第五十四話「船の問題」
僕たちは次の国へ向かうため、船に乗っていた
「おええええええ」
「お兄ちゃん大丈夫?」
アスターシャや皆が心配してくれている。
今まで船に乗ったことないから何ともだけど、僕が船酔いする人間だったとはな。
ってかナビこれ知ってただろう!?
「なあ、ナビ」
「何かしら?」
「僕が船酔いするって知ってた?」
「知ってたわよ」
やはりか。
「一応聞こう。なぜ教えなかった」
「特に重要なことでもないからかなあ」
いや、重要だろ!?
ってポンコツナビに言っても無駄かあ。
とりあえず今は安静にしておこう。
「何だ!?」
急に船が揺れ動きだした。
ただでさえ吐き気でやばいのに。
周りの乗客たちも叫び声を上げながら逃げ惑っている。
「ナビ。何が起きている!?」
「雅人急いで、船の上甲版に向かって頂戴」
僕はナビに言われた通りに動いた。
「何だよ……この化物は」
目の前にはデカイタコのような怪物が船に張り付いていた。
「ナビ。これはイベント? イレギュラー?」
「そんなこと聞いてる場合?」
「だな。とりあえず指示を」
どうやら今の僕の力だと雷撃も使えるらしい。
こういった海の生物には雷が良く効くので早速雷撃を使ってみた。
雲が一瞬にしてデカイタコの上に集まり、凄まじい雷がタコの上に落ちた。
それが効いたのかデカイタコは船から張り付くのをやめ、海底に沈んでいった。
「よし。これで」
「まだよ」
「まだ何かあるのか?」
見た様子だと船が安定しているようには見えない。
むしろ状況は悪化している。
「船のところどころに穴が空いているわ。それを塞いで」
「どうやって?」
「貴方の力で可能よ」
いつの間に僕の力はこんなに便利になったんだろうか。
まあそんなこと考えてる暇はないか。
僕はナビの案内の元、船の穴が空いてる部分を探し、そこを塞ぐ作業に入った。
作業に入ったっていっても魔術を使うのは僕じゃなくナビだ。
僕はただ穴が空いてるところに手をかざしているだけだった。
「ふう」
何とか船の穴を修正する作業も完了した。
後は船の乗組員たちと一緒に船の中に溜まっている水を外に出したりなどした。
これで一件落着だ。
「いやあ、この船にこんなにすごい魔術師が乗っていたとは……幸運ですなあ」
まあある程度予想はついてたけど、僕は船の乗客達を救った救世主として周りにもてはやされた。
何かナビに悪いな。
別に僕はただ駆けつけていただけなのに。
僕の仲間たちも鼻が高い様子だ。
「救世主様」
うん、やめて。
仲間にまでそんな風に呼ばれたくない。
テレーゼとかがそんなこと言っても違和感がないが、クレファスだと違和感が半端なくてやばい。
こいつから救世主という言葉を聞けるとは思わなかったし、思いたくもない。
こうして船の一件の問題は片付いた。
個人的に別の問題が発生してるっぽいけど、まあ時間が経てば解決するよね。




