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転生した悪の救世主  作者: レインコート
転生してから
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十四話 羽根

虹色に輝くミサイルを間一髪で避ける。ズンッザザザー!一度バウンドして、しっかりと二本の足で立ち上がるそれは、砂煙が舞い上がったばかりの場所を見回す。反射的に茂みに隠れる私は、砂煙りの向こう側のそれがドラゴンでないことを確認した。

私の錯覚だったのだ。それに体は虹色ではない上、人間の姿をしている。10〜15歳ぐらいの男の子だ。まだ幼さが残っている。これは一体?悪い夢でも見ていたのかと思いたいが、少年の足元の土は見事なぐらいにえぐれている。頭が混乱する一方だ。

「あれ?さっきまでここに誰かいたよな?」

あんな遠くからピンポイントで見えたのか?

「人だと思ったのに。はぁ。疲れたな…。これからどうするか…。」

少年はゆっくりと歩き、近くの大木をぎこちなくひと蹴り。いうまでもなく大木をは爪楊枝の様に…。比喩表現がおかしくなるほど簡単にへし折れる。少年は綺麗に切ったわけではないのに、鋭利にささくれた切り株の上に腰を下ろす。痛いに決まっているのに、少年は当然のように休んでいる。

とんでもない化け物がこの世にはいたものだ。怪力だけでなく、硬い皮膚まで持っていると来た。これは敵になったら後々困るな…。私もあの様な力が欲しいな。むかつくな。何か手を打っておこう。さて、どうしたものか。私はしばらくの間彼の今までの行動を思い出して、ごく僅かな情報から一つの策を考え出す。

……閃いた!

さっきの様子からすると、馬鹿力は操り切れてなさそうだな。見た感じでは好戦的ではなさそうだし、少し会話できればこちらのものだ。

私は怪しくない程度におどおどしながら一般女性を装い、化け物の前に姿を現したのだった。



うーむ。本当に困った。かれこれ数十時間。巨大百足(ムカデ)が消えた場所からずっと移動している。最強の力を得たと言っても戦う為に使えないのならば、不便そのものであった。少し木にもたれかかっただけで木が倒れてしまったり、虫を叩こうと、とっさに手を叩いただけで爆音が響いたり…。さっきのように移動するだけならとても楽だ。一度全力で地面を蹴れば数分間飛べるのだ。着地もだんだん慣れてきたしな。

実を言うと、生前(今も生きているが)暇なことなどほとんどなかった。暇はあったが、暇さえあれば勉強や仕事ばかりしていたからな。正直暇な時間をぼーっと過ごしたり、空を飛ぶ快感を味わったりと、生前より時間が長く楽しく感じる。

何もする事の無い世界。それは生前に、誰よりも忙しく何かをしていたいと思っていたクレイにとって新たな考えを芽生えさせる結果となった。

伸びをして時間のことなど考えることなく、ゆっくりと立ち上がる。さて、もう一回飛ぶかな?

「あ、あのぉ〜。」

「はい、なんでしょう?」

何か用かな?と、何気なく返事を返した。

「え、えっと…」

出てきたのは戸惑っている女性だった。そう、この数十時間、ずっと求めていた人の姿をした!

「え!すすすいません!あ、こんにちは!」

「こ、こちらこそ、こんにちは。」

普通の人から見ればコミュ障にみえただろう。

「何かや、ようですか?」

「はい、私実はここら辺にあるっていう都市を探してまして…。ご存知ではないでしょうか?」

都市?あ、ルミナスの言ってたのもその都市かな?

「その都市と同じかはわかりませんが、僕もある都市を探してまして。」

ん?なんかおかしくないか?この人さっきまで隠れていたみたいだし…。俺が飛んできたところも目撃していておかしくない。というか、あんなに派手に着地したのだ。見ていなくても音や振動やらで、不審に思うはずだ。何より、それに気づかなかったとしてもこの地面のえぐれ方、一目で何かあったとだとわかるはずだ。なのに平然と話しかけてきて道を知りませんか、だと?

