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ドロボウは夢叶える為世界を旅する(過去編)  作者: フロッグ
1幕 歯車の街
26/83

情報交換

長くなりました。

現在会ってはいけないタイミングで再会を果たしてしまったドロボウを目の前に僕は顔をひきつらせた。


「なんか顔ひきつってないか?」


僕は顔をぐっと押さえ


「ひきつってないよ。」


と無理くり笑顔を作る。


「変な顔してんなあ。まあいいや。なあここいらで俺とお前の情報を交換しないか?」


「情報交換?」


「ああ。鍵探しにてこずってな。何もお前からだけ聞く訳じゃねえよ。お前がもし欲しいと言うんなら俺達が知っている中で情報を提供してやる。どうだ?悪くないだろ?」


ドロボウはニヤリと笑い提案をしてくる。情報は交換しておきたい。何かナカミにつながる情報が得られるかもしれない。だが僕がボロを出した瞬間彼女の身を危険にさらすことになる。そんなことには絶対にしたくない。僕はリスクもあるがドロボウから得られる情報の有用さに賭けることにした。


そして少年は胸中で覚悟を決めた。


目の前で考えこんでいる少年はつい数時間ほど前に出会い、もう会うことはないと思った少年だった。名前は無く力もない普通の少年、だが前回会ったときには感じなかった何かを感じる。最初は大した情報なんて持っていないだろうと期待していなかったが今の彼からなら何か鍵に繋がる情報が得られるかもしれない。俺は魔ペットに目配せをすると魔ペットも頷きを返す。

 俺達がそうしている内に彼もどうやら決めたようだ。顔を上げ俺にアイコンタクトをする。情報交換に同意を得られた。


「よし。それじゃあ情報交換といこうぜ。何を聞きたい?」


「うーんと……僕は正直聞きたいことは1つしかないんだ。だからドロボウからどうぞ。」


少年は少し間をおいて話す。嘘をつく意味が今はないため本当に1つなのだろう。


「いいのか?」


「うん、いいよ。」


「分かった、それじゃあ俺から聞こう。ここどこだ?」


まずこの場所がどこなのか疑問だったことを投げかける。


「僕も知らないよ。適当に来たから。」


少年も知らなかった……。


「そうか、じゃあもう1つ。何でお前はここにいる?そして只さまよっている訳じゃないだろ?目的がある筈だ。それを教えてもらいたい。」


気になった点を2つ挙げた。どちらかというと2つめの方が気になる。


「1つめは僕が母に名前を聞いたんだよ。何故名前も知らないのに今まで生活していて不思議に思わなかったのか気になって聞いてみたんだ。そしたらネを壊れたように連呼しておかしくなったよ。その母を見て家を飛び出したんだ。」


顔は暗くつらそうだ。それもそうだ。母と思っていた者が実はロボットで名前が無くて名前を聞いたらおかしくなって。相当ショックだったろう。


「そうか……そんなことがあったのか。俺も街中で情報を集めてたとき街の人に名前を聞いてみたんだ。」


「どうなったの?」


「お前の母と同じで最後の言葉を連呼しておかしくなった。前回会ったときにはもう知ってたから言っておけば良かったな。ごめんな。」


頭を下げる。


「いや、僕が聞いたのが悪いんだしいいよ。なんか前会ったときも思ったけどドロボウのイメージと君が合わないんだよね。」


「へえ、教えてもらおうか。どんなイメージか。」


どんなイメージを持たれているのか若干そう若干だが興味がある。決して物凄く興味がある訳ではない。


「いいの?」


俺は頷き先を促す。


「ドロボウのイメージは人の物を奪って、金目の物を盗んで売り払って出来たお金を賭け事で全部無くしてそれから…………」


「はーい!ストップ、ストップだ!イメージが悪いのは分かったよ。興味持ったはいいけど聞かなかった方が良かったよ‼なんだ、ドロボウってそんなイメージ悪いのか、悲しいな。」


「ご、ごめん。」


「聞いたのは俺だから別に謝ることないぜ。で俺とドロボウのイメージがどう違うって?」


気をとりなおして聞いてみる。ドロボウのイメージ、聞かなきゃ良かったなあ。


「ドロボウのイメージとは全く違うと思ったよ。目的があって行動しているみたいだし、ティメナとソラトを丁寧に綺麗にしてくれたし。嘘をついていないようだし、後は…………」


「はーい!ストップストップ!今度は照れてコメントしづらいからもうやめようか!」


ふー、凄い嬉しい。悪い方聞いた後だから尚更嬉しい。おっと情報交換のつもりが話が逸れてしまった。


「話があらぬ方向に言ったな。話を戻そう。」


「さまよっている目的………………だよね?」


「ああ。そうだな。」


俺は頷き肯定する。


「目的はあるんだけど、僕が欲しい情報のことなんだ。」


「そうか、ならお前の欲しい情報を教えてくれ。それで目的が分かるんだ

ろう?」


「うん。」


少年は真っ直ぐにドロボウを見ると口を開いた。


「人を探しているんだ。」


「人?どんな奴だ?」


まさか人を探しているとは思わず驚く。この街に来て多くの人を見て、情報収集のため駆けずり回った。この街の人間は大体見たことがあると思っている。だからこそどんな人を探しているか気になった。


