ご飯の約束
2幕始まりました〜。もう前回の部からですが、張り切って書いていきたいと思います。
「こっちは綺麗だね。」
さっきの換金所とは打って変わって綺麗な店だ。全体的に土色をした壁に城と同じ薄いオレンジの屋根、薬が売っている感じはしないが外観は損ねず風景に溶け込んでいる。
「そういえばどんな怪我なの?」
怪我とは言ったがどんな怪我か言っていない事に言われてから気づいた。
「うーんと刺し傷?かな。」
「刺し傷!?それ本当に大丈夫なの?」
「止血はしてるし縫ってあるから大丈夫だよ。それに付き添いもいるし。」
魔ペットがいるから安心だろう。ここで薬を買ったら戻らないと。
「そっか。それじゃ安心だね。でも痛いだろうから早く持って行ってあげなよ。」
心配げに小さいジャガイモは言う。
「うん、買ったら直ぐ戻るよ。もし良かったら後でこの国の事教えてもらえない?」
「いいよ!!まずお薬を買おう。」
小さいジャガイモと僕は一緒に薬屋の扉を開き中へ入る。中には多くの薬がズラッと並んでおり壁一面に飾られている。これなら刺し傷に効く薬もありそうだ。早速薬を手にとって見てみると…
「読めない。」
薬のパッケージには落書きのような文字が所狭しと刻まれ全く読めない。これはジャガイモ語だろうか?でも、もしそうだとしたら、なんでジャガイモの言葉は分かるんだ?新たな疑問が湧くがそれは一旦置いておくことにする。
「この文字をジャガイモ語と命名しよう。」
勝手に落書きをそう呼ぶことにした。
「お兄さんあったよ!!」
と小さいジャガイモの呼ぶ声。僕の見ている棚の丁度反対にあったようだ。小さいジャガイモが指を指している。一番上の棚のようだ。
「これ?」
薬を手に取り小さいジャガイモに見せる。
「うん、これだよ。」
小さいジャガイモは頷く。
「値段ってどこに書いてるの?」
「ここだよ、この右端にある数字。」
指を指してるところを見ても全く数字に見えない。
「ごめん、値段を教えてくれない?」
「えっとねえ、50ジャガネだよ。」
ジャガネがここの通貨らしい。だが50と言われても高いのか安いのか分からない。僕が怪訝な顔をしていたのか小さいジャガイモは
「大丈夫、お兄さんの持っている金額で買えるよ。」
と教えてくれた。まあ買えるのなら安心だ。お金を払う場所は何処か店内を見回すと一角だけ薬の飾られていない場所があったのでそっちに向かい歩いて行く。小さいジャガイモも付いてきているのであっているのだろう。そこにはこれまた小さいジャガイモがいて、「内心いたんだ。」と密かに驚く。
「いらっしゃいませ。欲しい商品はありましたか?」
ジャガ店員がそう聞いてくるので商品の薬をジャガ店員の前に置く。
「これですね?50ジャガネになります。」
ジャガ店員が言うと僕は先刻貰った袋を覗き固まった。
「どれ出せばいいの?」
僕は小さいジャガイモに袋の中を見せる。中には色々な銅貨やら銀貨がごった返しどれくらい出せば50なのか分からない。
「銀貨1枚出せば大丈夫だよ。」
「そうなの?分かった。」
僕は銀貨をジャガ店員に渡す。
「はい、50丁度ですね。ありがとうございます。」
これで目的は達成したので店から出る。
「よし、薬買えたから一旦帰るよ。ありがとね………。名前、聞いてなかったね。」
「僕はポーティト。お兄さんの名前は?」
「僕はナナシ。よろしくね、ポーティト。」
「不思議な名前だね。よろしく、ナナシお兄さん。」
僕はポーティトと握手を交わす。
「案内してくれてありがとう。」
「いいんだよ、ナナシお兄さんの役に立てて良かった。」
「そうだ、案内のお礼に…はい。」
僕は袋から銀貨を2枚取り出しポーティトに渡す。
「い、いいよ!!ナナシお兄さん。ただ僕が案内したかっただけだから。受け取れないよ。」
と慌ててポーティトは話す。
「僕のお礼の気持ちだよ。ポーティトがいなかったらこんな簡単に薬なんて買えなかったよ。」
「うーん、困ったなあ。」
ポーティトは心底困ったように顔を曇らせる。
「そんなに嫌だった?」
「ナナシお兄さんの気持ちは嬉しいけどやっぱり受け取れない。」
きっぱりとポーティトは断る。
「そっか。じゃあ今度怪我してる人と一緒に来た時ご飯でも食べようよ。それでポーティトの分を僕が奢るのはどう?」
「うん、それなら。」
と苦笑交じりにポーティトは言う。
「約束だよ。」
「うん、約束。」
僕らはもう一度握手を交わす。
「また後で!!じゃあね!」
「じゃあね!」
僕はポーティトに手を振り、門まで走って出て行く。だが門の近くに茶色いローブを纏い、顔をフードでスッポリと隠した人物が佇んでいた。僕の他にも人がいるんだ、と思いながらその人物の隣を通り過ぎる。すると通り過ぎた瞬間、全身に悪寒が走った。僕が振り返るともう茶色いローブの人物は門の中に。遠目なので良く見えないが誰かと話しているようだ。そして話が終わったのか、茶色いローブの人物は歩き出す。その人物の前を何かが歩いている気がしたが僕は気のせいだと思い、魔ペットから貰ったペンのキャップを開く。赤い線が見えると僕は線に沿ってまた走り出した。
僕は…この時の事を酷く後悔してる。なぜあの時もっと注意深く、茶色いローブの人物が話していたのが誰だったのか確認しなかっなのかと。そうしていれば約束を果たせなくなるなんて事には、ならなかったのに……。




