ヒロインは決まっている
主人公とはなんだろうか? ヒロインとはなんだろうか?
主人公とは物語の主人公で、ヒロインとはその主人公と親しい又は恋心を抱く女性である
しかし、主人公がいるからヒロインがいるのだろうか?
俺はこう思う、ヒロインがいるから主人公いるのではないかと
ヒロインと言っても様々な種類が存在する
まずはジャンルによりファンタジー、SF、ミステリー、ホラー、戦記、コメディー、学園……などなど
次に様々な属性がある。ツンデレをはじめとしてロリ、妹、お姉さん、小悪魔、ヤンデレ、女王様、僕っ娘、俺っ娘、清楚、純真、天真爛漫などと数を上げればきりがない
だがすべてに共通するのは容姿が良い(一部例外を除く)
しかし主人公は下種や、お金持ち、貧乏、普通、チビ、デブなどといった主人公がいる
中にはアフロで鼻毛を出していたり、チビでデブで卑屈なのにモテていたり、特技が集中力、手先が器用、性格が卑屈などというキャラやもっとも有名な主人公の一人では自分が嫌なことがあるとすぐに青いネコ型ロボットに助けを求めるどこかの小学生で、いじめられっ子がいる
つまりだ。ヒロインとかかわりを持てばそいつは主人公になれるのだ!
と言っても全員が主人公になれるのではないが……
とにかくだ、例えばヒロインが戦ってるところに介入する、不良に襲われてる所を助ける、走ってきたヒロインにぶつかる、ヒロインの秘密を知ってしまう、ヒロインに攻撃される、小さいころから付き合いがある、ヒロインを見て一目ぼれし、告白しようと近づく
どれもこれもよく物語であるような話だろう
だが、主人公だからこうなのではなく、偶然ヒロインに関わったからこうなったのではないのか?
勇者召喚もランダムに選ばれ、そこに勇者補正加わるのではないか?
俺はそう考えている
「お兄ちゃん何変な顔をしてるの?」
「あぁ……悪い……」
現実逃避はこのぐらいにしておこう
俺は義妹である天野美里(ジャンル:恋愛 属性:ヤンデレ)と喫茶店に来ているのだがそこで現実逃避したくなる事態を発見したのだ
なんと十坂風音(ジャンル:ファンタジー 属性:ツンデレ)を発見したのである
別に羨ましいとか、修羅場になるとかそういうレベルの話ではない
まだ俺を争って争うとかなら羨ましいなどと言えよう。しかしだ、これには彼女たちのに関する問題なのだ
ジャンルに注目してほしい風音はファンタジーで美里は恋愛
つまり風音は戦闘能力があるが美里は戦闘能力がない
もし二人があったら美里が戦闘であるファンタジーの世界に巻き込まれとなる、戦闘能力を持たない美里が巻き込まれてしまう
もちろん風音が恋愛系になる可能性があるが影響力が違う
一般人が戦闘に巻き込まれるとバトル系になるが、戦闘を生業にしてる人が恋愛に巻き込まれたとしたら両立し、ジャンル的にはバトル系になるだろう
なぜこのようなことになっているかというと俺が女誑しの親父からのつながりで美里に会い、戦闘を繰り広げている風音が俺の隣に飛ばされたのだ
二人に会えたことはうれしいと思うがそれによって様々な問題がある
俺には幼馴染の福地舞耶(ジャンル:恋愛 属性:清楚)に想いを告げられたことがあったのだがその時は恋に恋するお年頃でOKを出そうとしたら悲鳴が上がったり(戦闘系)悲鳴が上がったり(ミステリー)悲鳴が上がったり(コメディー)した
それでやっぱり断ろうとしたら今度はトラックなどが通り声をかき消された(恋愛)
まだこれは優しい例である。しかしバトル系ヒロインと他のヒロインが合えば先ほど説明したとおりになり、ミステリー系にほかのヒロインが合えば何らかの殺人事件が起こる
