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第八十二話「卒業」

 僕達は毎日を充実して過ごしていた。

 楽しい日々。

 しかし、それも終わりに近づいていた。


 学校に通うこと二年。僕とナクロは学校を卒業した。

 二年という経過も経ち。

 アスターシャも若干、大人びていた。


 その日の夜。


 僕達は卒業祝いを開いていた。

 相変わらず、皆と楽しむ毎日、そんな矢先。


「雅人」


 頭の中で声がした。

 その声が誰のものであるかはもう分かる。

 ナビだ。


 ナクロも僕の様子を察してか、僕を促し一緒に外へと出た。


「ナビ。何の用かな?」


 ナクロがナビに話しかけた。


「あら? 貴方はお呼びじゃないけど?」

「僕にも立ち合う権利がある」

「まあいいわ」


 ナビはそう言い放った後


「雅人。そろそろいいんじゃない?」


 と言ってきた。


「そろそろって何が?」

「貴方たちのおままごともここまでってことよ」


 おままごと?

 僕達の生活がただのおままごとだと言いたいのか?


「ふざけるな!!」


 僕は思わず声を発していた。 

 そりゃ当然だ。

 仲間たちと家族として過ごした日々を”おままごと”の一言で片付けられたのだから。


「とにかく、いつまでも使命を野放しにして、毎日を過ごすことは関心しないわね」


 使命。

 忘れてたわけではない。

 この日が来ることも忘れてたわけではない。


 分かってる。

 分かってはいるが……。


「ナビ!」


 ナクロがナビの名前を叫ぶ。


「そう容易く私の名を口にしないでもらえないかしら? 曲者が」

「僕は曲者でもいい。だけど彼は」

「貴方の言いたいことは分かるわ。彼の好きにさせてやれってことでしょ?」

「…………」

「でも、そうはいかないわ。このままだと現実世界の彼は死んでしまう」

「いいじゃないか……それで」

「良くないわ」

「君は彼に悲劇を見せたいとでも言うのか!?」

「貴方は自分の都合で動いているからいいのかもしれない。だけど私は」

「彼はこの世界で新しい家族を手に入れたんだ」

「何が言いたいの?」

「彼を……この世界に止めてもいいと僕は思う」

「約束が違うわね」

「でもこのまま彼を「もうやめろ!!」


 僕は二人の口喧嘩を止めた。


「雅人……さん?」

「ナビの言うとおりだ。僕がこの世界を卒業することは僕の現実世界の家族が願っていることでもある」

「…………」

「僕は先へと進むよ。それでいいだろ? ナビ」

「ええ」


 こうしてナビとの話は終わった。

 ナクロは


「本当にそれでいいのですか?」

 

 と何度も僕に聞いてきた。

 彼の気持ちも分かる。

 僕も同じ気持ちだ。


 だけど僕の元の家族の気持ちも考えないといけない。

 この世界は僕の家族と友人が生み出した世界。

 もし、この世界を卒業しなかったら、僕は家族や友人の思いを無駄にしたってことにもなる。

 それも避けたい。


 僕は、もう……先へと進むしかないんだ。

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