大海 咲
2年B組、大海 咲。男
2000年、7月3日生まれ。
父・2005年 死去
母・商品開発者
好きな食べ物、お米。
現在、テニス部の幽霊部員。
2014年11月3日。
『おはようございます。今日、新しいクラスメートが来たので、紹介します。昨日話したよね!?』
『えっ、初耳!』
クラスメートの一人が口にするとクラスがざわめきだした。
『あれっごめん、言ってなかったか...じゃあサプライズってことで!とにかく紹介します。小沢君!』
ゆっくりとドアが開いた。
転校生が入ってきた。どこ出身だろう、2年生の11月。ちょうどあの人が過ごす残りの中学校生活は半分くらいだ。
「小沢大雅です。元帰宅部、趣味は特にありません。梅が好きです。クラブには入るつもりはありません。これからよろしくお願いいたします。」
なんて典型的なスピーチだろう。あんまり面白そうなやつではなさそうだ。
しかし一つだけ自分と似ていると思ったところがある。クラブに入る気はないという点だ。俺も元から上下関係とか、そういうややこしいのが嫌いでクラブには入りたくなかった。形としてはテニス部員ということになっているが、実際あまり行っていないし、入っていないのとほぼ同じような状態だ。10月の末にあった文化祭でも係りの仕事しかしないでテニス部の方には一度も顔を出さなかった。
「小沢君、ちょうど話にあったから言っておくけど、この学校に帰宅部はないの。クラブに入らないという選択肢は残念ながら、無い。」
その通りだ。必ず入らなければいけない。なのにみんなクラブに熱を注ぎ込んでるけど何故あんなに夢中になれるのか。
それにしてもなんて顔に出やすいやつなんだ。クラブに入れないと聞いて焦っているのが丸わかりだ。