お願い
俺達はいきなりの自己紹介にポカンと口を開ける。
「あなた達は?」
キャリルに言われ俺達も各々自分の名前を名乗る。
「俺はドロ。」「僕はナナシ。」「私は魔ペットでございマス。」
「ふんふん、ドロにナナシに魔ペットね!よろしく!!」
「あ、ああ、よろしく。」「よろしく。」「よろしくお願い致シマス。」
はつらつとした少女に俺は気後れを隠せない。
「ねえ、あなた達、私の国には来たことある?」
「さっきカルートッフェッリ王国には行ってきたよ。」
ナナシはキャリルの言った国とは別の国名を口にした。
「カルートッフェッリ王国?」
「うん、ジャガイモが歩いててびっくりしたよ。」
ナナシが言うに親切なジャガイモが換金から薬屋の居場所まで教えてくれたらしい。
「名前はポーティトっていうんだ。今度行った時にご飯食べるんだ。勿論2人もね。」
なにやら約束を勝手にしてきたらしい。でもここまでナナシが帰ってこれたのもポーティトというジャガイモのおかげだ。お礼はしないと。
「分かったよ。じゃあ次行った時にそのポーティトって奴にお礼しないとな。」
「うん!!本当に良いジャガイモだったんだよ!!」
ナナシは絶賛しているが一体どんなジャガイモなんだろうか?ふとキャリルに目を向けると視線が合う。
「悪いな話の途中に。それで話ってのは?」
キャリルは胸を撫で下ろし口を開く。
「その…………今ナナシが話してたカルートッフェッリ王国のことなんだ。私の住んでるキャッローツ王国と仲が良くなくて。原因は分かってる。キャッローツ王国は富のある国、そしてカルートッフェッリ王国は貧困の国。キャッローツ王国の人達は皆カルートッフェッリ王国の人達を馬鹿にしてるの。貧乏で貧相で汚ならしいって…………。」
「そんなことないよ!」
とナナシは反論する。
「うん、絶対そんなこと無いって私も思ってる。だから直接この目で確かめたいの。それでお願いがあるの。私とカルートッフェッリ王国に来てほしいの。こんな会って数分の人に頼むのは変かも知れないけど1人だとやっぱり不安で、でもどうしても見たくて。だからお願い!!」
キャリルは頭を下げる。
「じゃあ丁度いいからみんなで行くか。ナナシ、道は分かるんだろ?」
「もちろん。」
俺とナナシの言葉にキャリルは驚く。
「え……本当にいいの?そんなにあっさり。」
「あっさりも何も別に断る理由がない。それに旅は道連れって言うだろ?」
「ありがとう。」
キャリルはニッコリ笑う。第一王女と言っていたので1人で他の国を歩かせるのは危険なはずだ。特に不仲の国に単身で踏み入るのは人質にして下さいと言っているようなものだろう。この子を国家間の取引材料にはしたくない。そこら辺は2人ともよく分かっているようで魔ペットは他に人がいないか注意を払い、ナナシはいつでも動けるよう俺とキャリルの近くにいる。
「その前にナナシ薬買ってきたんだろ?くれよ。」
「そういえば渡してなかったね。はい、薬。」
ナナシが軽く放った薬を俺は片手でキャッチする。薬の表記を見ると落書きがびっしりと描かれなんの薬か分からない。
「おい、ナナシこれ本当に大丈夫だよな?毒とかじゃないよな?つうかこの落書きなんだ?」
「大丈夫だよ。ポーティトがこれだって言ってくれたから。僕はジャガイモ語って呼んでる。正式名称は知らないけど。」
ナナシを信じて恐る恐る薬の蓋を開ける。匂いを嗅いでみると薬独特の匂いが鼻腔をくすぐる。指を薬瓶に突っ込み指に取る。少し粘性があり緑色だ。俺は思い切って指に取った薬を腹部の傷口に塗ってみた。
「っ!!」
激痛だ。刺された箇所をもう一度貫かれたような痛み。声にならない声を上げ悶えているとキャリルが心配そうに近づく。
「大丈夫?」
コクコクと頷くが正直余裕はない。恐ろしい痛みだ。止んだかと思うとまた痛みが返ってくる。波のように痛みが来るのを数回耐えると痛みがピタッと止んだ。俺は荒い息を整え正座するように座る。傷口のあった箇所を見ると傷なんてものは無かったかのように綺麗に消えていた。
道中に1人増えました。




