到着
ドロと魔ペットと別れて30分くらいたっただろうか。視界に入るのは深緑と青のみで全く景色が変わらない。後ろを振り返ると赤い線がずっと伸びている。魔ペットが言っていた印とはこのことだろう。僕は印が付いているのを確認すると再び歩き出す。たまに木の根が段差になっていて躓く時があるけどそれ以外は順調に歩いてきている。後どれくらいで着くのだろう?そんなかからないと魔ペットは言っていたけど。そんな急に人のいる場所が見えるのだろうか。
「着かないなあ。」
ポツリと1人呟き歩く。そういえば言葉は通じるのだろうか?言葉が通じなかったらどうしよう。襲われた場合、なんの護身術も習っていないので気をつけなけいと。1人で歩いてると心配事が溢れてくる。でも歩みは止めない。ずんずん歩いているとチラッと視界に森と空以外の景色が入った気がしたので立ち止まる。建物だ!薄茶色の建物、屋根は薄いオレンジでとても大きな建物のようだ。今までの不安など何処へやら僕は建物目掛けて走り出す。案外それほど走らずに着いた。
「遠くに見えたけど近かったなあ。」
目の前には高い壁があり見上げると先刻見えた建物が見える。
「わー、本で見た城みたい!」
まずは壁の中へ入ろうと壁沿いに歩く。中にはどんな人たちがいるんだろう。美男美女ばかりで僕が浮くことにはならないかな。戦うことが大好きな種族じゃないといいな。不安と期待が入り混じり歩く速度も早くなる。
壁の長さは中々の長さだ。壁の角が遠くに見え若干小走りに歩く。壁の向こうは賑やかなようだ。何やらガヤガヤしている。
更に歩くのを早める。結局走っているのと変わらない速度で壁の角にたどり着いた。
角を曲がると喧騒は大きくなり目の前には開かれた門が口を開けていた。
「大きい門だなあ。」
壁から離れまじまじと門を見つめる。門番のような者もいないし門の前には人はいない。
「ここにいてもしょうがないし入ってみよう。」
と僕は足を踏み出す。だが踏み出した足に何かがぶつかった感触がした。
「痛っ!あ、ごめんなさい。うわ!大きい。」
どこからか声が聞こえる。ぶつかった感触のした足に目を向けるとそこには……。
「ジャガイモ?」
そうそこには小さいジャガイモが僕を見ていた。ジャガイモだ。ジャガイモ……。
「……夢じゃないよね?」
「大丈夫?大きいお兄さん。」
と僕のズボンの裾を引っ張り聞いてくる。
「だ、大丈夫だよ。」
「他所の人?初めて見る人だ。」
興味津々といったように小さいジャガイモが僕の周りを回る。
「ほえー本当に見たことない。どこから来たの?」
「うーんと遠い所からかな?」
「道に迷ったの?」
と無邪気に聞いてくる。
「うん。そうなんだ。それで今、怪我してる人がいてお薬を探してるんだ。」
「え!怪我してる人いるの!?大変だ!じゃあ案内してあげるよ!」
小さいジャガイモはちょこちょこと動きまわるのを止め案内を申し出た。
「本当に?助かるよ!ありがとう。」
「いいよ、いいよ!それじゃあこっちだよ!」
ちょこちょこと小さいジャガイモは走ると門の中に入っていった。
「よし、行くぞ。」
僕は深呼吸をして今度こそ足を踏み出す。多少小さいジャガイモが話すのには面食らったけど大丈夫。僕は小さいジャガイモを追いかけ門の中に入る。
「ふぇ?なに……ここ……ジャ…ジャ…ジャガイモだらけじゃん!?」
ここは『カルートッフェッリ王国〜ジャガイモ達の楽園〜』
『〜虐げられる貧困の王国〜』
第2幕『4つ刃者』開幕。




