僕の楽しい学園生活。~セーブデータが消えました。新しく物語を始めます。~
季節は冬。そろそろ入学して1年が経つ頃。僕らは修学旅行に来ている。やっぱりぼっちは回避できないよねー。それにここも見納めだし。最後ぐらい楽しもうかな。
もう時間だね。そうだね。また次。今度は。今度こそは。
数日前。
「えー、皆、これがチャイムだ。世界の始まりにも、世界に危機が訪れた時にも鳴った、とされている。まぁ今は時間を知らせてくれるためのものだが、テスト出るから覚えとけよ皆ー。じゃ、散れー。」
「おぉ……」
「チャイムの鐘ってこんなにでかいのか、予想以上にでかい笑笑」
「ここ落書きしたら捕まる?」
「シャレんなんねぇー笑笑」
「これ作った人すげぇよな」
「あれ?これって神が作ったんじゃねぇの?」
「え?お前って神とか信じちゃう派ー?」
「え?お前信じねぇの!?」
「きれい、だねぇ、」
「ははっ、そうだな。次紅葉観に行くか?」
皆とても楽しそうだ。僕らはそう。修学旅行に来ているのだ。なんだか一人で寂しいけどここも見納めかと思うとなんだか早く終われと言うよりもまだ続いて欲しいって方が大きい。
今いるここは世界の時間を知らせてくれる鐘が設備?展示されているところだ。この鐘を皆はチャイムと読んでいる。チャイムは一日の始まりを告げ、一日の終わりを告げる。世界の時計、時間はこのチャイムを軸に動いている。大抵の学校は修学旅行で一度はチャイムを見に来ると言うほど定番だ。
ちなみに僕らの予定はこうだ。四泊五日の観光地巡り!だ。一日目はここ、放送地区ノウン。皆楽しそうでなによりだ。
二日目は管理地区ルテン、ここでは今まで生きてきた人の魂が刻まれてる、とかいう。まぁ、墓?みたいなものだと思う。その人が次の人生で幸せになれますようにとか込められてるとか、?学校の管理委員会はよくここに来ているらしい。うちの学校に管理委員会なんてあったのか。
三日目は伝統的な建物が沢山ある再燃の地。アンネイ。ここは何年かに一度、ある一定の場所で少し大きな災害が起こる。どうやらそこはこの世界の二人の神が退学、亡くなった場所だとされている。なんだか縁起が悪い。でもそのおかげかこの地区の人は命を重んじる人ばかりらしい。
四日目は無の地と呼ばれている世界自然遺産のうちの一つ、セイイク。ここは少し変わっていて、人工物も校則も無い地区で、ここでは何をしても大丈夫なのだ。だからと言ってこの地区が荒れてるという訳でもなく、なんならこの地区が一番平和と言っても過言ではない。この場所はとても自然豊かで地区の中心に咲き誇る植物には健やかに育つと言う意味が込められているらしい。自然で心もぽかぽかー、なんて。
五日目、最終日は一日目のノウンに戻って観光。お土産買ったり?そして最後、チャイムに向かって平和を祈り、学校へと帰る。
なぜこんな詳しいかって?まぁ一般常識的なところもあるけど。調べ学習で一から調べて一人で資料も作って一人で発表したからね……。班の皆喋ってばっかりだし。
無事、一日目が終わり。宿泊施設にて。
「んー、明日どこ回ろうかなー。」
「あ、僕ちゃん。」
「え?ヴェール!?来てたの!?」
「うん、まぁ良い気分転換になるかなって、良かったらさ。明日から一緒にまわらない?」
「え?うーんと?ヴェールはまわる人いないの?友達とか結構いなかったっけ?」
「あーね、んー、いや、僕ちゃんと一緒に行きたいなーって。駄目、かな?」
「あー、ごめん、僕他に一緒に行く人いてさ、ごめん!」
「そっか、なんかごめんね!じゃあ部屋戻るね、また!」
「うん、ごめんねー。」
またね。
二日目。
今日はルテンに来ている。近代的な建物を通り過ぎ森の中。大きな寺のような、神社のような建物の中の中心に大きな丸い歪な形の大きな石版のようなものがあった。その大きな岩は真っ二つにされていてその表面に謎の文字が書いてあった。その岩の周りのみ地面、土や草が生えておりそこだけ床が無かった。いくつもお供え物が置いてあったり、綺麗な花や植物が生えていたりした。建物の中は薄暗く、あまりよく見えない。と言いたいところだが中心には屋根がなく中心の岩や植物を日光が照らしていた。建物の中に日光が少しこぼれており、なんだか心が少しだけ暖かくなった気がした。
