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最弱スキル「農家」がまさかの戦闘で無双するテンプレっぽい異世界転生のお話  作者: なるかみ


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1/5

転生する農家




 



 ーーこれなろうとかでよく読むやつじゃん。





 僕は大曲辰家おおまがりたつや。高校2年生で絶賛夏休み中のクソド陰キャだ。



「ふぁああ」

 朝13時に目覚める。僕にとっては朝。今日は誕生日だが遊びに誘ってくれる友達も、祝ってくれる家族もいないのでスマホをいじりながら家を出て、適当にコンビニに行く。


 母親は受験期で自分とは違って優秀な弟につきっきりだし、父親はまともに帰ってこない仕事人間なので何も言われない。と思ったのだが


「ちょっとあんた、ばあちゃんとこ行ってきて。」

 母親が珍しく話しかけてきた。何日、いや、何週間ぶりだろうか。しかもそれはまためんどくさい。歩いて10分とはいえ、わざわざ溶けるような暑さのなか畑仕事しかしてない祖父母の家に行かねばならんのだ。


「はいはーい」

 適当に返しとく。行かない。めんどくさいからね。

「いってきまーす」

 ドアに手をかけ家を出る。睨むような日差しが肌を刺すが気にせずにコンビニへのいつもの道を歩く。



 暑さ以外は平和だななどと考えていると交差点に差し掛かる。大きな通りにぶつかる交差点で、向かいにはもうすでにコンビニが見えている。

 近くには公園があり小学生男子の甲高い騒ぎ声が聞こえてくる。



 いいなぁ友達いて。



 家庭環境のせいで少しのことでヒスる母親の影響であまり感情を表に出さなくなった。

 そんな母親が嫌になって会社に逃げている父親は大家族の末っ子で養子に出され、自己肯定感がめちゃ低く、残念ながら僕も親譲りのネガティブだ。


 父親は仕事に、母親は育児にのめり込んでいるが、自分は打ち込むものもない。


 父親は職場に、母親は弟に必要とされているが自分は誰からも必要とされていない。


 反抗期の頃に一度家出をしたことがある。結局数日して金がなくなり家へ戻ったのだが、家族は普通に暮らしてた。どうやら僕の扱いは野良猫みたいなもののようだった。



 自分の生い立ちとかばっか考えてっから友達いないんだろな。



「わっ!!」

 考えに耽っていた自分の足元をサッカーボールが駆け抜ける。


「待てー!!」

 半袖短パンの少年がそれを追ってかけ出す。目の前の信号は赤色だ。



 ゴゴゴゴゴゴゴ


 音を立てながらトラックが交差点に侵入してくる。このままだと少年が轢かれてしまう。



 パァアアアアア


「危ない!」

 咄嗟に体が前に出る。少年を庇うように自分も横断歩道に飛び出す。目の前には大型トラック。まずい。ぶつかる。





 これなろうとかでよく読むやつじゃん。





 キキィイイイイイ



 トラックは綺麗に眼前で止まった。

「危ねぇぞ!気をつけろよ!!」

 とトラックの運転手が声を張り上げる。



 ゴゴゴゴゴゴゴ


「ごめんなさーい!」

 少年は反省らしくない反省をして遊びに戻っていく。その後ろ姿を眺めながら自分は呆然と横断歩道上に立ち尽くす。




 ゴゴゴゴゴゴゴ




 そういえば音が止んでいない。今音のする方、上空を見上げるとそこには




 戦闘機が炎を上げながら墜落し、こっちに向かってきていた。

 瞬間、自分とその周囲が暗く染まる。

 まばゆく燃える機首が地に衝突する。




 衝撃音が聞こえるか否かのタイミングで僕は意識を失った。







 黒…







 黒…







 黒…








「術法:〈回復して《イェーロ》〉」


「ふぁああ」

 朝13時に目覚める。僕にとっては朝。今日は誕生日だが遊びに誘ってくれる友達も、祝ってくれる家族もいないのでスマホをいじりながら家を出て、




 目の前には麗しいご令嬢。


 淡い紫色の髪がみずみずしい白い肌に映える。青く澄んだ眼。紅く潤った唇。華奢な体つき。細い腕。手のひらが僕の頬に触れている。濃い紫色の爪。同じく鮮やかな紫のドレス。雨上がりの空のような爽やかな香り。




 ふっと目線を外し土っぽい路地に向ける。

 僕は一般的な女性からすると蛙のような薄ら気持ち悪い存在で、どうもじっと見られたくないらしい。



「危ないところだったわ。大丈夫?」

「すいません、ご迷惑をおかけしました。」

 言いながら立ち上がる。

 視野が広がる。周りは森林のようだ。さながら林道といったところか。朗らかな日が差しているがじんわりとした暑さはない。

 どうも僕は目の前にいる女性に命を救われたようだ。




 というか僕はトラックから少年を庇い、いや、戦闘機が、あれ?




「もしかして僕って…」

「えぇ。転生されてきたようですね。」





 僕は幸か不幸か、異世界にきてしまったようだ。





「え、えぇと、助けてくれてありがとうございます。僕この世界について何もわからないんですけど…」

「あら、そうなの!私は大ギルドのサイドマスター、ノクリア・ハイドレンジア。よろしくね!」



 なんか優しい。なんか優しくて可愛い。なんかこう、ほんわかしている。



「ところで、あなたのお名前は?」

「えっと、辰家タツヤって言います。」

「なるほど、タツヤくんですね。急で申し訳ないんだけれど、ちょっと困ってることがあって…助けてくれないかしら?」

「え?えぇまあ、命の恩人の頼みなら…」

「ありがとう!じゃあ私のギルドに行きましょう!」

 そういうなり、ノクリア、いや、ノクリアさんは身を翻して歩み始める。僕も慌ててその背中を追った。



「は〜い、座って座って〜。」

 林を抜け平原の真ん中にあったのはギルドという感じの建物ではなくカフェのようなテラス付きの一軒家。僕たち2人はそのテラスに置いてある椅子に腰掛けた。



「タツヤくん、君、冒険者やらないですか?」

「うーん、無理だと思います。」

 思いますというか無理であろう。戦うような技術もなければ度胸もない。


「まずはステータスを確認してみません?」

 おっ、それは知ってるぞ。


「わかりました。ステータスオープン!」

「えっと、〈状態開示ステータスウィンドウ〉!こうですよ。」



 恥ずかし。



「あ、ありがとうございます…〈状態開示ステータスウィンドウ〉」

 気を取り直して詠唱すると淡く白い光と共にホログラムのようなものが出現する。



 名前:タツヤ・オオマガリ


 体力:D

 物理戦闘力:D-

 異能操作力:C

 所持異能:職業ジョブスキル〈農家〉phase.1



 なんとも貧弱そうな異能とステータスであった。


「C〜Dのステータスと農家という異能でした…」

「うーん、農家ですか…。わかりました。一旦事務職としてここで働いてくれませんか?」





 こうして僕は一旦異世界のギルドの事務職として働くこととなった。


読んでくださってありがとうございます!

頑張るので応援していただけると幸いです。

ではまた。

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