第二話「猫にゃんにゃん」
僕はナビが異世界と呼ぶ世界の平原の道沿いをひたすら歩いていた。
「ねえ、ナビ」
「何?」
「僕の名前は?」
「そんなことも忘れてしまったのね」
僕には記憶すらない。
自分の名前の記憶すら。
「そうね。貴方の名前は”猫にゃんにゃん”」
”猫にゃんにゃん”
そうか、思い出した!
僕の名前は猫にゃんにゃんだったんだ!
って
ちげえええええええ!!
「おい!」
「何?」
「嘘はやめてくれないかな?」
「私が嘘をついているように見える?」
ナビの声は真剣だ。
もしかしたら僕の名前は本当に猫にゃんにゃんなのかもしれない。
しかし、変わった名前だ。
あまり名乗りたくはないな。
「冗談よ」
「何が?」
「貴方の本当の名前は南井雅人よ」
「うん、知ってた」
「覚えてたの?」
「違うね。そっちの名前のほうが僕らしいから」
「ですよねー」
そんなどうでもいい会話を交わしつつ僕は先へと進む。
しかし、自分の記憶といい、この世界は分からないものだらけだ。
まずは自分の服装を確認する。
うん、至って普通の服装だ。
一つ疑問なのは靴に羽が生えてることだ。
うん、その時点で普通じゃないよね。
「なあナビ」
「何かしら?」
「何で僕の靴に羽が生えてるのかなって?」
「知らないの? この世界では靴に羽が生えてるのは常識よ」
「前の世界では?」
「前の世界でも常識よ」
そうか靴には羽が生えてるのが常識か。
オーケー、分かった。
先に進むか。
「冗談よ」
「少し殺意が芽生えてしまいました」
「ごめんなさい」
「で? 何で靴に羽が生えてるの?」
「それは空を飛ぶためでしょ?」
「いい加減にしないと殺すよ?」
「冗談です。消します」
ナビがそう言った途端、靴から羽が消えた。
あっそういえば。
「消す必要は無かったんじゃないかな?」
「どうして?」
「空を飛んだほうが楽に早く目的地へとたどり着けるからじゃないかな?」
「あれは飾りよ。飾り。飛べるわけないじゃない」
「君、ふざけるのが好きみたいだね」
「ごめんなさい。あまり怒らないで」
こんな調子でナビとの旅は続いていくのだけれども。
本当に大丈夫なのか?
まあ、今は歩くか。




