第十七話「お兄ちゃんの意地悪!」
新しい朝が来た。
希望の朝だ。
という歌がどこからか聞こえてくる朝だ。
僕には家族が出来た。
妹のアスターシャだ。
アスターシャはまだ寝ている。
起こすべきだろう。
気持ちの良い朝なのだから。
「おい、アスターシャ」
「むう、お兄ちゃんの意地悪」
アスターシャは寝言を言っている。
どんな夢なのだろう?
しかし、夢の中の僕は酷いな。
アスターシャをいじめるなんて。
この世界の僕に影響が無いことを祈る。
アスターシャが起きる様子が無いので、僕一人だけで外に出た。
外に出ると、気持ちの良い空気が僕を包むような感覚を感じた。
「さて、雅人君」
ナビが僕に話しかけた。
「どうした? ナビ」
「必要なイベントはクリアしたわ。次はこの国の光水晶を手に入れることね」
「そういや、聞いてなかったな」
「何を?」
「この世界の国の名前とかさ」
「ああ、そうだったわね。これは話しておくべきだわ」
ナビは話してくれた。
今僕がいるここはマルタ国と呼ばれるところで、他の国と比べて貧富の差が激しい国らしい。
スラム街もあるわけだしな。
ナビは一つの国には一つは廃墟と化した神殿があって、そこにある光水晶に向かって進んで欲しいと僕に言ってきた。
なぜ一つの国に一つの廃墟と化した神殿があるのか聞いてみたが、それはナビにも分からないらしい。
そして、そのためにはクリアしないといけないイベントとかもあるらしい。
アスターシャの件もその一つだ。
ただ、イレギュラーも起こる可能性はあるとナビは言っていた。
ナビの誤作動もその一つなのだろう。
ただイレギュラーはナビだけじゃなく、僕たちの冒険にも起こり得る可能性があるから注意して欲しいとナビは言った。
まあそれはそうだ。
世の中上手く物事が行くわけがない。
この先、何が起こるか分からない。
アスターシャも守らないとな。
僕の家族なんだから。
さて、宿屋に戻ったところで、ちょうど良く、アスターシャは起きていた。
「もう、お兄ちゃん私を置いてどこ言ってたんですか? 不安だったんですよ?」
「いや、ちょっとね」
「私に言えない何かがあるんですか?」
「何でもないよ」
「何かあったんでしょ」
「だから何もないよ」
「あった!」
「ない!」
僕とアスターシャの押し問答が続いた。
ついには
「答えないなんて酷い! むう、お兄ちゃんの意地悪!!」
と言われてしまった。
僕は意地悪なのか。
あれ? これアスターシャの夢の中の僕と同じじゃね?
偶然って、あるんですねえ。




