一話 朝の冷気
始めの方は一話の量が少ないかもです。
なんか冷たっ!布団何処やった?目をかすかに開こうとして、いつも通りの朝が始まる。
「今日の朝ごはんはレタス四枚と目玉焼きとベーコンを一緒に焼いたやつをパンに挟んで食いたい!」
…ん?あれ?おかしいぞ?いつもならここで『いつもながら健康を考えてレタスを沢山頼んでいますね』とオネェの角刈りコックに言われるはずなのに…。
しょぼしょぼする目をしっかりと開くとそこには青空が…と思いきや雨が降るきっかけとなる雨雲が空一面を覆っている。え?なんで?と戸惑い、あ、俺死んだんだっけwと思い出す。
「って、うぉ!冷たっ!」
一応状況を確認。木にもたれて寝ていたようで、そこまで雨は直撃していない。しかし水溜りに右足が漬かっている。そして右足ではなく背中の方に言い表せない不快感を感じる。木を伝ってきたのかやはり背中がビショビショだ。服が背中に張り付く。
うわ、最悪の目覚め。林?森?辺りを見回す。木が沢山生えてるが、そこまで密集していない。落ち葉は余り落ちてないから地面が顔をだしている。時期的に夏?少なくとも木の葉っぱは青々としているし、梅雨と言ったところだな。斜面になっていないので、盆地か平野だろう。遠くに山があるかとか確認したいが木が思いのほか高い。高さは、俺が住んでいた十階建てマンションと同じぐらいあるだろう。先っぽは枝が邪魔であまり見えないし、下からみてもよくわからない。多少誤差があるだろう。木の根元には苔が生えている。遠くに小さな岩があり、座れそうだ。まあ濡れてて座れそうにないけど。木の実もなってそうだな…。
てかあれ?俺生きてる?ここ何処?でもこのパターンは明らかに転生した主人公的な…。あ!体は?きっと何かの魔物に変化して…ない。じゃあ特殊能力に目覚めて…はぁ。なんかつまんねぇな…。
しかし転生したのは明らかだ。切られた首と刺され胸の傷が跡形もなく消えている。縫った痕跡もない様に見える(心臓の部分にはだ。首は勿論手探りで。)。服はTシャツとジャージのハーフパンツ…だっせ!ピッチピチとかマジありえん!キモすぎだろーが。雨に濡れてるから着心地が最悪だし!
いや、それよりもとりあえず…とりあえず、だ。別にこの服装に納得したわけではない。断じてそんなことはない!ふぅ、一度落ち着こう。そもそも誰も見ていない。ガサッ
あぁ、なんで余分なフラグを立ててしまったのだろう。振り向き唖然とするしかないのはお約束か?
目の前には真っ黒な、そうだな…。例えるなら吸い込まれるような漆黒?まるで影が自分の意思で動いてるみたいだな。まあ、そのなにかがだ。木の上から落ちてき…ズン!
うぉ、思ったのと違う効果音。驚きつつ警戒する俺。地面に少しめり込んでるから、それ程重かったってことか?黒い何かは羽が生えていた。よく見ると、そう、ファンタジーの世界お馴染みの、最強の座に君臨するあの伝説の生物。やはり転生したからにはそうこなくては!きっと怪我をしているに違いない!それを俺が助けて…よし!
「ドラゴンさん!大丈夫ですか?」
あわよくば兄貴達の代わりにと慌てて駆け寄る俺を何に思ったのか、やはり警戒するドラゴンさん。
「グルルルルッ」
腹の底に響くような少し聞いたことのある声だ。ライオンに似てるな。そりゃあそうだよな。簡単に仲間になってはつまらない。
「安心してください。あなたに危害を加えるつもりはありません。あなたを助けたいんです。」
ムフフ、やはり何処からどう見てもドラゴンだ!しかし怪我は思った以上に…と言うか矢や槍や剣が露骨に刺さりすぎだろ!雨だからてっきり傷口は塞がってないと思ったのだが、そうでもなかったらしい。ドラゴンの血ってどんな色なのかな?わかんないけど、今は血を流してないことは明らかだった。
この時俺は気づかなかったが、この場面を第三者が見たならば、ピッチピチの服を着たおっさんがボロボロのドラゴンと会話を試みようとしているというおかしな光景になっていただろう。
…そういえばこちらに来てのお約束かと思っていた若返りや、第三者による説明も全くなかったな…。せめてドラゴンが話せたたらよかったのだが。この先大丈夫か俺?
服装はすぐに変わります。どうしても変えて欲しいと思う方がいれば変更します。この服装はあくまで転生してもいいことがある訳ではないと考える主人公を、書きたかったがためです。
特に理由も無いので、遠慮なく言ってください。