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転生した悪の救世主  作者: レインコート
転生してから
17/29

十六話 美人

全員が全員、惚れ惚れするぐらいの顔立ちだ。俺もあんな風に生まれたかったな…。は!違う!そんなことはいいのだ、こいつらは一体?

人数は四人だ。かっこよすぎて男か女かわからないが、胸の膨らみから一人を除いて全員が男のようだ。腕の太さや背の高さも男と女で違うようだな。

何か話しているようだが…。ルミナスの件もあり、勿論俺の聴力は跳ね上がったが、遠い上にコソコソと話している。くそ!聞こえん!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


クレイは何か話てるぐらいしかわからないと言っていたが、何か話してるとわかる時点でおかしいのだ。そのほかにも、この漆黒の中で黒い服を着て木の陰で話す連中を発見する事も、普通では考えられないことであった。あそこで何か話していると言われても、わからないぐらいなのだから。この世界には、クレイを上回るほど周りの変化に敏感なものもいたが、魔法や術有りでの話だ。魔法や術なしの生身の体で、これ程敏感なのはクレイぐらいであったのだが、クレイは知る由も無いのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ん?今ちょっと聞こえたぞ?名前かな?サクメ?今、最大限に耳に意識を集中させている。

フードはすぐに被ってしまった。外したのはあの一瞬だけであった。にしても、美人だったな〜。あれ程美人なのは今まで見たことなかった。あいつらなにしてんのかな?

さっきまで耳をすませて目を閉じていたのだが、新しい発見をしてしまったのだ。俺は音の反響で大雑把ではあるが、その場の状況がわかるようなのだ。簡単に言えば、コウモリと同じということだ。

そして、さっき一瞬だけ会話の反響に違和感を覚えたのだ。

「何かが木の上にいる…?」

瞬間まぶたの向こうがポッと明るくなり、聞き耳を立てていた俺の耳に爆音が響く。

「ぐあぁぁあ!」

耳がぁ!痛い!目を見開き状況を把握する。鬼たちは奇襲を受けたようだ。二人その場に倒れている。一人は何かと戦ってる。一人足りないな?

あ!足りないのはあの美人さんだな?どこだ?どこなんだ?この際話しかけて助けよっかな?ガサッと背後で音が…

首筋を何かで殴られた。いてえ!直ぐにケツを蹴られてそのまま木の上から真っ逆さま。

「悪く思わないでね。」

木の上からの声。そして、地面に頭から落っこちる。くそ!俺じゃなかったら首の骨、折れてたぞ?今だに痛みが残る首筋に無意識に手が伸びる。そして、ヌメッとした感触に背筋が凍る。

俺、首切られてる。

「ああああぁぁぁあ!」

殴られたのではなく、切られたのだ!

叫び声もどこか懐かしく、ヒューヒューと首から空気が漏れ、大きな声が出ない。生前もこんな感じで死んだっけな…。

縁起でもねえ!また生き返られるか分かんねえのにヨォ!

そ、そうだ!俺の再生力を信じろ!素早く前に傾いた頭を後ろに倒す。なんで生きてんだ俺?暫くすると喉がイガイガしてきて、咳が出た。ペッ。吐血。

「くそぉ!よくも、よくもぉ!」

ん?ガラガラだが声出たな。首筋チェック…。くっついた、な。

「おのれぇ、どこのドイツダァ!俺の首を切ったのは!」

小さい頃に戦隊ものでこんなこと言ってた悪役がいたってな…。声もそれなりにできあがっている。いや、俺悪党じゃないし、相手が先にやってきたんだし。

「邪魔だぁ!」

近くにいた何かを吹き飛ばす。おそらく鬼を奇襲したやつの仲間かなんかだろう。

「う、嘘でしょ?」

さっきの木より遠くから声がする。小声で意識しても聞こえな位ぐらいの声だ。だが、俺の地獄耳を舐めてもらっては困る。反響から位置を特定しそちらを振り向き最高の笑みを作る。

「お前かぁぁぁぁあ!」

「キャーーー!」

さっきから叫んでばかりだな。

俺は、間違ってもやってはいけないことをしたそいつを、全力で追いかけるのだった。

いや、追いかけるというのは不適切か。追いかける必要もなく、一瞬で犯人の目の前まで駆け上る。

「あ、あの、ご、め、んな、さい」

恐怖の余り涙を流すその瞳は、吸い込まれるような瑠璃色で輝いていた。ほんのり赤い唇は、より一層白い肌を際だたせている。髪は夜空のように黒く、その肌の上を星のように輝く涙が伝う。

あ、俺とんでもない罪を犯してしまった。

「い、いや、いいんだよ?わかってくれたなら、うん。気にすることないからね?ちょっと痛かっただけだし、その、ほら泣かないで?」

こんなか弱い女の子を泣かせてしまった。俺のバカ!

「どうしたの?こんなところで?何か手伝えることはある?」

「え?」

あまりのギャップの大きさに状況を把握できてないようだ。それもそうか。殺人鬼がおネェだったら俺も動揺する。

「何かあったらおじさんになんでも言ってね?」

「おじさん?」

自分がおじさんだからと言って、自分で自分をおじさんと呼ぶのは精神的にくるものがあるな…。

「そ、おじさん。誰かに追われてたりしたら、おじさんが守ってあげるからね?」

追われているのは確認済みだ。さっき吹き飛ばしたし。

「おじさん?」

なんだ?そんなに馬鹿にしたいのか?まぁ可愛いは正義だ、許してやろう。

「おじさんだ。おじいさんでもいいぞ?」

なぜかその子は俺の顔を見てポカンとしている。因みにこの子の年齢は20歳くらいだろう。

「どうした?何か付いてるか?まさか後ろに敵か?」

キョロキョロとしたらその子がクスクスと笑った。目に溢れんばかりに溜まった涙が落ちる。笑いを堪え、左手で口元を隠す姿もまた可愛らしい。そしてその口から俺の知らない自分を聞かされた。

「あなた、私よりも子供じゃない?」

え?


来週投稿できるか危うくなったので今投稿してしまいます!

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