犯人探し
遅くなりました。
ドロとキャリルが城に忍び込んでいる間、ナナシは1人城下町を歩いていた。
道行くジャガイモに声を掛けても知らないの一点張り。
それでも諦める事無く探し続ける。城下町を抜けた先に貧民街があると教えて貰った。
城下町はまだマシだが貧民街は住めたもんじゃないとのこと。
もしかしたらそこだったら情報が得られるかもな、そう言われたので今僕は貧民街に来たのだ。
入り口にはアーチ状の看板が立っておりどうやらここからが貧民街ということを表すようだ。
文字がジャガイモ語なので意味は分からない。だが明らかに看板の先はゴミが散乱し建物も黒ずんでいる。
看板を眺めていると後ろから声を掛けられた。
「あのう、すいません。」
振り向くと町にいるようなジャガイモでは無く青い服を着たジャガイモ2人が怪しげにこちらを見ている。
それもそうだろう、なんせ人なんてここいらでは見当たらないのだから。
「なんですか?」
「失礼しました。私達はこの国の警備の者です。最近この国ではジャガイモ狩りと言うのがされてまして。今犯人を探しているのです。何か知っている事などありませんか?」
不審者を見る目で僕を見ながらジャガイモは声を掛けた理由を話す。
「知りません。僕もジャガイモ狩りをした人を探しているので。」
「何故ですか?あなたには関係の無いことでしょう?」
もう1人のジャガイモが言う。
「いいえ、関係あります。大切な友達が狩られたんだから。絶対に見つけます。」
「そうなんですか……。申し訳ありません。あなたを疑っていました。
お名前をお聞きしてもいいですか?」
「僕はナナシです。他に2人自分の友達?仲間がいて名前はドロとキャリルです。」
「そうですか。分かりました。もし見つけた場合は城の方に連絡をお願いします。
もし情報が入った場合はなるべくお伝えするので。」
「分かりました。こちらこそよろしくお願いします。」
警備のジャガイモは僕に一礼をすると歩いていった。
「出鼻は挫かれたけど入ってみよう。」
僕は貧民街へ足を踏み入れる。ちょっと奥へ進むともう周りは薄暗い。
まだ朝なのにズンッとした暗さが立ち込めている。
見渡すとゴミが想像していた以上にあり建物も黒々としている。
なんだかカビが建物に生えたような雰囲気だ。
家屋には何を使っているんだろう?
僕は貧民街に住むジャガイモを探すことにした。
聞いた話によるとそこまで貧民街で過ごしているジャガイモはいないらしい。
表向きは。
カルートッフェッリ王国は貧困層が多い。
なのにそんな様子をしたジャガイモがいないのは何故か?
貧民街にそうした貧困層のジャガイモ達を押し込めているから。
貧民街のジャガイモは滅多に城下町を歩くことは出来ない。
そう聞いているのでかなりのジャガイモが住んでいそうな気はするのだが。
「見当たらないな。」
奥にどんどん進む。周りを見ても黒ずんだ建物と元は何だったのか分からないゴミが落ちている。
建物はあるが人の気配は無い。黒々とした建物は半壊状態で無残だ。
黒ずんだ建物はまだマシとはいえ酷い。
こんな建物にはいてほしくないな、内心そんなこと思い、歩く。
歩いて5分程経った位にようやく人が住めそうな家?どちらかといえば小屋が立ち並んでいた。
城下町の家と同じ壁の色だが屋根の色は町よりカラフルだ。
赤や、緑、紫等色が塗られている。
住む場所の目印だろうか?
同じ色の屋根をした小屋もある模様。
丁度朝日が入ってきて小屋を照らす。後ろを振り返ると薄暗い。
僕は小屋を見て回る事にした。小屋に近づくと丁度小屋からジャガイモが出てくる。
貧民街の事を聞きたかったので声を掛ける事にした。
「すいません。」
「うお、なんだい!?ジャガイモ狩りかい!?」
「いえ、違います。驚かせてしまい申し訳ありません。」
「はあ、良かったよ。ジャガイモ狩りじゃなくて。」
「この街でも被害があったんですか?」
「ああ、そうさ。城下町より被害が出てる。」
「そうだったんですか。僕は今そのジャガイモ狩りを探していて。何か知っていることはありませんか?」
「残念だけど、あたしゃあ知らないね。」
オバサンジャガイモは体を振る。首を振っているのだろうが首が無いので体ごと振っている。
ジャガイモ狩りはついでに聞くつもりだったので手間が省けた。
本題のこの街のことを教えてもらう。
貧民街には総勢3000ものジャガイモが住んでいる。
どうやらここには城下町からあぶれたジャガイモ達も住んでいるらしい。
中々国力が大きくならず貧困層が増える一方なのだそうだ。
小屋の屋根は目印になっており色によって次に城下町に移るジャガイモを区別している。
奥に行けば行くほど城下町に入る後続のジャガイモ達らしい。
更に言えば貧民街にも治安の良い悪いがあるらしく後続のジャガイモは特に荒れているそうだ。
僕はオバサンジャガイモにお礼を言ってその場を立ち去る。
治安の悪い奥の小屋を目指す。なんとなく犯人が行きそうだと思ったからだ。
治安の悪い小屋は屋根が黒い。
他の小屋は色とりどりだがその箇所だけ底暗い感覚を覚える。
それでも真っ直ぐに黒い小屋を目指す。
実際余り遠い訳ではないのだ。せいぜい赤い小屋から300mあるかないか。
貧民街に来てからオバサンジャガイモ以外のジャガイモには出会っていない。
そろそろ太陽も高くなってくる時間なのに。
僕は小屋を眺めながら黒い小屋に向かって歩く。
結局黒い小屋に着くまで他のジャガイモに会うことは無かった。
到着した黒い小屋はどんよりとしていて人の気配を感じない。物音一つしないのだ。
他の小屋は物音はしたし気配もした。
出てこなかったのは単に僕がジャガイモ狩りかもしれないと警戒したからだろう。
それなのに黒い小屋はしんと静まり返り何も聞こえない。
僕は立ち並ぶ黒い小屋を見て回る事にした。小屋の一つ一つの扉は固く閉ざされ開く気配は無い。
真っ直ぐに立ち並ぶ黒い小屋を端から眺め歩く。
どの小屋も同じ形、同じ雰囲気、太陽が昇っているにも関わらず薄暗い。
すると一つの小屋だけ太陽の光を浴びている。それに扉も開いている。
丁度いいから話を聞いてみよう、とその小屋に足を向ける。
だが、今までの小屋と違いなにか音がしているのに気づく。
足が止まる。なんでだろう?あの小屋の中で起きている事を見てはいけない気がするのは。
覗いてはいけない。回れ右をして元来た道を戻った方が良い。心の声が警鐘を鳴らす。
悲しいことに僕は吸い寄せられる様に小屋に近づいていく。
これが怖いもの見たさというものだろうか?
扉の陰に隠れ中を伺う。
すると中にはこの場所では異様な紫を基調としたドレスを来た少女が立っていた。