「探している人は女の子なんだ。髪が長くて足先くらいあって、背は僕と同じくらい、全身透き通っているような子なんだ。見たことあったらすぐ分かると思うんだけど知らない?」


「全身透き通ってるようなって幽霊じゃないか?」


聞く限り人というより別の何かだと俺は思った。だが今まで俺が見た中ではそんな種族知らないし本当に幽霊がいるとしたら勘弁してほしい。


「違うよ。話したし目の前にいたよ。その感じだと知らないみたいだね。」


少年は肩を落とし落ち込む。


「大切な人なのか?」


脳裏にあいつがちらつく。魔ペットが足に手を当ててくれたおかげで暗い気持ちが霧散した。


「そうだよ。でも1度しか会ったことがないんだ。変だよね…………。1度しか会ってない人を大切だなんて。」


「別にいいんじゃねえか?回数なんて関係ないだろ。少なくともそう俺は思う。」


「私もそう思いマス。」


魔ペットも頷く。


「ありがとう。でも困ったな、ドロボウ達も見たこと無いか…………。」


少年は、はあっと溜め息をつき心底困った顔をしている。ドロボウと魔ペットは顔を見合わせ複雑な表情だ。


そんな中ドロボウが何かを思い付いたように口を開いた。


「案外近くにいるんじゃないか?」


「そんなことは無いと思う。なんとなくだけど。」


「まあこっち見てる視線があったら俺か魔ペットが気付くか。」


「ハイ、ご主人様の言う通りでございマス。今の今まで視線は感じてオリマセン。」


「魔ペットが感じてないし近くにいるってのは無いか。」


「そっか。じゃあここいらにはいないのかな?」


少年は頷くと周りを見渡す。


「視線を感じないだけでいないとは言えないんだが…………ここいらには気配がないな。」


「気配?」


「人とか動物の気配のことだ。機械だから無いのかもしれないと最初に考えたが街にいる奴等にはちゃんと気配があった。まあ特殊な機械で気配がないってんなら別だけどな。」


「今のドロボウの話だとここいらには何もいないってことだよね?」


「そうだな。特殊なものを抜かせば。」


何か少年は考え込む。


「やっぱりあちこち探しまわるしかないか………………。」


ぶつぶつと何か独り言を呟いている。


「俺は聞きたい事は聞けたな。魔ペットはどうだ?」


少年が自分の世界に入っている間にドロボウは魔ペットに聞いた。


「私もございマセン。あちらの方にも聞いてミマショウ。」


「そうだな。おーい、お前はまだ何か聞きたい事はあるか?無かったらそろそろ情報交換終わりにしようぜ。」


目の前で思考している少年にドロボウが呼び掛ける。


「へ?あ、僕も無いよ。」


「んじゃあ情報交換終わりだな!」


「うん。情報交換ありがとう。また歩いて探してみるよ。それじゃあ僕は行こうと思ってた道に行ってみるよ。」


「いや?俺達もついてくぜ?」


「………………ん?ついてくって?」


「いや、そのままだろ。だからお前についてくって。」


「ええええええええ‼何で?」


「鍵探しも手詰まりだし情報もないし、だったらお前に着いていけば意外に在りかが分かるかもしれないだろ?だからついてく。」


「そんなあ。どうしよう。」


僕の最後の言葉はドロボウ達には聞こえない。


「行こうぜ!どうせここにいたって見つからねえんだし。」


半ば強引に着いてくる事が確定した。


「はあ、困った、見つける前になんとかドロボウから離れないと。」


僕は独り言を呟く。


「ほら、こっち行くんだろ?おいてくぞ~。」


先に歩いているドロボウが僕を呼ぶ。何でこんなことに。

心の中で半泣きになりながら渋々ドロボウの元へ歩き出す。


「ご主人様…………。」


「いいんだ魔ペット。あいつに鍵について聞いても情報は得られなかったと思う。だけど知っているかそれ自身が鍵になりそうな奴がいることは分かっただろ?このままあいつに着いていけばいずれ会える筈だ。」


俺は確信していた。少年が探している人物が鍵に関係していると。

今までの情報収集で何も出てこない最後の鍵、そしてこれまで俺達の見たことの無い透明な少女。

情報が無いというだけの関係性、それでも2つの鍵と共に行動をしていた1機のロボットが探している存在というだけで、かなりの確率で鍵に関係している筈だ。


俺はまたニヤリと笑う。もう少しだ後もう少しでたどり着ける。

長かった。探して探してようやく見つけた。必ず盗んでみせる。


「ギアボット。」


ドロボウは気づいていない。自分を見つめる人形が酷く悲しそうな表情を浮かべていることに。



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