っても別に迎えに行くわけでもないので関係はない。交流時間まで俺達はキャリルと一緒にいるだけだ。
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「ここがキャッローツ王国。大きいな。」
城を見上げた王子、カルフェは感嘆を漏らす。不安しかない。相手の女性の事が交流時間まで分からない。
そうカルフェの一番の不安は結婚する相手の女性だ。見たことも話したこともない相手と結婚なんてするとは思っていなかった。これも国のため仕方がないが城で一度話したあの人を思い出す。もう一度会いたいものだ。カルフェは直ぐに叶う願いも胸に抱き城へと入った。
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ゆっくりしているとあっという間で交流時間がやって来た。流石にキャリルも緊張しているようで少しカップを持つ手が震えている。
「大丈夫だ。隠れて俺達は見てるから。」
「えぇ!いいのそれ?」
「別に関係者じゃないからいいだろ。もし何か言われたら迷いましたで済ます。」
ということで陰で見守ることにした。
「ありがとう。ドロ。」
交流時間は庭で過ごすらしい。俺達は一度庭を見ているので隠れる場所の目星はついている。
「さて、ここまでかな。俺達は先に庭で隠れてるから。一旦お別れだ。しっかりなキャリル。」
「いつも通りでいいからね。無理しちゃ駄目だよ。」
部屋を出て一度お父様に会ってから庭に向かう私とドロとナナシは別れる。2人の言葉に頷く。頷きを見るや2人は安心した表情をして庭に向かった。ドロとナナシがいなくなり一気に不安と緊張が押し寄せる。
大丈夫落ち着いて。ドレスの裾をぎゅっと握り目を瞑る。決心がつくと私はお父様のもとへ歩き出した。
「よしここいらでいいか。」
「うん、ここなら流石にバレないでしょ。」
俺とナナシは庭の端、ギリギリ話が聞こえる程度の木々に隠れている。これでいつ来ても大丈夫だ。
「キャリル大丈夫かな。」
「大丈夫だ、キャリルなら。むしろ俺は王子の方が心配だ。」
「?」
「しっ来たぞ!」
あれは王子か。どうやら待ちきれなさと不安で早く来たな。もうここからでも顔色がどんどん悪くなってるのが分かる。ファイトだ王子。あんたには勿体無いくらい良い子だぞ。良かったな。心の中で王子に声援を送る。するとなんとこっちを見て近づいてくるではないか。
「ドロ!こっち来るけど、何かした!?」
小声でこちらを責める声。
「いや、何もしてないだろ!?」
心の中で応援はしたが届くわけがない。届いても困る。慌てて息を潜め隠れる。王子は丁度俺とナナシが隠れている木に手をつき溜息を吐いた。
「不安でお腹が痛くなってきた。一体どんな人だろう?ああ、今からでも逃げたい……。」
王子はさっきよりも大きく溜息を吐いた。俺とナナシには気づいていないようだ。ただ手をつきたい場所が欲しかったらしい。まどろっこしいことしてくれたもんだ。
「あの、大丈夫ですか?」
カルフェは聞き覚えのある声に勢い良く振り返る。
「あ、あなたは庭であった。」
これは夢か?何故ここにこの人が。ここには王女が来るはず。
「お久しぶりです。あの時は素性がバレると後でややこしかったので名前は伏せましたが私はキャリル。あなたの婚約者です。」
キャリルと名乗る少女は少し頬を染め言う。もう一度言おう。これは夢か?いや夢だ。こんな奇跡あるのか?
「どうしましたか?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
目の前の木に頭を打ち付ける。夢じゃない?夢じゃなかった!痛い!でも嬉しい!
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫です。すいません、取り乱してしまって。」
「あの、もしよければ敬語をお互い止めませんか?今日でその…夫婦になるわけですし。」
「はい、大丈夫です……じゃなかった大丈夫だよ。」
「良かった!敬語あまり得意じゃなくて。」
そう言うと彼女は笑う。ああ……可愛い。
「私はカルフェ。名乗るのが遅くて申し訳ない。これから一緒になるわけだけどよろしく。」
「こちらこそよろしく!カルフェ。」
おうおう良い感じだ。ニヤケが止まらないな。ナナシも口に手を当て静かにニヤニヤしている。
このまま聞いていよう。
「夢のようだ。」
ポツリとカルフェは言う。
「?」
「ああ、すまない。ここ数日ずっと君のことを考えていた。君が相手の国の王女様だったらいいのにって。でも本当にそうだったなんて。私は嬉しいよ。本当に嬉しい。」
噛みしめるように言うとカルフェはポロポロと泣き出した。
「すまない…本当に嬉しくて。不安が安堵に変わったらつい、つい。」
そこまでしか聞き取れなかった。キャリルが嗚咽し泣きじゃくるカルフェを抱きしめたから。
それから数分カルフェが落ち着くまでキャリルはそのままだった。
「落ち着いた?」
「すまない、情けない姿を見せた。」
「いいんだよ。これから支え合っていくんだし。」
ぽんぽんとキャリルがカルフェの頭を撫でる。
「ねえ、そろそろ時間じゃない?」
小声でナナシが言う。木からは離れたので一応聞こえないはずだ。
「そんな時間か。早いな。」
ん?庭に誰か入って来る音が聞こえるな。
「仲睦まじいところ大変失礼します。そろそろお時間です。」
どうやら時間を知らせに来たらしい。次はいよいよ結婚式だ。キャリルもカルフェも召し替えするのだろう。カルフェはまだ目が赤いが誤魔化せるだろうか?俺が心配してもしょうがないか。2人は揃って庭を後にし残るのは俺とナナシだけになった。
「大丈夫そうだな。」
「うん、優しそうな人で良かったよ。」
城に戻る2人の後ろ姿はまだ頼りないけれど2つの国を治めるだろう立派な王と王妃に見えた。
一応後書きでも出来るんでしょうか?
お試しで
針撃
針山
透明壁
今までカタカナだけだったのでこれで出来るはず!これからはこの機能使おう。
因みに1章のやつです。