「これ、なんて書いてあるんだ。名前?」
まぁ多分場所的に神の名前とか何をしたかとか。そういうことが書かれているんだろう。僕はしばらくぼーっと一点を見つめ突っ立っていた。
三日目。
アンネイ。ここは沢山の建造物があってとても面白い。今のような技術もない中でこんなものが作れるとは。と感心する。さて、今日の主役の例の震災地。ここでは二人の神が退学したとかしてないとか。ここだけ少し他よりも荒れ果てていた。あと少し建物のテイストが違う、?少し心が痛くなったが、お土産のお菓子が美味しいので良しとする。荒れ果てた土地のあるところに二輪ならんで白と黒の何かの花が咲いている。建物の日陰にあり、あまり目立たないがその花は確かにとても綺麗で可愛らしかった。「花の横にある木の台は。断…。いや、やめておこ。」
どうりでここの人達は命を大切にするわけだ。
四日目。
ここは、セイイク。少し言いにくい名前だ。舌がまわらない。さすが世界自然遺産と言ったほどここの自然は綺麗だ。ただ一つ不思議なのが色々な季節の植物が咲いている。ということ。ここはなんなんだろう。今は冬なのにも関わらず寒くもない。意外だったのがあまり人は居ないものだと思ったが意外と人がいる。ということ。特に子供連れが多い。まだ首の座っていない子や歩きたての子。少し生意気になり始める頃の子まで。ゴミも無いし、校則違反者すらいない。少し、いや、だいぶ不思議なところだ。世界が全てこうなればいいのに。
準備は出来た?
出来たよ。もう大丈夫だ。そっちは?もう大丈夫?
うん。大丈夫。ちゃんと力も残ってる。
また。次で。
最初から。
五日目。
ノウン。
チャイムのある所。放送地区、という名はまぁ単純でチャイムを世界に放送するから放送地区。と名がつけられた。皆が買い物を終えて、最後に手を合わせ世界の平和を願う。
この鐘は、時間を知らせるもの。
でも僕らにとっては違うもの。
この鐘は。
そうして僕らは鐘に一歩。また一歩近づいて行く。警備の人に止められてる?そんなものはもう。
僕らは優しく鐘に手を添えこう唱えるんだ。何度も何度も繰り返してきたこの言葉を。
「待って!!ボクちゃん!!二人共!!」
「終焉の鐘よ鳴り響け。我らの望みよ神へと届け。さぁ、全ての生命よ、新しい場所へと帰りたまえ。新しい朝を迎える為に。新しい今日を迎えるために全てを捨て、新しい場所へと帰りなさい。みなの想いを一つに紡ぐ、「「」」の名にかけ、今ここで我らの想いを貴方様に捧げましょう。未来に希望を未来に栄光を。さぁ。
下校の時間です。」
終焉の鐘が鳴り響く。世界の終わりで彼、彼女らは何を思ったのか。この今の世界の基盤を作った片割れが横たわり涙を流す横で何を思ったのか。もうこの世界のことは無くなり、新しい世界が始まる。僕らが覚えてることは僕らが何度も失敗したこと。そして何度も新しい世界が生まれたこと。何度繰り返しただろう。初めはこんなのではなかった。ただ、彼女らを、皆を救いたかった。僕の消えないこの記憶と魂は僕と。いや、ノエルと柚香の。
違う。
イースとリリーに与えられた最後のチャンス、僕らの神からの手助けなのだろう。それにこれは僕らが民を守れなかった罰なんだ。きっと。きっと救ってみせる。彼女ら、そう、この世界の基盤である神と言われた彼女ら、オペラとショコラも。次は。次こそは。
世界が崩れていく。建物は崩れ消え去り、植物は枯れ果てて塵になってゆく。人工物などもうない。水が蒸発していくかのように世界のものも、生き物。皆も消え去ってゆく。もうこんな光景見たくもない。次、次で。次だけが最後だ。
何もかもが消え去った平地。「ボク」によって何もかもが消え去った訳では無い。「鐘」「岩」「花」「自然」は相変わらず何年、何十、何百何千年経っても綺麗なままだ。
「ボク」だった体はやがて新しい種を見つけた。そして天を見上げながら小さくため息をつき、大きな涙を流した。ボクは二つの小さな種を抱え、また一人?で未来への希望を紡いでゆく準備を進める。さぁ次はどんな物語になるのだろう。
僕の楽しい学園生活は。
EN…?NE?E…D?END?
