目的
街が国?一体何を言っているんだ?頭の中で疑問符が浮かぶ。それを見るドロボウは実に愉快というようにニヤッと笑う。
「やっぱり知らないか。」
「知らないし、それにここは街だよ。ギアシュタットっていう。」
反論を返すがドロボウは首を振る。
「表向きはな。ここに住んでる人間は知らないんだよ。知ってるのは外部から来たか、この国を運営している奴だけだ。」
「運営してるって町長みたいな人はいないよ。それに街を運営ってまるで会社みたい。」
「街じゃなくて国だって。運営ってそりゃそうさ、国王であり大軍事産業を取り仕切る社長でもあるんだからな。」
「大軍事産業?この街…じゃなくて国で?」
ドロボウは腕を組み頷く。
「どんな物を作っているの?それにどこで?」
「ここで。」
ドロボウは指を下に向け言う。
「ここ?ってこの街が?」
「そうだ。この街が大軍事産業の生産地そのものだ。ギアロボット、ギアアニマル、ギアシュタットは街の住人が呼ぶ名前、本当はギアファブリークって呼ばれてる。この街にいる一部の住人以外全てが軍事兵器として他の世界に輸出されてるんだ。」
「じゃあ僕もソラトもティメナも本当は軍事兵器として使われる道具だったんだ。」
更に絶望が心を染め俯く。
「いいや、お前はどうかは分からないがさっきの2人は輸出されない一部のロボットに含まれてると思うぜ。国として重要な鍵を持ってるからな。」
「鍵?」
「拍動の歯車だ。これはこの国以外じゃ知られてない。俺のここに来た理由の最終的な目的の為に必要でもある。」
「目的?」
少し感情的に話すドロボウ。目的。そうだそれを聞くために話を聞いているのに本題から逸れてこの国について聞いている。これを聞けなければ何故2人を壊したかがはっきりしない。
「俺の目的はこの国がかつてまだ街だった頃に作られたロボットを復活させるためだ。そのロボットは特殊な能力があってどんなものかは分かってない。だがそれでもあいつを助けられるならどんなものでも手に入れて試してやるさ。」
真剣さと鋭さを兼ねた声音でドロボウはこちらを見て話す。そして少し間が空きドロボウは口を開く。
「そのロボットの名称はギアボット。全てが謎に包まれ伝説上の機械として未だに眠り続けているとされる、存在そのものが幻に近いこの国の至宝だ。」
『ギアボット』授業で聞き本で見たあのロボットをドロボウは盗もうとしていた。きっと大切な人なのだろう相手を助けるために。2人を壊した理由が分かって僕はゆっくりと立ち上がり空を見上げる。空が黄色いのは排ガスのせいなのだろう。そう今更になって分かると何故か悲しくて見上げるのをやめた。ガチャン、重苦しい歯車の音がまた上空から聞こえる。僕は深く息を吸い口から息を吐き出した。まるで胸中にあるもやもやを吐き出すように。




