愛花の楽しい学校生活!~親愛なる皆へ!~
僕……ノ、…園生……。『おっと、これじゃなくて……。』
「愛花の楽しい学園生活!」っと……。
ねぇ、皆。少しだけ…。聞いてくれる?
視界が回る。宙に舞う。どうやら首が飛んだようだ。退学は分かってたけど少し怖い気もするなぁ。でもまぁ…、満足かな。私の人生はまぁまぁ異質だったのかもしれない。というか異質だった。少しだけ、過去を。
私はある特殊な家に生まれた。私の家は代々特殊な能力を持っていて、それを使って母校に仕えて生きてきた。私の家はとっても裕福だが皆優しくて、意地っ張りな人なんていなかった。なんでそんなことが分かるかって、それは私の能力が、「相手の心を読むことが出来る」という能力だったから。父も母も、兄も、皆私の事を愛してくれた。まだ幼くてあんまり覚えてないけど愛してくれていたっていうのは確かだった。そんな幸せな家庭が壊れたのも結構すぐだった。突然家に人が沢山入ってきて暴れだしたのを覚えている。それと、沢山の声が私の耳に頭に入ってきたことも。気がついた時には辺りは静かになっていた。気がついたら、家に居たのは私と奏兄ちゃんだった。私とお兄ちゃんは家中を探し回った。そしたら沢山の人が倒れてた。これが私の見た初めての退学者だった。その中には私達と同じような髪の色をした夫婦もいた。そう。父と母だ。当時の私はとてつもないショックを受けた。数年後それを見慣れることになるとは当時は思いもしなかった。その後長男である奏愛兄ぃも探したんだけど、どこにもいなかった。退学者の中にもどこにも。まぁその時はそんなことはどうでもよかった。とりあえず生きていかなきゃと思った。あいにく家は豪邸だったので食料の蓄えはそこそこあった、しばらくは家で過ごしていたもののどうしても限界は来るもので家を出てそこら辺の人に物乞いをすることになった。お兄ちゃんは仕事に行って私は物乞いをする、という生活が始まった。だいたい物乞いが成功しやすい場所、みたいなのが決まっててそこを転々としていた。まぁすると自分みたいな子ももちろんいる訳で、その子は稼ぐことも、物乞いも難しく、生きてくことがギリギリっぽかった。私はこの子にパンや色々な食料をあげた。自分はお兄ちゃんにはこの事を内緒にしてお兄ちゃんのご飯を一口くらい貰っていた。当時は、お腹すいたから先に食べちゃった、お腹すいた、一口ちょうだい、と誤魔化していた。空腹も水でしのいだり指を加えたり、腕を噛んだりくわえたりしてた。そのおかげで今は指がボロボロで、今はそれが理由で手を隠して生活してる。そんな生活が続けばもちろん体は悪くなる一方で、運悪く冬に直面してしまい、完全に瀕死状態になってしまった。そこからよく覚えていないが、どうやら心優しいお姉さんが私達のことを拾ってくれたようだ。その人は後に私達風紀委員の顧問となる人、楓ちゃんだった。楓ちゃんはその時から風紀委員にいたのだそうだけど、どうやら事情があって人手が足りてないようで、匿ってもらう代わりに委員会を手伝うことになった。その流れで私達は芽吹ノ風に入学した。仕事はなかなかたいへんで、最初は精神が参ってた、ただ、私は、私達は能力のおかげでどうやら才能があるようであっという間に委員会に定着してしまった、お兄ちゃんも最初は躊躇したり警戒してたものの数年経つと様になってきた。数年後、段々と違反者数も増えて人手が足りなくなってた頃、人手を増やそう、と言う話になった。委員会で怪我することも増えて保健委員会の色んな人にめちゃめちゃ怒られちゃったから、私にとっては都合が良かった。そこで学校外を散歩してるとあるボロボロの女の子を見つけた、年は恐らく十代前半から半ばくらいだった気がする。声をかけたら返事もないのでとりあえず連れて帰ることにした。体がボロボロなので楓ちゃんに頼んでどうにか人形の体で生きられるようにしてもらった。私の作戦ではこの間にボロボロな体を回復して戻す作戦だったんだけどあまり移しすぎるのは良くないって言われたのと、移して数年は記憶が曖昧だ、ということでこのままになった。でも人形の体には働きやすいように能力が付与された。お兄ちゃんは注射を怖がってたけど、私はまぁ慣れてたから結構早めに終わったかな。名前を決める時、私は心という文字を入れたかった。昔から多分自分ばかり心を読んでいるせいか誰かにも自分の心を読んで欲しい、わかって欲しいって思ったのだと思う。結局名前は心に操で心操、ここあになった。心操も最初はちゃんと動くことに苦戦してたけど、能力のおかげでちゃんと動けるようになった。ちなみに心操の能力は「物体を操ることが出来る」という能力。名前もそこから来てるんだ。心操がちゃんと動けるようになったくらいには私達もちゃんと能力が使えるようになってきた。