「ど、どうかしましたか?」

いや、なんでもないです。

とでも言うと思ったか?あいにく俺には怖いものなどないのだ。

「なんなんだお前は?」

お前の正体は見破っているとでも言わんばかりにカッコつける。さっきまでキョドっていた者の口から出ると、余計にそれっぽく見えたのだろう。女はさっと両手を挙げ、手に持っている4つの輪っか(リング)を見せ

「敵意はありません!」

と言ってきた。そんなこと言われなくても何もしないのに。ていうかさ、こんなにあっさり白状するとは思わなかったな…。取り敢えず、隠し持っていた輪っか(リング)についてだ。

「それは何だ?なぜ隠し持っていた?」

俺には隠し事など通用しないぞ?という雰囲気を醸し出しながら問う。このくらいの大嘘(ハッタリ)なら、いくらでもやってきたつもりだ。

「別に隠し持っていたつもりはないよ?」

「なら、なんだそれは?隠すつもりがないなら教えてくれてもいいだろ?」

さっきから大きな態度を続ける俺。厨二病?何を言っている。当たり前だろ?

「分からないの?どこから見てもただの腕輪だよ?」

「お前には腕が4本あるようには見えないのだが?」

バカにしたように言うと、カチンときたのか口調が強くなる。

「あなたと私、合わせたら4本では?」

あくまで敵意がないことだけ、何をしようとしてたかは話さないつもりか。なぜ4つなのかはわからないが、少なくとも二つは俺に付けさせたいようだな。

それはいいとして、彼女の私の方が上手ですよ?的な言い方が少しカチンときた。挑発したことなど、都合よく覚えていない。

「残念!合わせたら6本だ。」

そう言い放ち、俺は隠していた背中の腕を露にし、私の方が上手ですよ?的な顔をする。

「そ、そんな!」

驚愕のあまり口が開いたままになっている。やはりこちらでも4本の腕はおかしいようだ。本当は羽根なんだけどね。

飛んで暫くした時、気づいたら服を貫き生えていたのだ。何時から生えていたのかはわからないが、縮めて体の中にしまうこともできるし、形もある程度変わる。骨の作りが鳥と同じなようで、骨の長さを変えると、このように手にすることも可能だ。当然、背中から生えていて、肩より少し下にある。今まで使ったことのない場所を動かしていると言うよりは、俺の意志の赴くままに、自動で動いているという感じだ。不思議なもので、慣れるとどの部位よりも力調節が簡単になった。今の所、細かい作業は全部羽根でやっているぐらいだ。腕よりも伸びたりもするし大きさも変わり、力も一番強く入りやすい。さっき、数分間飛べるといったがそれは羽根なしでの話だ。ありだと数十分ぐらい飛行できる。因みに色もある程度変わるが、通常は茶色っぽい。だが羽根と言っても、羽毛はなく骨格に人の皮膚がまとわりついた感じだ。

まあ、なんにせよあまり人前では見せないほうがいいだろう。それに、奥の手として取っておいたほうが俺としても安心感もあるしな。

驚いた顔から一変して笑い出す女。

「あはは、あなた面白いね。驚いた、私の負け。これが何か教えてあげる。…その前に名前!教えてよ。」

名前を聞くときは先に自分からだろ。

「俺は…クレイ。あんたは?」

「クレイ?てっきり…。いやなんでもないです。私は、スギウラモトキ。」

スギ…杉浦か?なんか聞いたことあるな?どこかで聞いたか?ずっと前から知っているような…いや、その前に日本人かこの人!よく考えれば黒髪だし、変なところはない。

「日本名?」

それを聞き、またしても驚愕する杉浦。モトキって。男じゃあるまいし、もっと可愛い名前をつけてあげればよかったのにな。

「やっぱり!日本人か!なら私の名前知ってるよね?」

「いや、どこかで聞いたような気がするだけで、わからないんだ。」

本当の事だ。

「クレイって本名なの?苗字?本名?」

「そうだ。苗字は忘れた。」

これは嘘だ。というか、最初にカッコつけて決め台詞言わなかったらこのことすら知らなかったんだろうな。

「忘れたの?フフ、まあいいや!これ!同郷からのプレゼント。力の調整が楽になると思うよ?つけてみて!」

言われるがままに4つの腕輪(リング)が腕と羽根に付けられる。というか、強引に付けられる。きっと俺よりも前からこの世界にいたのだろう。聞きたいことが山ほどあるから、見逃してやる。

「気分はどう?」

気分?そういえば手足が軽くなったな…。

「はぁ!」

あと体も軽く……俺は感想を伝える前に投げ飛ばされていた。って、え?なんで投げられてんの?

「どう?簡単に投げ飛ばされる気分は?」

俺は空中で杉浦のほくそ笑む顔が目に入ってきて、してやられたと後悔するのであった。


この頃忙しいので、また遅れるかもです。

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