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光が差す先へ・・・

水面を歩くたび、

小さな波紋が静かに広がっていく。


ちゃぷ、ちゃぷと音が鳴る。

靴底に冷たさと、わずかな弾力が伝わってくる。


「沈まないけど・・・、大地とは違う感じ」


 足元を見て、改めて現実味のなさに首をかしげつつ

どんどん期待が膨らんでいく。


 周りを見渡しても、この水面を歩いている人達と

中々出会う事は出来なかった。

それでも、私をナビする光の道は遠くまで

続いていた。


どれ位歩いたか分からないが

陽炎の様に見えていた遠くの街が

少しずつだが輪郭がはっきりさせていった。


癖で腕時計に目をやるが

移転した時に動いていた時計は

秒針が凄い勢いで

回転をしている。

やはりこの世界には、対応をしていないみたいだ。


時間を気にしつつ、

足を進めていく。


目を凝らすと、

街の様子が見えてきた。


白い石造りの建物。

屋根は、青や緑・オレンジのタイルで彩られ

その間を、水路が縫うように走っている。


水路には、さまざまな橋が

掛けられており

低いものや、高いもの、装飾を施されたものなど

沢山の種類があるようだ。


街全体が、

水と一緒に設計された街のようだった。


街がはっきりと見えているのに

直ぐには辿りつけない。


体力がもうそろそろ尽きそうな頃

街の手前で、

光のラインがすっと止まった。


「・・・ここ?」


目の前にあるのは

門でも、壁でもない。


水だ。


薄い膜のような水が、

横一列に、静かに流れ落ちている。


まるで・・・

街そのものを隠す水のカーテンのようだ。


その向こう側に、

石畳と建物の影が、ぼんやり透けて見えている。


「審査とかないの?大体・・・、小説とかだと門番がいるよね・・・」


 不安になりつつ、周りを見渡すと

次々とこのカーテンを通っていく

人達が見えた。


・・・・ゴクリ!


「やるしかない!飛び込み営業だと思えば大丈夫!」


気合を入れ直し、水のカーテンへと目線を向ける。

水は、音もなく流れている。

ふと、文字が目の前に浮かび上がる。

 


【都市境界:水膜】

【通過条件:非敵性】

【審査:合格】


「・・・はは、私通って大丈夫なんだ・・・」


私は、小さく息を吐いた。

そして、ゆっくりと息を吸った。

一歩踏み出せば、

私はもう元の世界に戻れない気がしたのだ。


「・・・・まぁ、心配する人もいないか・・・」


私は、覚悟を決めて、

水のカーテンに足を踏み入れた。



・・・・温かい。温泉みたいだな・・・・


水が身体を包み、

一瞬だけ、音が消える。


視界が、ゆらゆらとぼやけた。


次の瞬間!



足裏に、硬い感触。

歩きなれた硬さだ。


水の音、

人の声、

水車の軋む低い響き、


一気に視界が広がる。


私は、水の内側にたたずんでいた。

背後を見ると、

水のカーテンは無くなり

ただの壁になっていた。


「・・・まるでマジックミラーみたい・・・」


思わず、口に出る。


キョロキョロ見渡すと

街は、想像以上に賑わっていた。


水路沿いに並ぶ店、

軒先で揺れる布、

石畳を濡らす細かな水滴、


空気は澄んでおり

とても、過ごしやすい環境のようだ。


ワクワクした気持ちが

押さえきれなくなりそうな時

文字が出てきた。


【地点登録:完了】

【都市名:アクアレル】

【状態:来訪者 / 体調面:やはり寝不足有り】


「来訪者って、本当に新規開拓する時の会社訪問みたい・・・」


まぁ、この街に入れただけ、

新規開拓は順調のように感じる。


私は、深呼吸をして、

街の中へ歩き出した。


・・・・ってまだ、寝不足かい!


文字が消えた際にツッコミを入れつつ、

まだタスクの一つしか終わっていない事に気づき

歩くスピードを早めた。






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