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序章
だれだって幸せになりたいのです。奴隷も、英雄も。
そのために逃げて、時には戦います。
それぞれが理想を求めて現実に立ち向かうのはどこの世界も変わりません。
これも、そんな大海の中の一つのさざめきのような物語です。
誤字、脱字、わかりにくい描写や比喩表現など、おや? と感じられた部分がありましたら指摘して頂けると幸いです。
痛いほどに冷たい雨が降っていた。
そのおかげで人目はなく、家から出る者がいないのは幸いであった。誰にも見られたくない。
長い付き合いだった手枷は、足元に倒れる男の持っていた鍵束で外れてくれた。
家から運び出した荷物を手早く荷馬車に積み込むと、彼は長年世話をさせられてきた馬に囁きかけた。
「逃げ切れると思うかい?」
ぶるる、と馬は嘶いた。彼が喋ると必ず相槌を打ってくれる。
「……行こうか」
彼が軽く手綱を打つと、ゆっくりと木の車輪が回り始めた。