ENDENDEND。何回?何回?何回目?
END。こんな言葉。知らない。
続く。
この物語は終わらない、永遠に。貴方たちはこの物語。どう感じた?
この物語が厨二病?分かりにくい?長い?短い?面倒臭い?あなた達にとったらそうなのかもしれないね。
でも僕たちからしたらこれは日常、これが僕たちの人生なんだよ。
あなた達にとったら非日常なのかもしれない。一生起こらないことかもしれない。一生分からないかもしれない。だから平気で笑える、あざ笑える、見下せるのかもしれない。
でも、自分の立場になって考えてみてよ、周りの人が、仲良かった人が当たり前のようにどんどん退学…、いや死んで当たり前のように人殺して。当たり前のようにそんな世界を救おうとする。壊そうとする。そんなの、耐えられたもんじゃないよ。
僕らの物語、僕らの人生はそんなに痛いかな。滑稽かな。つまらないかな…。
省略された一部分一部分にも僕らの人生があるんだよね。僕らにもね、一応感情ってものがあるんだよ、
僕らは、君らが楽しむための玩具じゃないんだよ、第一君らは、世界を母校と呼ぶ理由は考えてみた?死亡者を、退学者と呼ぶ理由は考えた?ガーラちゃんが、愛花ちゃんがサジ君が。皆が死んだ理由も、あ、この子死んじゃったわー、とかじゃないんだよねー……。
いっつも見て見ぬふりいっつも他人事、あなた達はいつもそこから見てるだけ。非日常を、自分には起こりえない事を笑って、下に見て、見て見ぬふりするもんじゃないよ……。
まぁこんな事言っても意味ないんだろうけど、君らって本当、人の事見ようとしないもんね、違うか、怖いから関わりたくないんだよね。しょうがないかな。人って流されやすいし誰かが動かないと皆動かないもんねー。まぁ僕もそうだけど。
この世界の生き残りは数人と、それと僕だけ。僕はこの世界を記録し続けないといけないからね。「図書委員長」として。
平気かって?それを言われたら平気じゃないかもね。何度も何度も世界の滅亡を、友達が退学していく姿を、あの子、ボクちゃん達の悲しそうな顔を。何度も何度も数え切れないくらい見てきて。なんで自分はずっと生きてるのか分からないけど、多分神の御加護みたいなものなんだろうね。記憶も消えない、退学出来ない死ねない。辛いどころじゃないよね、
でも多分、またこの世界を作り直してくれる、僕の大好きな居場所、図書委員会を作り直してくれる。あの子の、柚香の元気な声が、「アリスー!」って大声で呼ぶ声が聞こえてくるから。……。
これで分かったかな、この世界がどうなっているか。そういえば皆が、「ボク」が。どんな人生歩んできたか、この世界がどうなっているのか知りたい?そっか、じゃあ聞かせてあげる。僕が見た、聞いた、感じたこと全部。ここに記録した事。全部。
じゃあ初めのページへ、進もうか。
皆が過ごしてきた。僕らの日常を。
ここまで読んで頂きありがとうございました!やっと。やっと物語一段落着いたかな、というところ。今回いつもより少し長かったですね…。まだまだ話が繋がってなかったり分からない、意味不明な所が多々ありますが、少しずつ回収作業をしていきます。数日前、X(旧Twitter)にて愛花ちゃんとボク君のイラスト投稿させて頂きましたー。他の子のイラストものちのち載せてみようかなーと。ぜひぜひ覗いていってくださいね。
今回初めて見てくださった方も、引き続き見てくださった方もありがとうございました。また次も見て行ってくださいね。改めてここまで読んで頂きありがとうございました。僕の楽しい学園生活、次回第一話始まります。
(X(旧Twitter)▶️田中69 @TNK6_yka)