第七十六話「剣道大会」
今日は剣道の大会がある日だ。
僕達はレギュラーだし、普通に大会に出させてもらった。
初の剣道の大会だが、結果は見えてる。
だってまず国内という狭い大会だし。
ナクロの強さがあまりにも圧倒的すぎて適わん。
さすがにあんな一本の取られ方をしたら相手の人も相当悔しがるようだし。
僕はナクロにある提案してみた。
「なあ、ナクロ」
「はい?」
「適度に力を抜いて戦っていいからね」
「え? でもこれは大会ですし」
「お前は強すぎる。それが相手に対して失礼にもなるからな」
「はあ」
「だから力抜いていいよ」
ということをナクロに伝えて、そのまま大会が始まった。
1回戦。
「一本!!」
僕は順調に一回戦を勝ち抜いていた。
が、僕の試合なんてどうだっていい。
肝心なのはナクロだ。
ナクロの番が来た。
頼むからほどほどに戦ってくれよ。
「一本!!」
「ええええええ!?」
周りから度肝を抜かれたような残念そうな歓声が聞こえた。
ナクロ、確かに僕は力を抜けとは言った。
が、
負けろとは言っていない。
ってか試合を見る前からおかしいと思った。
あいつ木刀片手でしかもってないんだもん。
そんな相手の仕方こそ相手に失礼だ。
「なあ、ナクロ」
「はい?」
「何で負けたん?」
「力を抜けと言われたのでその通りにしたら」
「はあ」
「どうかなさいましたか?」
「もういいよ」
今回の大会は僕が優勝した。
嬉しい……はずなのだが、周りから
「八百長じゃね?」
と陰口を叩かれるはめになった。
ナクロはというと
「お前はふざけてるのか!」
と顧問にキツく怒られていた。
まあそりゃあんな相手の仕方をしちゃ失礼にもほどがあるしな。
怒られるのも無理はないだろう。
え? 僕のせいだって?
ある意味ご名答と言わざる負えない。
ただあれは不本意だった。
こうして剣道大会は不本意なまま幕を閉じた。
うーん、後味が悪い。
帰ったら大好きなテレーゼさんに抱きついちゃおうかな。
うん、もっと後味が悪くなりそうだからやめておこう。




