再会
僕は庭園から歩き始めると全く知らない道へと来ていた。人気がなく静かだ。僕は黙々と周りを見渡しナカミを探す。ドロボウは名前が付いているロボットは特別だと言っていた。ならナカミも例外では無い筈だ。
ドロボウより先にナカミを見つける。そうしなければナカミもソラトとティメナと同じことになる。そんなことは絶対に嫌だ。それにただ今はナカミに会いたい。あの透明な彼女に会いたい。それだけの思いで今、僕はひたすらに周りを見て歩き続けている。
それにしてもドロボウはこの場所に詳しかった。この場所以外に他の人間が住んでいる街があるのかもしれない。そこにナカミと一緒に逃げればいいんじゃないか?
ドロボウはこの場所ではなく外部から来ている。単なる僕の勝手な推測だ。だが何故この場所に来たんだろう?ドロボウは最後に鍵を探すと言っていた。それじゃあその鍵で何をするつもりなんだ?頭の中でぐるぐると考えが回る。
この時彼は気づいていない。街で生活しているロボットとは異なる存在だということに。
ふと僕は足を止め空を見上げる。
「また鳴ってる。」
空では歯車が再び鳴る。何を意味しているのか、はたまた意味なんてないのか。
この場所に今まで住んでいたのにさっぱりだ。溜め息をつき歩き始める。
「あ、そういえば立ち止まったところに道があったね。」
1人でしゃべり立ち止まった場所に戻る。真っ直ぐな道が伸び先が見えない。
「この先はちょっとどこかに着くまでかかりそうだなあ、この道はやめとこう。」
横道に行くのはやめまた歩く。視界には未だ人影はなく道と住民の家が並び、黒い大きな川が水面をてらてらと光らせている。
「こんな川あったんだ。」
生き物の気配など消え去った真っ黒な川、所々光が当たると虹色に見え更に生物の住めない事を彷彿とさせる。
川の黒さに異様さと気味悪さを覚え川から目をそらす。最早この黒い川を川と呼んでいいものか甚だ疑問だ。
ふと音が近づいていることに気がつく。その音が聞こえるのはさっきの横道だ。段々鮮明に音が聞こえる。その音は風を切りこちらに向かってきているようだ。
怖いもの見たさで僕は道の前に立ち止まると耳をすます。
「わー………………は…………えー…………。」
人の声のようだ、かなり近い。僕は後ずさる。すると物凄い速度で人影が飛んできた。咄嗟に僕は横に避ける。
「着いたー‼ぎゃー目の前なんだこれ黒ーーーーーー」
ドポン。
人影は黒と口にした後川の中に消えた。一体何なんだろう?川を覗きこむが全く浮かんでくる気配がない。でもさっきの声はつい数時間前に聞いたような……。
「ぶは、死ぬかと思った。魔ペット生きてるか。」
「はい、生きておりマス。ご主人様は大丈夫デスカ?」
「あんまり大丈夫じゃない。とにかくこの黒いとこから出るぞ。」
「ハイ、ご主人様」
片手に人形を抱えへいこら泳いでくる人影は見間違うことなくドロボウだった。
「陸地に着いたー。う、さっきの黒いの少し飲んじまった。気持ち悪。」
「大丈夫デスカ?ご主人様。お体も真っ黒でゴザイマスガ。」
「魔ペット~体に付いてる黒いの吸ってくれ~。」
「かしこまりマシタ。ご主人様。」
ようやく陸地に着いたドロボウ一行は1人は真っ黒で1匹?は川に入ったことなどなかったかのように綺麗なままだった。
人形はドロボウの体に手をあてるとみるみる触れている箇所から黒い物が消えていく。少し経つとドロボウの体に付いた黒い物は跡形もなくなった。
「ロボットに使う機械燃料か。2度とダイブはしたくないな。」
「全くでゴザイマス。」
立ち上がるドロボウを眺め、現在の目的とドロボウは最悪の相性だと気がつく。
この場所から離れようと思ったその時……
「ん?おお、もう一度会うとは思わなかったな。」
「あはは、僕もだよ。」
こうしてドロボウと最悪のタイミングで再会したのだった。
このペースで更新したいものですね。




