第四話「勇者の剣」
僕は平原の道沿いをひたすら歩いている。
さすがにもうそろそろどこかに着くんじゃないか?
「なあナビ」
「どうした?」
「目的地まで後どれくらい?」
「あと500キロね」
「それ冗談で言ってるんだよね?」
「冗談じゃないわよ」
あと500キロ!?
無理だ。
体力的にも結構疲れてるし、腹も減っている。
このままだと目的地にたどり着く前に力尽きるかもしれない。
「冗談よ」
ナビの声が聞こえた。
「たぶん、君が目の前にいたら僕は一発君をブン殴っていると思う」
「ごめんなさい」
「で、あとどれくらいなの?」
「あと数キロよ」
「分かった」
しばらく歩くとようやく街が見えてきた。
外は城壁で覆われていて、いかにも城みたいな街だった。
街にたどり着く。
「フー、やっとか」
「おめでとう、雅人」
「何が?」
「街に着いたんじゃない」
「それがどうしたの?」
「めでたいことよ」
街に着いたのがめでたい?
こいつの感覚がイマイチよく分からんな。
まあ、頑張って街に辿りついたわけだし、
めでたいっちゃめでたいが。
僕は街の中を歩く。
しかし、腹が減ったな。
ていっても、服装以外何も持ってない。
どうしたらいいのだろう?
そうだ。
「ナビ」
「どうしたの?」
「君、食料とか出せるんだろ?」
「何を根拠にそれを言ってるの?」
「だって靴に生えた羽とかも君の仕業だろ?」
「そうだけど?」
「だったら食料とかも出せるんでしょ?」
「貴方、アホなの? 私が食料なんて出せるわけないじゃない」
僕はアホなのか。
こいつに言われると無性に腹が立つのは気のせいか。
しかし、腹が減った。
その旨をナビに伝えると。
「とにかく今は街中を歩いてみて」
とだけ言われた。
街中を歩くことで何かあるのか?
そんなことを疑問に思ったまま街中を歩いていた。
しかし、やはり異世界だな。
周りの人の服装は僕とは段違いで、何か奇抜に見えた。
周りの人からも僕の服装は変わって見えるのだろう。
結構視線を感じる。
そんなことを思考しながら歩いていると
「あのお爺さんを助けなさい」
とナビから命令された。
俺の目の前で助けられそうなお爺さんは。
あの人かな?
何かたくさん荷物を持っていて重たそうにしている。
「あのお爺さんの荷物を持って上げたらいいんだね」
「察しがいいわね。その通りよ」
僕はお爺さんに近づくと話しかけた。
「あのう」
「何じゃね?」
「荷物、お持ちしましょうか?」
「これはこれは助かる」
予想通りだ。
これは推測だけど。
このお爺さんを助けることによって、恩返しがあると思うんだ。
たぶん
「わしの家に寄りなさい。ご馳走してやろう」
という展開が僕を待ってる気がする。
そうと決まれば!
僕はお爺さんの荷物を持ってあげて、そのまま歩いた。
「しかし、こんな老いぼれを助けてくれるのはお主だけじゃ。ありがたいのう」
「いえいえ」
こんな調子でお爺さんの家までたどり着いた。
さて、食事だ食事。
「助かった。ありがとうのう。お礼にこれをやろう」
お爺さんが僕に何か手渡した。
「これは隠れた名品じゃ、大切に使ってけれ」
お爺さんが僕に渡してくれたのは
剣だ。
剣か。
うん。
違うな。
「あのう、お爺さん」
「何じゃ?」
「僕、腹が減ってるんですけど」
「この老いぼれにたかるとはお主!!」
「いえ、何でもないです! 失礼しました!!」
僕はその場を立ち去った。
「なあナビ」
「どうしたの?」
「飯をご馳走してくれるのかと思ったら剣をもらったんだが」
「おめでとう」
「めでたくないよ!!」
何ですか何ですか?
僕は勇者にでもなるんですか?
こんなものいらねえええ。
「これ、売ったら金になるかな?」
「ダメよ。これは今後必要になる」
「じゃあ僕の腹はどうすればいいの?」
「近くの店で盗み食いしなさい」
正気かこいつ。
「売るか」
「いやいやいやいや」
ナビは何か焦ってるみたいだった。
「僕に盗み食いしろと命令する君には従う気が起きない」
「それはどうしても大事なものなの。お願い! 持っといて」
「はあ」
ナビがあまりにも懇願するものだから、剣を売るのはやめにした。
しかし、
腹が減ったよおおおおお。




