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第七十三話「八百長」

 学校へ向かうと、クラスメイトの皆や剣道部の人たちも心配してくれてた。


「頼むから休まないでくれよ期待の新人。まあその腕じゃ休んでも問題ないけどな!」


 先輩、ジョークは別にいいっす。


 さて、剣道部では今話題になっていることがある。

 僕とナクロ、この二人が戦うとどちらが勝つかという内容だ。


 うん、そりゃあナクロが勝つでしょ。


 あいつ、人が強く握り締めてる木刀を軽々と体育館の壁際まで吹っ飛ばすほどの力があるんよ?

 その上、速さなんて瞬間移動並。

 そんなナクロに勝てるわけがない。


 皆の意見も同じだった。

 ナクロ派が多数を占めてる。僕が勝つと思ってる人も少しはいるみたいだけど。


 ということで肝心のナクロと剣道で戦うことになった。

 負けは見えてるけど一応全力は尽くそうと思う。


「始め!」


 あれ? 思ったよりナクロの速さが遅いなあ。

 

 木刀がぶつかりあった。

 あれ? ナクロの木刀が吹っ飛んじゃったな。


「勝負あり!」


 ということで僕の勝ちになったわけだが。

 あれわざとだよね?


 皆も予想外の展開に驚いてるみたいだ。

 うん、僕も驚いてる。


「よっしゃ勝てないと思う方にかけて良かったぜ。少数派最高!」


 意味わからん歓喜声が聞こえるんだが。


 学校からの帰り道、ナクロに聞いてみた。


「お前、わざと負けただろう?」

「さすが、雅人さん。見抜かれていましたか」


 うん、そんなに嬉しそうに言わないで。 

 僕が惨めに見えちゃうから


「何でわざと?」

「そりゃ、雅人さんに華を持たせたかったからですよ」


 うん、それなら最初からそうしようねえ。

 中にはいたんだよ。

 あの二人八百長してるんじゃね? っていう人が。


 まあ別にいいけどさ

 ただ


「今度戦う時は本気で頼むわ」

「いいんですか?」

「あまりこんなことで気遣ってもらっても嬉しくないしな」

「それでは遠慮なくそうさせて頂きます!」


 こんな可愛い笑顔を見てると、とても木刀を体育館の端まで弾き飛ばす力量がある少年には見えないな。


 まあ、そんなこんなで今日の学校生活が終わることになる。


 ちなみに、アスターシャはまだ木刀すらまともに扱えてないらしい。

 皆からやめれば? って言われてるらしいが、それでも諦めてないみたいだ。

 ある意味根性あるな。


 その根性。どこまで続くか高見の見物といきますか。

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