再透明
僕とドロボウと魔ペットと呼ばれる人形で一緒に行動してから1時間くらい経った……と思う。あれから黙々と歩き続け住宅街に出たと思ったらまた一本、先の見えない道が続き道半ば休憩を挟んでいる所だ。
「また先の見えない道か。2度目だな魔ペット。」
遠くを見つめドロボウが言う。
「ハイ、そうでゴザイマスネ。」
「先が見えないね。」
道を眺めるが視界が悪く先が見えない。だけど前回まで歩いてきた道と違うことが1つ。
「でも道がさっきまでと違うよね?歯車が敷き詰められてたのに…………」
「地面が白くなってるな。いや灰色か?触り心地ツルツルだな。座りやすくて助かるぜ。ついこの前までは地面に座ると痛くて痛くて。」
「そうだね。歯車の細かい穴があって座りにくかったね。全体的に茶色くて整備されていない場所もあったし。」
この道は明らかにこれまで歩いてきた道とは異質な雰囲気を醸し出している。歯車の道は慣れ親しんだものだからか温かみを微かに感じるがこの道は全く感じない。むしろ薄ら寒さを感じる道だ。まるで誰もこの道を使ったことが無いような、そんな気さえしてくる。
「そろそろ行かない?」
「んあ?ああ、いいぜ。」
うとうとしていたのか1テンポ遅れて返事を返す。さっきまで話をしていたのにもう寝そうとは呑気なのか疲れているのかよく分からない。
そう僕が考えている内にドロボウは伸びをし欠伸を噛み殺す。
「それじゃあ行くかー。魔ペット行くぞ。」
ドロボウは隣にいる魔ペットに呼びかける。
「ハイ、ご主人様。」
主人の呼びかけに応じ立ち上がる。
1人1匹が準備完了となったところでまた歩を進める。
「「「…………………………」」」
ツルツルの床に靴音だけが響きこだまする。自分達が発する音以外聞こえてくるものが無い。黙々と歩くなか、沈黙に耐えきれず何かを口にしようと口を開いた、が結局喋ることが浮かばず口を閉じる。
「案外ツルツルしてるのに滑らないもんだな。」
ドロボウが知ってか知らずか沈黙を破る。
「今までの歯車の道より歩きやすいね。」
「そうだな。…………なあ、探している女の子に会えたらどうする?」
ポツリとドロボウは言った。
「一緒に街から出ようって言う。」
庭園で考えていた事をそのまま口に出す。
「出てどうするんだ?」
「分からない。」
「「………………」」
会話が無くなる。静寂が戻る。残るのは僕らの音だけ。どれくらい経ったかは分からない。だが、いつの間にか道の終着点に着いたようだ。
「…………………………………………………………………………あ。」
声がこぼれる。目の前には開けた空間。
そこには初めて会った時と変わらず背を向け立つ少女が1人。開けた空間の中心で、透明で消え入りそうな雰囲気からは想像できない程の圧倒的な存在感を放っていた。




