新しきB組
転校生、小沢大雅は俺、大海咲の隣の席に座ることになった。
「お前、どこのクラブに入るつもりなん?」
休み時間に話しかけることにした。
「まだ、決めてない。」
「なんのクラブがあるか知ってる?」
「何も。」
「そうかぁ...じゃあ生徒手帳持ってる?23ページに今あるクラブ全部載ってるから。まぁ、増えたり減ったりするけど、滅多にそういうことはないから。俺が入学してからは少なくとも何一つ減ってもいなければ増えてもいないし。あれなんだよ、ここの学校の奴らってみんな、自分のクラブへの想いがすごいんだよ!まぁ俺は幽霊部員だけどなっ!』
満面の笑みで話した。彼の顔は笑っていた。彼の緊張が解かれたのがわかった。
「ありがとう。見てみる。」
「おう。」
「君はどこのクラブに入ってるの?」
「テニス部。」
「運動系かぁ...上下関係とかやっぱりすごい?」
「いやぁ...2回しか行ったことないからよくわかんないけど、テニス部は結構みんな仲がいい。一応先輩には敬語使うけど、球拾いもみんなでしてたし、思いを一つにしよう!って感じの雰囲気。興味あるの?」
「いや、聞いてみただけだけど。ここ見てると、文科系が生物クラブしかないね。」
「そうなんだよ!みんな青春がしたいんだ。みんなで力合わせて汗かいて優勝目指して頑張ろう!っていうのが好きなんだよ。俺はそういう興味なくはないけど、そこまで熱くはなれないな。かといって生物クラブは解剖しかしないらしいから嫌だし。仕方ないから運動系で一番緩そうなテニス部にした。人数も44人でけっこう多いから一人いなくても困ることはないし。」
「テニス部ゆるいのか...僕もテニス部にしようかな...」
「上下関係嫌いで解剖も嫌いでゆるいクラブを望むならおいで〜。だけど、俺もそろそろクラブ変えようかなーと思ってる。せっかくだから楽しみたいし。でもいいクラブないんだよなー。」
「あのさ、クラブって作れるの?」
「まぁ、いろいろ面倒くさいし、作ったやつが部長にならなきゃいけないけどな!」
「そうかぁ...じゃあいいや。」
「お前ほんっと面倒くさいのいやなんな!」
なるほどその発想はなかった。なぜかわからないけど、なぜかこいつとは気が合いそうな気がしてきた。
次回からがいよいよ本番です。ここまではあくまで前置きであり、プロローグのようなものです。