式当日と他愛もない話
式当日です。
式当日
俺とナナシはいつも通りに起き朝食をとった。式があるからか朝食から豪華でパンパンになるまで食べさせられた。キャリルは流石に緊張しているのか余り食べてなかったようだ。式は昼頃から始まり夜に終わる。内容はざっとこんな感じらしい。
ーー昼頃ーー
国賓入場
昼食
王女王子交流時間
ーー午後ーー
結婚式
交流時間
舞踏会
閉会式
ーーーーーー
案外こう見るとやることが少ない。俺とナナシは始まるまで何もすることがないのでゆっくりしていていいのだが城の人達は大忙しだ。キャリルは着付けがあって部屋でドレスを着ている。今日だけで4回もドレスを変えて着るそうだ。そのドレスの中に自分で作成したドレスがあるのが誇らしい。しかもトリに着ることになっている。キャリルが着るのが楽しみだ。結局着たところはまだ見せてもらっていないので今日の舞踏会が最初のお披露目だ。
「そろそろかな。来るの。」
「そうじゃないか。」
ナナシは窓から外を眺める。俺は椅子に座り天井を見上げる。下ではバタバタと動いているはずなのにここには届かない。正装には着替えているので後は降りるだけだ。
「そろそろ降りるか。」
「うん。」
下まで降りると王様を先頭にぞろぞろと城を出て行く。国の門から城まで歩くらしい。王子は交流時間まで
王女を見ることが出来ない。どうしてかそんなルールを作っていた。キャリルは王子を知っているが王子は
キャリルを知らない。あんなに結婚を嫌がっていたのだ。不安は計り知れない程だろう。俺とナナシも最後尾に付いて行こうとしたが呼び止められた。
「申し訳ありませんが、2人はキャリル様と一緒に居てもらっても良いですか?キャリル様の申し出でして。」
俺とナナシは顔を見合わせる。願ってもないことだ。別に行列に付いてく理由もない。ナナシも目配せでいいと言っている。決定だ。
「ああ、大丈夫だ。それでキャリルは何処に?」
「部屋におります。よろしくお願いします。」
「分かった。」
俺とナナシは早速キャリルの部屋に向かう。
コンコンコン
「どうぞ。」
「じゃまするぞ。」「おじゃまします。」
ドアを開けて入る。そこには桃色のドレスを着たキャリルが座っていた。いつもの元気な雰囲気とは打って変わって大人びた雰囲気を感じる。
「似合うね。」
「そうだな。」
「ありがとう。」
キャリルは照れながらお礼を言う。
「俺達は一緒にいて良いのか?」
「うん。お父様が別に国の関係者じゃないんだから好きにしていいって。」
王様、やっぱり娘に甘いな。
「そういえば昼食はどうするんだ?交流時間まで王子はキャリルを見られないんだろう?」
「ここで食べるよ。」
「じゃあ僕達もここで食べるね。」
「ありがとう、本当は1人で食べるのは寂しいし緊張であまり食べられそうになかったんだ。」
「ってことは昼まで自由じゃん。やったな。何するか。」
「いつも通り話をしようよ。」
キャリルのしたいことを尊重していつも通り他愛もない話をすることにした。キャリルも最初は式の緊張で顔が強張っていたがいつもの元気な表情に戻っている。
「そういえば2人は式が終わった後どうするの?」
少し他愛もない話をした後キャリルが聞く。その瞳には言葉にしづらい感情が揺らいでいる。
「僕も聞いてなかった。どうするのドロ?」
ナナシもキャリルの瞳に灯る感情に気づいている。それを踏まえて聞いているのだ。
「そうだな……。この国を出る。」
その言葉を聞いた途端キャリルの瞳には悲哀の色が灯り顔が悲しそうに歪む。
「そんな悲しい顔するなよ。それに今から式だろ?笑顔だ笑顔。」
俺は手で口角を上げて笑顔を作る。それを見てキャリルは少し笑う。
「でも寂しいなあ。数日だけだったけど2人と一緒にいる時は今までで一番楽しかったよ。」
「僕も楽しかったよ。友達になれた。」
「俺も楽しかった。」
「……ねえ。また2人はこの国に遊びに来る?」
「ああ。当たり前だ。」
「うん絶対に遊びに来るよ。」
「約束だよ?」
「ああ。」「うん。」
そこまで言うと誰からともなく笑った。
もうすぐ昼食だ。きっとニンジンの多い彩りがオレンジの3人で食べる最後の昼食。
次で式の午前中終わるかなあ。




