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1話 転生勇者のその先は……。


 

 俺は転生した。


「おぎゃー」


 転生前は勇者だった男だ。何が勇者だって? 魔王を倒した勇敢な者としての称号としてだ。


「おー、よしよし」


 何故、転生したとわかるか? 

 国へ帰ったら、毒を盛られて殺されていたらしい。

 俺を殺せる毒なんて、幾つもねーのにな。国の奴らも、頑張ったんだろうな。

 自称女神がそう言っていた。


「おぎゃー」


 悔しいだろうから、記憶を保持したまま転生させてあげるとも。復讐でもなんでも、許してあげるとも。

 邪神か?

 復讐なんか、別に望んでいなかった。だって、さっさと殺して欲しかったから。


「よく、よくぞ……」


 魔王を殺して死ぬつもりでいたのに、助けられちまったんだ。ついて来てくれた、気の良い奴らに。

 魔王は、俺の母親だった。


「おぎゃー」


 国の奴らだって、生かしておく理由はないだろ?

 魔王より強い魔王の息子だぜ? 勇者でも。

 火種になるし、どうせまともにゃ生きられない。

 追放で済ます程、甘い奴らじゃ平和を作れんよ。

 どうせ死ぬしかなかった人生なんだから、別に恨みはないんだけどよ。


「お、俺にも子供が……」


 ただ、アイツらまで酷い目にあってたりしたらとかだけは、心配だったんだ。犬、猿、雉。俺の友達。

 桃から産まれたわけじゃないけどさ。成り行きってやつだ。


「おぎゃー」


 復讐が云々というのなら、そんなに時間も経ってないんだろうな。アイツらがどうなったかを調べて、それから考えてみてもいいか。


「生まれてきてくれて、ありがとうね」


 しかし産まれたばかりでも、以前のままで考えられるのも地獄だな。周りが全然見えねーし。

 状況はよくわかる。わかるけど、それが活かせるかは別の話だ。


「おぎゃー」


 泣いてることしかできないしな。でも、男として産まれたからには、一生懸命にやるしかない。

 そう信じて生きてきた。

 だから理不尽かもしれない運命だって、受け入れて生きてきたんだからさ。


「見て、見て。笑ったわ」

「おーおー……。可愛いなぁ。チェレステは」


 それが、新しい名前か。空色か、悪くはないな。

 仲が良さそうなご夫婦でよかったぜ。

 そういや俺も、結婚なんかはしてみたかったわ。

 あまり大きな声じゃ言えないが、アレとかもやってみたかったし。

 経験、出来るといいな。


「おぎゃー」


 ちっと以前は出来なかった事に挑戦もしてみたい。アイツはやっぱり邪神じゃなくて、女神でよかったのかもしれないな。

 この新たな人生では、あわよくば……。

 女と合体してみたい。


「きっと、素敵な子になるわ。なんたって、チェレステは私達の可愛い娘なんですから」


 なんでさ。



お読みいただきありがとうございます。

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