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第五十二話「真実」

 アスターシャを近くの宿まで運び、ベッドに横たわらせた。

 まさか、こうなるとは……。


「ねえナビ」

「何かしら?」

「アスターシャがこうなること、君は知ってたの?」

「いいえ、知らなかったわ」

「これもイレギュラーってやつ?」

「そうなるわね」


 アスターシャの脈はある。

 幸い命に別状はないみたいだ。


 イベントを進めたいところだが、そう急ぐ必要もないだろう。


「イレギュラーの原因が分かったわ」


 急にナビが話しかけたきた。


「イレギュラーの原因?」

「ええ、前にあの男に会ったでしょ」

「あの男って黒いフードを被った男?」

「あの男は厄介な力を持ってる」

「厄介な力?」

「この世界を制御する力よ」


 世界を制御する力。

 魔術だとしたら相当なものだ。


「緊急イベントね」

「何をするんだ?」

「あの男を殺してちょうだい」


 殺す。

 モンスターとかまでは今まで殺してきたが。

 人を殺したことがないので抵抗がある。

 その旨をナビに伝えたが


「何、甘ったれてんのよ」


 と突っぱねられてしまった。


 しかし、あの男は何者だ。

 ナビのことを知っている。

 気になることだ。

 そのこともナビに聞いたが


「それは知る必要はない」


 の一点張りだ。

 いつもどおりだな。

 まあいいか。


 あの男のせいでこうなったのなら、僕はそれを止めるべきだろう。

 僕の妹のアスターシャにこんなことをして許せるはずがない。


 とにかくあの男を止めよう。

 ナビによるとどうやらあの男は僕を狙ってるらしい。


 夜中に人気がないところに出るとナビが言っていた。


 そうと決まればミッションスタートだ。


 夜中、僕は宿の外に出ようとした。


「どこへ行くんだ?」


 クレファスが僕を呼び止めた。


「ちょっと用事があって」

「アスちゃんがこんな状況なのにか?」


 クレファスの声色が強くなっていた。


「とても大事な用なんです。止めないでください」


 僕も強めに出た。


「そうか、なら行ってこい」


 僕の真剣な眼差しを見て悟ったのか、クレファスはこれ以上僕を止めることはなかった。


 僕は人気がないところでやつを待っていた。

 予想通りやつは来ていた。


「また会ったねえ、偶然かな?」

「白々しいですね。僕が一人になるのを待ってたんでしょ?」

「おやおや、見抜かれてましたか」

「アスターシャを知ってるか?」

「はい、貴方の妹ですよね」


 そこまで知ってるとはな。


「今、彼女の容態が悪いんだ」

「そうですね」

「君の仕業か?」

「ご名答」


 やはり、こいつかあ。

 こいつがアスターシャを!!


 僕は思わず剣を握り、やつに斬りかかった。

 しかし、やつはその攻撃を軽く受け流した。


「僕は別に戦いに来たわけじゃないんですよ」


 黒いフードを被った男が言う。

 フードのしたの顔がにやついて見えた。


「それじゃあ何が目的だ!?」

「君に真実を教えること」


 前も言ってたな。

 僕に真実を教えると。


「雅人! あいつの言葉に耳をかさないで!!」


 ナビが急に僕に話しかけてきた。

 そうだな。僕の目的はあいつを止めることだ。


 僕は叫び声を上げながらやつに斬りかかった。

 しかし、やつは相変わらず軽い動きで僕の攻撃を避ける。


 不味い!


 やつは素早い動きで僕の魔剣をビームサーベルみたいな剣で弾き飛ばした。

 最初から勝負は見えていたものだ。

 やつからはやばいオーラが半端なく出ていた。


「安心してください。僕は貴方の味方です」


 どういうつもりだ?

 とりあえず困った時にはナビに相談だ。


「どうしよう。ナビ!」

 

 返事がない。


「その様子だと、ナビは力を発揮出来てないみたいですね」

「君は一体……」

「まずは何から話したらいいですかねえ」


 男は語り始めた。

 この男とナビにはこの世界を制御する力があるということ。

 この男とナビは対立してるということ。


 しかもその理由が衝撃的だった。

 この世界は作られたもので、ナビに従って全ての光水晶を集めたとき、この世界は消滅し、僕は元の世界に戻るといった内容だった。


 にわかには信じ難い。

 だが、確かに何かがおかしいとは思ってた。

 僕は気が付けば、この世界にいた。

 赤ちゃんとして生まれたわけではなく、ある程度成長した姿で。


「僕は君をこの世界に引き止めたいと思っています」

「どうして?」

「元の世界に戻れば悲劇が貴方を待っているでしょう」


 悲劇……だと……。


「ナビ!!」


 相変わらずナビは返事をしない。


「僕としてはこのままイベントを進めるのはオススメしません」

「…………」

「でも安心してください。僕は貴方の味方です。あとは貴方が決めることです」


 そう言うと、男は消えた。

 

「おい! ナビ!」

「何かしら?」


 やっと返事をしてくれたな。


「このまま進んだら僕は悲劇を見ることになるのか?」

「…………」

「何とか言えよ!!」

「進みなさい」

「え?」

「とにかく進みなさい!!」


 どうしたものだろうか?

 とりあえず、あの男から聞いた内容をナビに話したが。


「あの男の言うことはデタラメよ。私だけを信じなさい」


 と言い返してきた。


 ナビとあの男。

 一体どっちを信じればいいのだろうか?


 僕はその悩みを抱えたまま宿に戻ることになった。

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