新しい学校、新しい仲間
2014年11月3日。
「ここよ」
母が言った。
ここが新しい中学校だ。
地元の、古そうな学校だ。
何故僕は今ここにいるのか。
時々疑問に思ってしまう。母には何も言ってないが、内心前の学校に戻りたい。
「どうも、おはようございます。小沢君ですね。私はここ、大海中学校校長、須藤 佳子と言います。」
校長が言う。僕が会ったのは初めてだ。母は事前に校長には会っていて、きちんと挨拶をしていると聞いている。
「おはようございます。どうぞこれからよろしくお願いいたします。」
母が返す。
「よろしくお願いします。」
続けて僕も挨拶をする。
「小川君が転入されるクラスは、2年B組、こちらが担任の横川先生です。」
「よろしくお願いいたします。では早速教室に向かいますので、お母様とはここで失礼いたします。」
横川先生がそう言うと、僕と先生は歩き始めた。
思ったよりはいい学校かもしれない。校舎は古いが、雰囲気がいいし、きちんと掃除されている。先生も優しそうだし、充実した日々が過ごせそうだ。
「じゃあ小沢君、先生が呼ぶまでここで待っていてください。簡単な自己紹介をしてもらうから、少し考えておくといいと思う。」
そう言い残すと先生は教室に入っていった。
教室がざわめき始めた。僕が転入することは、噂にもなっていなかったようだ。
「小沢君!」
僕の名前が呼ばれた。ゆっくりとドアを開ける。そこにはこれから共に約2年間を過ごす、36人の仲間がいた。
「小沢大雅です。元帰宅部、趣味は特にありません。梅が好きです。クラブには入るつもりはありません。これからよろしくお願いいたします。」
我ながら思った。なんて典型的なスピーチなんだろう。第一印象は絶対に悪かった。
「小沢君、ちょうど話にあったから言っておくけど、この学校に帰宅部はないの。クラブに入らないという選択肢は残念ながら、無い。」
衝撃的だった。僕はこれからどうすればいいのか。誰かに言われたわけでは無いが、僕はコミュニケーション障害だと思う。クラブなんかに入って、変な上下関係とか築きたくないし、クラブ仲間と仲良くする自信もないし、楽しめるクラブがあるのかも謎だった。
話し手は前回に引き続き、小沢大雅です。
次からは話し手が変わります。
話に出てくる学校、先生の名前など、全てはここだけのフィクションです。