王への頼みごと
本当は前編後編にすることにしてなかったんですがね。まあこれはこれであり…かなあと。もしかしたら番外編の章等変更あるかも知れません。
キャッローツ王国に着いてからは驚きの連続だった。
キャリルが門をくぐり国に入るとパラパラなる楽器が吹き鳴らされまるで戦から帰ってきた英雄が凱旋したかのような雰囲気だ。
俺達付いてきてる身としては恥ずかしい。
キャリルのおかげで手厚くもてなされ城の客室に泊まることになった。こんなに歓迎されていいのか?コソドロだぞ?城まで案内されると王の玉座まで連れていかれキャリルと共に並び立つ。
「ただいま帰りました。お父様。」
キャリルはゆっくりと規則正しいお辞儀をする。
「ぬおお娘よ!どこに行っておったんじゃ!儂は心配で心配で夜も眠れなかったぞ。」
どうやら泣きながら飛んでくる人が現王、キャリルの父らしい。
「落ち着きなさい。でも本当に無事で良かったわ。」
キャリルに歩み寄り頭を撫でているのがキャリルの母だろうか。なんという娘の溺愛っぷり。
俺とナナシは空いた口が塞がらない。
キャリルはそんな俺達を見て顔を真っ赤にして叫ぶ。
「お父さんお母さんそこはもっとちゃんとしてよ!私が恥ずかしいじゃない。」
「だって本当に心配だったんじゃもん。」
しゅんっと王様がすねる。ああなんか親子だな。キャリルもそう言われると何も言えないのか申し訳なさそうにしている。
王と言うよりただの娘を心配する父親といった感じだな。
なんだか郷愁が思い出され寂しい気分だ。ナナシも同じように少し悲しそうに見ている。
俺達がキャリル達のやり取りを見ていると王様がこっちに気づいた。
「おお!そなたらが娘を守ってくれた者達か!本当にありがとう!」
さっきの泣き顔は何処へやら今では王の顔をしている。切り替えが早くて少々面食らいそうだ。
「別に危ないことも無かったし。」
「うん。こっちとしては楽しかったしね。」
俺とナナシは頷き合う。
「娘の婿の2人、3人目にならんか?歓迎するぞ。」
これにはキャリルもさっきの羞恥で真っ赤になったのを通り越して更に真っ赤になり
「ちょっ!やめてよ!」
と王にパンチをお見舞いする。顔は嬉しそうなのは気のせいか?
「痛ッ!冗談じゃよ。さて何かお主達に礼をしたいんじゃが何がいいかのう?」
何かくれるらしい。これは有効に利用するしかないな。
「どうするのドロ?僕は別に何もいらないからドロが決めていいよ。」
「分かった。じゃあ2つお願いしてもいいか?」
礼と聞いた時点で浮かんでいた。どっちも通るのが望ましいが。
「ふむ内容にもよるがなんじゃ?」
「まず1つ目は聞きたいことがある。」
「おおいいぞ。娘を嫁に貰いたい以外であったら儂の知る限りのことなら教えよう。」
この王様、娘溺愛しすぎだろ……良く結婚させようと思ったな。
「それじゃあ遠慮なく。キャリルや王様、王妃様は人の形をしているが何故住人は違うんだ?」
城に入る前に城下町を通ったがやはりニンジンが歩いていた。ジャガイモの国もだ。
城にいた2人(キャリルの婚約者?カルートッフェッリ王国の現王?)以外の国にいたのはジャガイモだった。(マッシャー、ラビドー除く。)
どういうことなのかずっと気になっていたが王なら何か知っているだろう。
「ふむ。そうか知らぬか。」
王様は少し黙考した後「まあ、いいじゃろう。」と小声で言うと
「お主達は『真名』は知っておるか?」
「真名?」
「その者本来の名前という意味じゃ。魂に刻まれた名『オリジナリーネーム』とも言われておる。」
「それは何か関係あるのか?」
「大アリじゃ。それより王に向かってタメ口とはどうなんじゃ?」
「別にいいだろ?」
がっくしと王様は肩を落とすが元々敬語とかは苦手だ。
「しょうがないのう。話を戻そう。真名は1人1人が持っておると言われておる。特に王族は思い出しやすいようじゃ。」
「思い出しやすい?」
「思い出さぬままこの世を去る者もおるからな。」
ふむ、なるほどそういうことか。
「じゃあ思い出した場合人型になるってことか。」
「察しがいいのう。たまに変わらない者もおるがそういうことじゃ。」
そうか…てことは自分にもあるのか?『真名』ってのは?
「あ、言い忘れておったが人族に近い者は真名は無いらしいぞ。ただ前例が無いだけかもしれんが。」
無いのかも知れないしあるかも知れないってことか。今更名前が変わるのはしっくりこないから別に思い出さなくてもいいな。
「それ以外に聞きたいことはあるかの?」
一番聞きたかったことを聞けたし後で最悪また聞けばいいだろう。
「いや無いな。」
「そうか、それじゃあもう1つの願いは何じゃ?」
俺としてはこっちのお願いの方が重要だ。
「ここに服を作る場所はあるか?」
一応この話している時間帯は夜ですかね。まだこの章になってから2日目です。長いですね。