つまり、違うジャンルのヒロインが合えば他のジャンルが自分のジャンルに引き込もうとするのである
何をするのかというと俺がいなくなるのである
そうすれば会っても繋がりがないからそのままスルーされるのである
「あっ、家のエアコンを消し忘れたな。もったいないから先帰ってるな」
俺はこの時のようなことを体験し、あらかじめ家に帰る口実を大量に用意してるのである
「ほかの女に会うつもりじゃないでしょうね……」
「大丈夫だよ」
一瞬目の色が変わるのだが、頭をなでれば元通り
こういう行動は漫画やアニメのようにしとけば何とかなるのである
で、お金を置いて出てくると案の定風音がいた
ファンタジー系だから人の察知能力が高いのである
風音は俺が3番目にあったヒロインで(1番は舞耶2番は美里)いまだ一種類のジャンルにしか首を突っ込んでなかったため戦闘中の風音をかばったのである
風音なら躱せた筈の攻撃なのでただ無駄だっただけのはずだったが、ヒロインと関わりを持ってしまったがためにその物語の主役となってしまった
「やっと出てきたわね、で、い、一緒にいた女の子は……?」
少しの彼女だったらどうしようと言う困惑を隠し風音が言う
「ただの妹だ」
こういうことによって安心したように息を吐く
しかし、ここは気づかないふりだ
「っ天野!」
「分かってる」
そう言うと不思議空間に強制的に移動し、ピエロのような化け物がいた
ピエロは人を襲おうとしているが魔法少女(武器:刀)が跳躍の魔法陣で一気に駆け上がる
俺は魔法の銃(風音に護身用として貰ったものだがすっかり俺も戦闘要員に……)を取り出し援護する
ピエロの出す炎を魔力でできた弾を放つ
そして風音が斬って終わりである
雑魚戦なのだからこんなもんだ
そして、雑魚であっても主人公の俺とヒロインの風音が一部例外を除いて近くにいるときしか出てこないのである
なんとご都合主義? だろうか
「お疲れ」
「大して疲れてないわよ、そういうあんたはどうなのよ」
素直に激励を受けないのがツンデレ属性だろう
そして、そのまま別れる
そうして歩いていると
「天野先輩ではないか?」
ボーイッシュな女子テニス部のエース
東雲駿花(ジャンル:スポーツ 属性:後輩)が出てきた
「天野先輩、是非テニス部のマネージャー、いや、コーチになっていただけないだろうか?」
もちろん俺にテニスの知識などたかが知れてる
偶々見かけた彼女に声をかけたらアドバイスを求められ、テレビで言ってたことを言ってみたら主人公補正が働き、そのアドバイスのおかげ勝ってしまったのだ
そして、それから会うたびにこう言われるのだ
「それは断っただろ? んじゃ、またな」
「私は諦めていないからな、諦めたらそこで試合終了なのだから絶対に先輩にコーチになってもらう」
「それはテニス部員じゃなくって、バスケのコーチのセリフだよ」
スボコンはまだあしらいやすくって楽だな
そこで少し言葉を交わし、駿花は立ち去った
「実験体発見……」
「怖いことを言わないでください!」
そんなことをいうのは柳田理科(ジャンル:コメディー 属性:無口・マッドサイエンティスト)だ
コメディーキャラのこいつは会いたくない部類なんだよな
コメディーってのが体を張ることが多い
例えばこいつのキャラの場合は最後に爆発落ちが付き物だ
「で、何を作ったのですか?」
「性別を逆転する薬……」
「つまりは男から女に帰るってことですか?」
コクッ
「なんで俺なんですか?」
「きっとかわいい……」
「帰っていいですか?」
フルフル
はぁ、これは実験に付き合わないと帰れないパターンか?
だが、これは男の尊厳を守るためにこの実験に付き合うわけにはいかない
まだ一つだけ手は残されている、つまり逃げるんだよ!
