第十八話「一つ目の光水晶」
僕たちはナビの案内のもとこのマルタ国の光水晶のところへと向かっていた。
旅の途中、アスターシャに
「お兄ちゃんは何のために旅をしてるんですか?」
と聞かれた。
適当に旅をするのが好きだからだよと答えておいた。
光水晶がある神殿は意外と近かった。
すぐに辿り着いてしまった。
あまりにも上手く進みすぎているため、何かあるんじゃないかと勘ぐってしまうぐらいだ。
神殿の中へ入る。
何かあるかと勘ぐっていたわけだが。
予想通り何かあっちゃったのだ。
神殿の中はゾンビだらけだったのだ。
しかし、なぜ神殿の中に?
でも今はそんなこと勘ぐってる場合じゃない。
「お兄ちゃん、怖いよお」
「大丈夫だ。アスターシャ、君は僕が守る!」
「ありがとうございます。 お兄ちゃん」
「そこで敬語は似合わないからやめて」
と言いう会話をアスターシャと交わしつつ、僕はゾンビをなぎ倒していった。
ゾンビはスライムより若干手強かったが。
何とか倒して、通り抜けることが出来た。
神殿の奥へと辿り着く。
目の前には人間の身長ほどの石版があって、石版の中央には丸い何かがはめられていた。
あれが光水晶なのか?
それをナビに確認したところ
「そのとおりよ」
と答えてくれた。
あれが光水晶か、たどり着いたのはいいが。
「ん……。取れない」
石版の中央に強くはめこまれてあって取れないのだ。
どうしようと悩んだところ。
ナビに
「馬鹿なの貴方は?」
と言われてしまった。
誤作動とかミスを犯すこいつにだけは言われたくないのだが。
しかし、これはイレギュラーな自体なのか?
とりあえず理由を聞くことにした。
「その子が何のためにいると思ってるの?」
そういえばアスターシャは光水晶を手に入れる段階で必要となると聞かされたな。
しかし、どうすれば?
「その子に光水晶に触るように促しなさい」
僕は言われた通りにした。
「アスターシャ」
「何ですか? お兄ちゃん」
「この水晶に触ってもらえないかな?」
「お兄ちゃんがそういうなら、私は私は頑張ってみます」
別に触るだけだから頑張る必要はないと思うが。
アスターシャが光水晶に手を触れた。
その瞬間。
「うおっ、まぶし!」
光水晶が強烈な光を放った。
しばらく時間が経った後、光水晶の光は消えて、水晶が石版から消えた。
「何だったのですか? 今のは」
アスターシャも驚いた様子だった。
「おめでとう、やっと一つ目の水晶ゲットね」
「ゲットって言っても消えたが」
「私が手に入れたの」
ナビは少し嬉しそうだった。
「これで次へ進めるわ」
しかし、長い旅になりそうだなあ。
ナビによれば一つの国に一つは光水晶があるという。
聞くところによると、この世界にも国はたくさんあるらしい。
気が遠くなる作業だ。
しかし、ふと思った。
全ての光水晶を集めた時、一体何が起こるんだろう?
ナビのことだ。聞いたって何も答えてはくれないだろう。
とりあえず今は一つの光水晶を手に入れたことを喜ぼう。
「さて、これで能力の制限が少し解放されたわ」
「能力の制限?」
「うん、アスターシャ救出の時にも見たでしょ」
アスターシャを救出する時、僕以外の全てが止まっていた。
この力が解放されたっていうことか。
「時が止まる力の制限も広くなったわ」
「それは良かったね」
「さて、これを聞いて貴方は何も思わないの?」
「何もって何が?」
「例えば、時を止めてアスターシャにいたずらするとか」
「そんなことに使っていいのか」
「ダメに決まってるでしょ」
「だったら最初からそんなこと言うな!!」
こいつの性格は相変わらずだ。