私は昔ちゃんと能力が使えなくて周りがうるさかったりたいへんだったけど、とっても楽になったもんだった。この頃くらいからか。少し他校の生徒がうちに来て校則違反を繰り返すということが多くなった。当時はお仕事増えたなー、めんどくさいー、くらいにしか思ってなかったけどその後大変なことが起きた。それはお兄ちゃん、奏愛兄ぃがいたのだ。びっくりした。とても。もう会えないかと思ってたから。どうやら家を荒らされたのと同時に隠れそびれた兄ぃは捕まってしまったらしい。相手もこっちを見た時にすごくびっくりしていた。そこから何度か何度か学校に攻めてきて荒らしてを繰り返していたんだけど、兄ぃの心が限界なのはもう分かってた。そして私達は多分最初で最後のガチ家族大喧嘩をした。その時の暴言はあんまり覚えてないけど、色々言ったことは覚えてる。まぁそっから色々あって和解して、兄ぃはうちに来ることになったんだけどね、まぁ結果オーライってやつだよね、そっからは楽しかったな、毎日毎日大好きな家族と遊んで話して、でも私には、友達ってのが出来なかった。皆が近寄ってくれなかったから。いや、それもあるけど私が皆にこれ以上嫌われるのが怖がられるのが怖かったから。毎日毎日明るく笑顔で楽しそうに過ごした。そんなある年、一人のある不思議な子が、入学してきた。恐らく色んな事情を抱えた。何か壮大な事を抱えてる子。でもその子は、その子の心の中は私にとってはとっても優しくて、暖かかった。その子とは入学式の日に、三回あった。一回目は入学式、二回目は窓を割った時、三回目は寮の部屋で。奇跡的に部屋が一緒だったんだよね、その子とは何とかお友達になれて、私とっても嬉しかったんだよね、そこから友達もちょっと増えて、なんと、好きな人までできてデートもしちゃって、!でも私その時にはわかってたんだよね。好きな人、チース君及びサジの正体、抱えてるもの、それと彼が過去、私が食料をあげてた、あの男の子だって事。全部分かってた。サジ君の抱えてるものは大きすぎた。世界にとっては不都合だから消された。恐らくそうだと思う。巻き込んでごめんねって、多分そういう事。心の中でもごめんねって、そう言ってた。それと、気をつけなければいけない、助けなければいけない、手を貸さなければいけない人の事も、沢山伝えてくれた。残そうとしてくれた。私はその事を楓ちゃんに伝えた。すると楓ちゃんは少し寂しそうな顔をして色々な準備をしだした。この時知ったんだけど楓ちゃんとサジ君は血の繋がった兄弟だった。楓ちゃんは一言、ありがとう、って言って部屋へ、帰ってしまった。数週間たったある日、そう、もう昨日の出来事だ。夏休みでお泊まり会の真っ最中だった。突然ガーラちゃんとヴェールちゃんが帰ることになってしまった。その時私はガーラちゃんの声を聞いてしまった。「ごめんね、またね、僕君をよろしくね、」って。すぐに分かった。あ、この子退学しちゃうんだ、って。そりゃ必死に止めたよ。何よりヴェールちゃんと、僕君がそれを望んでなかったから。そして三人は行ってしまった。これが今唯一の後悔かな。しばらくしたら生徒会の二人が来た。これまた厄介な二人。二人は私が退学することを知っていたかのようだった。ちょっとだけ腹が立った。まぁそれで仕方なく来て案の定こうなってるわけだけど。人生振り返ってみて、わたしの人生って皆から見たらどうなんだろう。不幸に見えるのかな。あ、それ以前に私思うことがあるんだよね。
こんな私が言うのもなんだけど、結構皆、皆自分の目の見える事でしか物事が判断出来ないんだよね。心の中が分かるわけでもあるまいし、でも皆見れないから、出来ないから、分からないから、相手のことを理解しようとしない。しようともしない。物事の本質を見抜こうと努力をしない。第一印象は顔で決まるって結局そういうことだよね。でも。私は、私は皆のこと大好きだよ。だって今みたいなこと言ったけど、皆何かしらの努力をして、頑張って。我慢して、この世界に抗うために頑張って生きてるんだよね。生きてるのって楽じゃないもんね、だから、ほんとに短い間だったけど、皆、私とお友達になってくれて、私のお話聞いてくれてありがと。皆は私の事ちょっとでも好きになってくれたかなぁ…。
あぁ、来世も皆と一緒に、みんなと一緒に、生きたいな。また、また絶対会おうね。
またね。
そして少女は家族の方へ向き、「大好き」そう口を動かした。
「幸せな少女」
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
前回、X(旧Twitter)の垢を記載させて頂きました!、ぜひ前回ご覧になっていない方はそちらもご覧下さい。今回も読んでいただいた方、今回初めて読んでいた方、ありがとうございました!次回もぜひご覧下さい。