「逃がさない……」
こんな時だけいつの間にか回り込んでいるミステリー
だが、コメディーである以上この程度は予想済み
試験管の中の液体をかけてくるが俺には異能バトルで身に着けた反射神経がある
俺がよけることによってさっきまでいなかったはずの雄猫が液体を浴びる
そして出てきたのはネコ耳とネコの尻尾をはやした美少女(裸)だ
「早くそいつに服を着せるか、元に戻せ」
しっかりと見たいところだがそうすると理不尽な暴力に会うので理性を総動員することによって後ろを向く
そして……
「隙あり……」
後ろからかけられる液体を避ける
そうして前を通った人にかかる
そいつが急に女になってびっくり
「早く元に戻せ!」
コク
もう一度同じ薬をかけることによって元に戻す
前と負った人は一瞬女になったことに驚きながらも気のせいだったのかと歩き始める
その後も逃げ続けた
結果は爆発落ちが待っていたとだけ言っておこう
で、次に会ったのは峰田蘭(ジャンル:ミステリー 属性:ロリ)見た目小学生、本当は大学生の彼女だ
それにしても先ほどの爆発でアフロになった髪が元に戻ってるのはさすがコメディーだ
そんなことを考えてると蘭から声をかけられる
「助手ではないか? こんなところで何しておる?」
「ただ単に家に帰ってる途中ですよ」
ミステリー、こいつは早くいなくなった方がいい
なぜならかなりの高確率で殺人事件が起こるのである
ピーポーピーポーピーポー
ほら、やっぱり
「何やら事件の香りだな、助手よ、行くぞ」
この時俺には断る権利はない、というより断ろうとするといつの間に行くという選択肢しか残らなくなるのである
それにしても警察が出動してるのに事件じゃなかったら……
そして、行ってみるとやはり殺人事件だった
容疑者はこの通り
奥さん:専業主婦
友人A:大工
友人B:鮮魚店店長
仕事仲間:サラリーマン
「死因は鋭利な刃物で何回も刺されたのだな、これはかなりの恨みを持った者の犯行か? 死亡してた時間には全員にアリバイがあるのか……」
と丁寧に解説してくれる
それにしてもよく見た目小学生の女子大学生を警察が事件現場に入れてくれるよな
そして、こいつもよく死体を見て平気だよな
今回はかなりむごいぜ
その後も調査は続き
「あとちょっとなのだ、あと一つのきっかけですべてが分かる」
「うーん、よくある死体を冷やしたり、温めたりとかがトリックだったりしないんですか?」
「それだ! 助手よ、全員を集めてきてくれ」
俺の何気ない一言により事件が分かったようだ
言われたとおりに人を集めると彼女の謎解きショーが始まる
まぁ、正直言えば異能バトルを繰り広げる者達(自分を含む)ならトリックを使わなくっても普通にこのような完全犯罪を作れるんだが、それを言うのは野暮ってもんだろ
「……つまりだ、犯人は氷をつららのようにとがらせた物をいくつも用意し、それを被害者にいくつもブっ刺したのだ。それにより体温が冷やされ、死亡推定時刻もずれが生じた。これができるのはただ一人、鮮魚店に勤める宇尾田大将、あなただ!」
ここから恒例の自白タイム
宇尾田はつかまり、一緒に歩くことになる
「話を聞いてみればただのすれ違い、まったく、どうしてこういうのが起きるのだろうな?」
「わかりません、ですが、僕はあなたを裏切りません。すれ違おうとしても、他の何があっても」
そう言ってお互いに顔が赤くなる
俺はくさいセリフを言ったことに対して、彼女は俺の言葉を受けて
そして、俺たちの目の前に幼馴染の舞耶が……
まずい、恋愛系の彼女にミステリーの蘭を合わせるわけにはいかない
俺は自然を装い曲がる
そうすると誰かが俺にぶつかって後ろに隠れる
「あなた、私を助けなさい!」
そう言ってる少女(ジャンル:??? 属性:???)を追ってくる黒い人影
蘭は俺曲がったことに気づいて無い様だ
確実にこの少女はヒロインなのだろう
さて、今度は俺はどんなジャンルの主人公になるのだろうか?
ここは、主人公らしいセリフを言っとくか?
「やれやれ、かわいいレディーを追い回すのは誰だ?」
こうして新たな物語ヒロインに会うことによってその物語の主人公となった
俺の苦難はまだまだ続くようだ
ここまで読んでくださりありがとうございます
感想、評価など待っています