第七十四話「綺麗な星空の下で」
「ナクロ100点おめでとう」
テスト期間が過ぎ、テストが返ってきた。
ナクロ全教科100点だそうだ。
どうせあれだろう?
この世界を制御する力とやらで問題の答えでも見てたんだろう。
まあその力をそんな小さなことに使ってもいいのか分からんが。
一応僕も全教科90点以上は維持できた。
アスターシャはというと
「はあ!? 全教科0点!?」
「そんな大声で言わないでくださいよ。恥ずかしいんですから」
ちなみにアスターシャが0点なのはテストの名前欄に名前を記入し忘れたかららしい。
別に馬鹿ではないみたいだ。
別の意味で馬鹿だけど。
宿に戻ってもそんな感じの話をしてみたら。
クレファスが
「馬鹿でも俺はお前を愛してるぞ! アスターシャ」
と喜んでアスターシャにプロポーズしていた。
馬鹿という言葉が入ったプロポーズを僕は初めて聞いた気がする。
もちろん、答えはNOだ。
まあ当然の結果だな。
そんなこんなで日常が過ぎてゆく。
こんな日がずっと続けばいいのに。
そう思う。
「でも必ずこの世界を卒業してね。約束よ」
ナビのこの言葉が今でも頭に残っている。
僕がこの世界を卒業するのは家族の思いでもある。
その家族の期待にも答えなきゃならない。
しかし、だからといってこの世界をただの作り物の世界として見るのはあまりにも悲しすぎる。
僕にはこの世界にも居場所がある。
それを捨てて、この世界を卒業しろだなんて酷過ぎにも程がある。
夜。
皆が寝静まった中。
僕は外で黄昏ていた。
一人の人物が僕に近づいてく。
ナクロだ。
「眠れないみたいですね」
「ああ」
「まあ無理もありません」
僕とナクロは綺麗な夜空を見上げながら話した。
「僕にもっと力があれば貴方をこの世界に留めることが出来たんですが」
「いいんだよ。もう」
「そう……ですか」
急にナクロが泣き崩れた。
「どうした!? ナクロ」
「僕は貴方なんです。貴方の痛みは、僕の痛みだ」
その言葉に僕も涙が溢れそうになった。
「僕にもっと力があれば!」
「もういい、もういいんだよナクロ」
僕はナクロを抱きしめた。
ナクロは長い時間。
綺麗な星空の下で泣いていた。




