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第十六話「暗示」
「お前は、生きている」
「はっ!!」
何の夢だ?
「どうしました? うなされてたようでしたが」
アスターシャが心配そうな口調で僕に話しかけた。
「アスターシャ、起きてたのか?」
「雅人さんの呻き声で起きちゃいましたよ」
「すまないな、寝ててくれ」
「どちらに行かれるんです?」
「ちょっと黄昏てくるだけだ」
僕は、近くの人気のないところに向かった。
「なあナビ」
「どうした?」
「僕、変な夢を見たんだ」
「私は何もしてないぞ」
「一応話を聞いてくれ」
僕はナビに夢のことを話した。
どういう夢かは覚えていない。
しかし、何かおぞましい夢を見ているように感じた。
そして、一番ひっかかったのが
「お前は、生きている」
という言葉だ。
何かを暗示しているような?
暗示というには言い過ぎなのかもしれないが。
何か重要な……。そんな感じの言葉だった。
それらのことをナビに話したがナビは
「気にする必要はない。ただの夢よ」
と適当な返事しか返してくれなかった。
あれは、ただの夢だったのだろうか?
気にはなるが、今の僕にそれを知る術はない。




