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ドロボウは夢叶える為世界を旅する(過去編)  作者: フロッグ
1幕 歯車の街
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庭園

最近暑いですねー

 笑う衝動がおさまると眼前に広がる花々を見つめる。こんなに汚かったのか。


『街立花園 アザハグラワー庭園』


アザハグラワーは歯車の花弁が特徴的で風が吹くとカラカラと小気味よい音をたてるこの街原産の花だ。そして街立花園 アザハグラワー庭園は街の南端にありギアシュタットの観光名所の1つで沢山のアザハグラワーの群生地でもある。


小さい頃に来た記憶があるがこれは作られた記憶なのだろうか?誰と来たかは思い出せない。作られた記憶かどうなのかは定かではないが庭園はもっと色とりどりで綺麗だった筈だ。だが広がる光景は綺麗とは程遠い。一面茶色で色とりどりなど見る影もない。歯車の花弁は薄汚く茶色の所々に黒いよごれが付いている。

花の咲いている地面はというと真っ黒でヌラヌラと空を反射させ光っている。

 脱力し膝を落とす。手を黒い地面に伸ばすと手は赤黒く染まっていて思わず手を引っ込める。自分を見ると腹部から下半身にかけティメナの血で真っ赤だった。だがティメナもロボットだったからこの腹部から下半身にかけてかかっている液体ははたして血と呼んでいいものか。こんな状態で歩いているのに気づかない自分も街にいる住人もやっぱり作られた者なんだと再認識した。引っ込めた赤い液体に染まった手を伸ばし黒い地面に手を触れる。メチャっと音がし手を地面から離すと妙に粘性のある液体が掌全体を黒く染めていた。その状態のまま手を開け閉めしてみると開け閉めにあわせてメチャッメチャッと音がする。


「古いロボットたちに使う燃料だ。でもどうしてこんな燃料が?」


燃料は庭園全体に広がっており辺り一体真っ黒だ。アザハグラワーにもこの燃料が使われているのだろうか?庭園は最早墓地のような薄気味悪さと入ってはいけない雰囲気を醸し出している。


「?」


自分のいるところから程近い場所に光るものがある。手にとって見てみるとそれは警備隊に所属する者が着けるバッジだ。今は黒い燃料で汚れて着けられていた頃の輝きはない。ただ鈍く光るだけだった。辺りを見渡すとそんな鈍く光る物が庭園のあちこちに落ちている様だった。


「そっか。墓地のようなじゃなくてここはロボット達の墓場なんだね。」


バッジを元の場所に戻し立ち上がる。一面に広がる花達は風に合わせてカラカラと音を立てる。骨に音があったらこんな音がしそうだ。カラカラとまわる花を眺め僕は動かない。動きたくなかった。僕もこの場所に埋まってしまいたくて。僕は体育座りで縮こまりただ花を眺めた。


「^みはと;&や"s#ね。うま$;^;く$;ありがとう。ザザーーー」


目を開くとそこは先程と変わらない庭園だ。いつの間にか寝てたらしい。夢の中でまたノイズがひどい中に声が聞こえた。前回のように泣いてはいないが心臓がばくばくと拍動し呼吸が荒い。深呼吸をし息を整える。ノイズの激しい中鮮明に聞こえた。「ありがとう」って。一体誰なんだろうか?ナカミなら知っているのだろうか?ふとナカミを思いだし何故かそんな考えが頭をよぎる。いや別にこの夢に答えは別にいらない。今はナカミに会いたい。ただそれだけだった。

 僕は立ち上がり庭園に背を向け歩き出す。どこにいるのか分からないナカミを探しに。







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