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7話 欲望。


 犬は勿論、猿も雉もイイヤツだったよ。

 とかいっても、餌やってたから懐いただけかもしんねーが。

 猿は賢いヤツでさ、寒い日とかには俺の靴下を尻で温めてくれてんの。はしっこいヤツだったな。

 

 雉は目も良くてさ、なんたって飛べるからな。

 伝書雉ってヤツ? 国軍との連絡役を買って出てくれたんだ。

 アイツが一番忙しかったのかもな。


 ん? 国軍? ああ、友達じゃねーけど味方だよ。

 本当は、もっと仲良く出来れば良かったけどな。

 アイツらだって忙しいし、ほら、俺の弟とか妹とかわかんねーけど、アイツら人喰いなわけじゃん?


 殺さないと、食われるだけだからな。善人も、悪人も、普通の人も、偉い人も。

 だから頑張ってたんだよ。連携もとったし、実際アイツらが弟妹、ま、あんまそう呼びたくねーから、魔獣でいいか。

 

 魔獣を引き受けてくれたおかげで、母親——魔王殺しも上手くいったからな。

 どう言ったらいいのかわかんねーけど、やっぱ数の力って大事だよな。

 まぁ、その後の祝宴で殺されたみてーなんだけどな俺って。自称女神曰く。


 それにしても柴犬って可愛いいよな。

 ちょっとアホそうな顔してて、行動もアホなんだけど、それがまた堪らないのよ。

 つっても、ワンコは大体可愛いよ。魔獣以外は。

 でもなー。俺の母親が産んだ犬魔獣は、ちっとキツかったわ。


 チワワなんだけどさ、めっちゃ凶暴なの。

 見た目だけはチワワ。可愛いんだけどさ、

 アイツらって、内臓と脊髄が好物なんだよね。人間の。


 ああ、そう。

 ちっとだけ解説しとくと、俺の母親って魔王になった聖女って言ったろ?

 元々の聖女の力ってのも凄かったみたいだけどさ。

 魔王と呼ばれる前、つまり俺を産んだちょっと後から、恐ろしいもんになってたらしいんだよね。


 何とでも交わって、強力な個体を産むんだわ。

 そ。だから弟妹も沢山いる。

 人類は、俺だけみたいなんだけどね。

 元聖女だった魔王は、怪物とか霊獣なんかとかと交わって子供を産むんだよ。すごい早さで。


 実際のところ、魔王って言っても侵略とかをする意思なんかはなかったんだろうけどな。

 子供、産み続けてただけだから、俺の母親。

 たまたまその子供達が、人類を喰うってだけ。


 なんで知ってんのかだって? 王様に聞いたし、俺も母親を殺した時に見てるから、わかるよ。

 あの女性は壊れてた。

 ま、仕方がないよな。

 

 聖女やなんだと持て囃されて生きてきたのにな。

 その立場を取り上げられて、どこの誰かもわからない奴らに何年も捕まってたんなら、そうなるよ。

 

 でも多分、悪い人じゃかなったんだと俺も思うよ。

 だって産まれた俺を、そこから逃してくれたみてーだもん。王様がそう言ってた。

 やっぱ、あのおっさんが俺の親父だったらよかったのにな。


 ま、だからさ。殺してやったのは親孝行みてーなもんかな?

 で、知ってる? 俺はまだ知らねーんだけどさ。

 出産って、大変なんだよね。


 いつか、やんなきゃなんねーのかな? ほら、お父さんとお母さんに孫の顔とか見せたいし。

 あんま、気は進まねーけど。


 つっても友達の一人もいない俺だから、それ以前の問題だよな。

 え? だってアイツら、犬、猿、雉だと二匹と一羽じゃん? 

 さすがに三人にゃ数えられねーよ。


 もしかしたら国軍の奴らとは、仲良くなれたかもしんねーのが、心残りだな。

 俺、死んじゃったし。

 

 あーあ。人間の友達が、欲しいな。

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。

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